甲子園を目指す、熱い高校球児たちを紹介するめざせ甲子園。きょうは、県内トップクラスの進学校、球陽高校を紹介します。そこには、進学校ゆえの苦悩を抱えながらも、それを糧にして前を向く3年生の姿がありました。
進学校 県立・球陽高校。県内屈指の進学校として誕生した球陽は、ほぼすべての生徒が、大学進学を希望。熾烈な受験競争を生き抜くために、生徒たちは日頃から勉強一色の毎日を送ります。
宮平君「ダッシュでいくよダッシュ!エイ!元気出していこう!!」
狭いグラウンドの中でも、元気な声を出して部活に励んでいる選手たち。3年生は2人。キャプテンの宮平瑞喜くんと宮城春音くんの2人がチームを引っ張り、上り調子です。しかしこれまでの道のりは平坦ではありませんでした。
宮平キャプテン「あの時はもう、自分なんかも新チームってなって、まだバラバラな状態で臨んでいて」
去年8月。同じ進学校・那覇国際高校との練習試合。大城監督は、アップの段階から、宮平くんに別メニューをさせて、 客観的にチームを見るよう指示しました。
宮平くん「いざ試合ってなってみたら、やっぱり那覇国際は、すごくまとまってるチームで、声も出るし元気もあるし、動きも早いし」「あっちもそこまで練習量とか取れないと思うんですけど、その中でもここまでの差が出るのはなんなのかなって、考えてて、考えさせられた試合でしたね。」
アップの仕方から、プレイの1つ1つにおいて、同じ進学校ながら、いつの間にか、開いていた力の差。初めて客観視した自分たちの姿に、悔しさと情けなさで涙が溢れました。
大城監督「野球に対する姿勢ですよね、向かい方ですよ」「野球する環境としては厳しいものがある。でもその厳しいということをいいわけにしてはいけないんですね。」「いいわけ作ってる自分自身を見つめて欲しいという思いがありました。」
宮平キャプテン「それを見た後からはほんとに0から見直して、1からスタートしようって」
普段の練習から気合を入れなおしたチーム。しかしまた1つ、進学校ゆえの問題が発生してしまいます。
宮城春音くん「秋終わった後に、結構ぞくぞくと辞める人がいて、7人くらい秋終わって辞めたと思います。」
球陽高校では、部活動は基本的に2年生の秋まで。その後は、延長願いを提出し、一定程度の成績を収めなければ部活を続けることはできず、また、レベルの高い進学先を選ぶために、部活から離れる生徒も少なくないのです。辞めた選手の中には、春の大会までエースで4番を務めた3年生もいました。
宮城くん「辞めるってなったときに、やっぱメールとか頻繁に交わして、残ろうっていう形で」宮平くん「最初の2週間ぐらいはほとんど、自分もあんま野球にも勉強にも集中できない状態が続いてて」「でもこの状態だと、自分にもチームメイトにも、で、辞めた一樹にも悪いなと思ったんで、そこはもう吹っ切れて、野球も勉強もどっちも集中しようかなって」
落ち込みかけたチームがすぐに立ち直ることができたのは、支えてくれる人たちに気づいたからです。マネジャーを務める花城日向子さんは、どの部員よりも早く延長願いを出し、野球部を支えることを選びました。
花城さん「マネージャーから見てなんですけど、部員が勝ちたいって気持ちが強いときに勝ちが多いと思うんですよ」「球陽は少ない時間だけど、球陽にしか出来ない野球があると思うし」
大城監督「野球が出来るその環境にですね、この子達がほんとに感謝の気持ちを持ってくれたら、心の底から。勝ち負けは別にして、人生という甲子園ですか、優勝できるんじゃないかなと思ってやってます。」
宮城くん「この練習時間でも環境でも、工夫して練習すればいいところまで、決勝とかまでいけるんだってことを、新チームなってから2人で取り組んできたことなんで」宮平くん「ほんとに悔いを残さないように、自分なんかの全力が出し切れるような大会にしたいです。」
「球陽の甲子園、この後すぐ。行くぞ甲子園!えい!」