これは今月、首里高校で開かれた薬物の講習会。これまでも行われていた大麻や覚せい剤の話しだけではなく、脱法ハーブについても大きな時間が割かれました。
ことしに入って注目される、脱法ハーブ。広がりを見せているのは、県外だけではありません。
県薬務疾病対策課・玉城宏幸班長「地方の中小都市の割には、全国的にみて、かなり多いほうだと思います」
脱法ハーブを扱う店舗数。インターネットでの販売まで含めると沖縄は九州では1番、全国でも大都市に次ぐ4番目となっています。
また、脱法ハーブが原因とみられる救急搬送数では、去年1年間で10件しか確認されなかったのに対し、ことしは4月末時点で13件、今月末まで加えると20件を超える勢いで、ほとんどが10代から20代の若者です。
那覇市消防本部・比嘉義樹・救急課長「幻覚が出た例とか、不穏な状態とか、痙攣が出たりとかですね。ひどいものになると意識障害がでてくる。重症化しますと、心肺停止状態になることもありますので」
ことし3月には、那覇市おもろまちで、4人のけが人を出す多重事故が発生。運転していた島袋被告は「脱法ハーブを吸った」と供述していて、自動車運転過失傷害で起訴されています。脱法ハーブの危険性は、すでに沖縄でも隣り合わせなのです。
玉城班長「まず何が入ってるかわからない。実際に売っている店舗の方も、何が入っているかわからないと思います」
脱法ハーブの販売はどのようになっているのか?脱法ハーブを扱う那覇市の雑貨店を取材しました。ショーケースにならんでいるのが、脱法ハーブ。
「(Q:おすすめは?どんなして使う)下にあるとおりです」
薬事法では、吸引目的の販売を禁じています。ことしから、県と県警が立ち入るようになったためか、警戒しているようで、積極的に販売する様子はありません。しかし…
「前が人気のもの。これは在庫処分です」
店員が示した在庫処分の脱法ハーブ。実は今月、国によって取り締まりの対象となった商品の類似品の可能性が指摘されているものでした。
そもそもなぜ、これほどまで出回っているのでしょうか。
小森栄弁護士「脱法ハーブというのは、乾燥した植物片に薬物成分を振りかけたものなんですが、その振りかけた薬物成分が法律できちんと規制されているものではないということ」
からくりはこう。これが脱法ハーブに吹き付けられた薬物成分の化学式だとすると、この成分が規制されたとき、わずかな1部分だけを変えることで、形上は違う成分として販売し、規制の目をかいくぐっているのです。規制されたものとされていないものの間に、危険性の違いはありません、
小森弁護士「危険性とかそういう意味で(規制商品と脱法との間に)差があるわけではない。危険な度合いは、むしろ本当の大麻よりもあぶない、高いというふうに言われています」
脱法ハーブは「合法ハーブ」という名称で売られていますが、これは効力が弱いことや危険ではないということではありません。むしろ、規制をかいくぐるたびに、危険性は増しているともいえるのです。
比嘉救急課長「ドラッグの中にどのような薬剤が含まれているかわからないので、それを吸引した際に、どのような症状がでるのかわからない」
小森弁護士「困るのはね、症状が出たときに、何をどう使ったかってわからないと、お医者さんが対応できないんですよね。そういう危険はありま。」
玉城班長「どんな危険なものが入っているかまったくわからないっていうところが、一番怖いところかも知れないですね。とにかく使わない、関わらない、購入しないということを徹底してほしいと思います」
自分は大丈夫と始めて、使い続けてしまう連鎖。脱法ハーブでは詳しい成分内容がわからず、治療がままならない事態が起こりえるかもしれません。自らの命を守るためにも、危険性を認識し、手を出さないことが大切です。