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混乱が続く、八重山地区の公民教科書の採択は地区で統一した教科書がまだ決まっていません。なぜ、ここまでもつれているのか、文科省が教科書の無償配布の対象外という考えを示した竹富町は今後どうするのか。記者解説を交えてお伝えします。

中村記者「教科書の採択に関係する法律は2つあります。まず、地方教育行政法で、地方教育行政の組織および運営に関する法律があり、これは各市町村にある教育委員会は使用する教科書の取扱いについて決めることができます」

中村記者「そしてもう一つは義務教育教科書無償措置法で、国が教科書を無償で配布するための手続きが定められた法律があります。この法律では、同じ教科書を使用する地区を定めること、地区が複数の市町村で構成されている場合は、その地区の教育委員会は『協議して』教科ごとに同じ教科書を採択しなければとしています。今回、問題になっているのは、無償措置法に書かれている『協議』についての見解が、文部科学省と県教育委員会で分かれていることです」

見解の違いというのはどういうところでしょうか。

中村記者「まず文部科学省は、採択地区協議会の答申が無償措置法の定める『協議の結果』だとしています。ですから、この結果に従っている石垣市・与那国町は教科書の無償配布の対象で、竹富町は『答申』に従っていないとして無償配布の対象からはずす見解を示しています」

一方の県は、どのような主張をしているのでしょうか?

中村記者「県教育委員会は9月8日に開催した、八重山地区の教育委員全員で協議した結論が『協議の結果』であると主張しています。しかし、石垣市・与那国町の教育長がこの協議は『無効』であるという文書を文科省に提出し、中川大臣も『協議の結果』と認めていません」

文科省の見解について、竹富町はどのような反応なんでしょうか?

中村記者「この文部科学省の見解に、竹富町の慶田盛教育長は不満感を示しています」

竹富町・慶田盛教育長「教科書採択に関して、竹富町教育委員会としては瑕疵はないと。ないのに何故、東京書籍の採択は認めて有償にするかというペナルティーがあるかということの説明がほしい」

中村記者「ただ、文部科学省は竹富町の採択について無効ではないとしています。文科省と県教委は、教科書の選ぶのは各教育委員会にあるとしています」

中村記者「また今回の問題では、現在の2つの法律の下では採択が異なったとき、解決する方法がなく、文科省は法律を改正すると明言してます。このように、法の不備を認めているにも関わらず、竹富町だけ有償というのはおかしいと慶田盛教育長は主張しています」

慶田教育長「文科省がそういったら、竹富町だけ有償(はおかしい)。全員同一条件にならなきゃいけない。竹富だけ有償なら、与那国も石垣も有償だと思う」

文科省の見解を受けて、県は再度、協議の場を設置しようしていましたよね。

中村記者「先月、県教育委員会は3市町の教育長を呼び、同じ教科書が採択できるか意見交換の場が設けられましたが、結果は平行線をたどり物別れに終わりました」

今後、竹富町はどのような対応するをするのでしょうか?

中村記者「文部科学省は県に対して、必要な教科書の数を伝えるよう県に求めています。その期限が今月末です。それを受けて、竹富町教育委員会は今月26日に会合を開き、改めて『東京書籍』であることを県に伝えることにしています。また、文部科学省に対しては、何故、竹富町だけ有償なのかを説明を求める文書も提出することにしています。そのなかで、慶田盛教育長は納得のいく説明が文科省からあれば、指導を受け入れると話しています」

慶田盛教育長「納得できるそういう諸条件があればそれは見直しだってできる。指導は指導として、受け入れる許容度はちゃんと持っています」

中村記者「今後、文部科学省が竹富町に対してどのような説明が行われのかが注目されますが、今までどおりの説明では竹富町としては納得できないと思いますので、問題解決は来年までもつれそうです」