真夏のような日差しが降り注ぐ中、会場には多くの市民が詰め掛けました。いよいよ市民大会が始まりました。
「こんな墜落するね、オスプレイを配備するということは県民の生命がね、危険に瀕している。命を守る戦い」「家から低空飛行の戦闘機なんか見ながら生活していたのに、これ以上危険な物を持ってくるというのはもう耐えられないです。」「本当に日本政府の不甲斐なさ、強くアメリカ政府に対して物が言えないという、それが本当に残念で。」
きのうの最高気温は31.5度。うだるような暑さに加え、台風も近づいているとあって、人が集まるかが心配されましたが、主催者発表で当初の予定を上回る5200人が集まりました。」
「民間住宅が隣接し、世界一危険な基地と言われる普天間基地に安全性が懸念されるオスプレイが配備されようとしていることについて、日米両国政府に対して、直ちに中止するよう求める」
ほかの参加者たちからも相次ぐ事故に対する不安や、アメリカ政府に言われるままオスプレイの配備を後押ししようとする日本政府に批判の声があがっていました。
「オスプレイの配備については抑止力が高まるのであれば、日本にとって害はないと容認しました。つまり配備されている地元にとって害はあっても、日本にとっては害はないということです。ワジワジーしませんか?」
「もしオスプレイが民間人を巻き込む事故を起こしたら、すみませんでした。次から気をつけますというのでしょうか。事故が起きてからでは遅いのです。」
一方、会場にはこんな人の姿もありました。この春宜野湾市役所を退職した元基地政策部長の山内繁男さん。一市民として、佐喜真市長にこんな注文をつけました。「やっぱりオスプレイは止めないといかん。これが大事です。きょうは出発点と理解して、断念するまで継続的な行動をしてほしい。」
大会ではオスプレイ配備反対のほか、普天間基地の早期返還、返還時期の明確化を求める決議を採択。佐喜真市長は仲井真知事とともにあすにも玄葉外務大臣や森本防衛大臣などに要請を行うことにしています。
データで見るオスプレイの危険性
このようにきのうは5000人以上の市民がオスプレイ配備反対の意思を示したわけですが、オスプレイの危険性をきょうは改めて数字で見ていきます。
まず、オスプレイそのものについてなんですが、もともとは「V-22」という機体です。これが、海兵隊仕様になると「MV-22」、空軍仕様になると「CV-22」、そしてまだ飛んでいませんが、海軍仕様になると「HV-22」と呼ばれます。
ただ、装備の細かい点が異なる程度で、飛行している物体としては、ほぼ同じものです。開発段階から事故を起こしてきた、とよく言われますが、これまでに明らかになっている事故をまとめたのがこちらです。先週の事故も入れて合わせて8件、36人が死亡しています。
そして航空機の安全性を示すのが、「事故率」です。10万飛行時間当たりの事故件数を示しています。
先週公表されたアメリカの環境レビューでは、オスプレイの事故率はモロッコ事故の前で「1.12」、そしてモロッコの事故を入れても「1.93」とされています。海兵隊全体の平均が「2.45」とされていますから、平均よりも「安全」だということになります。
ところが、です。ここにはからくりがあります。実戦配備された2004年以降のデータに限っていること、そして、2010年に起きた空軍仕様のCV-22の事故が含まれていないんです。
この2010年の事故と、今年の事故2件を加えてみると公表されていない飛行時間を多めに見積もっても、手元の計算では「4.80」と、事故率はぐんと跳ね上がって、海兵隊平均を上回ります。
さらに、こんなデータもあります。2009年にアメリカの会計検査院がオスプレイの運用経費に懸念を示しているんですが、イラクに派遣されたオスプレイの任務達成率が、平均62%にとどまっているんです。機構が複雑でメンテナンスや部品の調達が間に合わないというのが主な理由です。
メンテナンスが大変、ということは、アメリカにとっては予算の問題かもしれませんが、沖縄にとっては安全性に直結する問題と言えますよね。
その通りです。仲井真知事はオスプレイに関して、「データ主義」と常々発言しています。県では様々なデータを積み重ねて、政府に反論する準備を進めているものと思われます。