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沖縄を訪れた観光客の数が、前の年に比べて2カ月連続で減少。景気の悪化の影響が沖縄観光にも出てきています。今後活路は見出せるのか、観光業界の現場を緊急取材しました。実近記者です。

国際通りの店員『(観光客は)相当減ってます。年末年始も相当暇でした』『去年はこの時期でも割といたんですけど、(去年の)半分ぐらいは来てないんじゃないですか』

牧志公設市場の店員「とっても減ってる。感じる。景気が悪いっていうのをひしひしと感じる。2009年からもうぱたっと変わった」「これ1000円で売るんですが、これを買い切れないんです。だから小分けして売るんです。購買力が弱い。この先心配さ」

県が発表している観光客数は、去年11月から、ついに2か月連続で前年を下回りました。そして、航空会社の輸送実績やホテルの稼働状況によると、深刻さは年が明けた年始からさらに加速しているといいます。

りゅうぎん総合研究所・比嘉盛樹上席研究員「(年始の観光客数は)だいたい去年の半分ぐらい。4割から5割減というふうに聞いてます。年末にかけては高い稼働率を維持していたが、年明けにかけて一気に下がってしまった」

円高の影響を受けた海外客の減少も深刻です。

韓国からの観光客「(円高は)とても深刻です」「去年に比べると値段は2倍です」

韓国人ガイド「お客さんいなくなっちゃった。今の時期はゴルフのお客さんが本当に多い時期なんだけれども半分以下」

果たして沖縄観光は今後、どうなってしまうのでしょうか。

日本旅行広報室・藤井淳主任「(現在の状況は)前年同期比の人員ベースで、1月が87%と前年を割っていて、2月に関しては54%という数字になっている。それにしても景気の悪さなのか、沖縄に関しては落ち込みが目立ちます」

景気の影響は費用や時間がかかる沖縄など、首都圏から遠い観光地が真っ先に受けると言われています。

りゅうぎん総合研究所・比嘉上席研究員「特に2月が非常に予約状況が悪く、かなり落ち込むんじゃないか。今年に関して言えば、前年を下回って推移すると見ています。今までのように右肩上がりの状況ではなくなった」

先週、都内で開かれた沖縄観光フェア。不況の中、ジャズクラブを貸し切った異色のイベントを企画したのは沖縄県と大手旅行代理店。招待客は企業関係者およそ100人。

『もう一度泊まってみたい』

フェアのテーマは沖縄でのMICEの開催。MICEとは会議や研修など、企業の経営手段の一つ一つを組み合わせた造語。従来の慰安目的だけの社員旅行ではなく、こうした企業活動の一つを沖縄で開催しようというもの。

日本旅行担当者「社員がやる気にならなければ、企業には利益がもたらせません。不況だからこそ、社員の皆様が元気になるため、モチベーションを上げるために、今だからこそこのMICEを有効的に開催する必要があると思います」

MICEの誘致を目的とした、こうしたフェアは全国でも初めて。

従業員同士の結束を強める効果も謳われている沖縄でのMICEの開催。企業主催の団体旅行は単価も高く、沖縄側にとっても大きな経済効果が期待できます。不況を逆手にとった、新たな需要の開拓です。

県観光商工部観光振興課・呉屋幸一課長「それがリピーター化につながり、沖縄ファンを増やす契機になっていただければいい」

参加者「行けば元気になるとか、行けば笑顔になるっていうのは、すごくわかりました」「価値があるものには、お金を投資すればそれなりに返ってくるものがあると思う。こういう世の中ですけど、機会があったら、本当に沖縄で(MICE)というのはすごくいいと思います」

沖縄観光コンベンションビューロー・平良哲会長「辛抱ではなくて、むしろ積極的に種をまいていく時期」

フェアは予想以上の盛況ぶりを見せました。

日本旅行広報室・藤井主任「沖縄の潜在的な需要というのはまだまだあると思いますし、需要が全くなくなることは絶対ないと思う」

りゅうぎん総合研究所・比嘉上席研究員「いずれやってくる(景気の)回復期に向けて、その準備をする良い時期。とくに、施設のリニューアル、サービス、商品(の開発)、人材の育成といった自らの競争力を高める良い時期」

今年が沖縄観光にとって試練の年になることは間違いありません。しかし、その中で次の時代の観光のあり方をどう見出すか?沖縄観光にとっても、今年はまさにチェンジの年と言えそうです。

海外からの減少、そして特に企業などの団体客のキャンセルが相次いでいるということで、この景気悪化の影響をもろに受けているという感じです。ただ、沖縄の魅力に変わりはないわけですから、ここはその魅力にさらに磨きをかける時期と捉えて前進できればと思います。