不適切な発言をしたとして、沖縄防衛局の田中前局長が更迭された問題で、防衛省の事務方トップ中江公人事務次官が11月30日、沖縄を訪れ、仲井真知事に正式に謝罪しました。
仲井真知事は、「信頼はぶち壊された」と述べ、政府が年内に予定している環境影響評価書の提出については、「状況判断を間違えないように」と釘を刺しました。仲井真知事は「局長の件だとすれば、極めて遺憾であるとしか言いようがありません。(県民は)極めて傷ついていますから、これだけお伝えするしかないなというところですか」とだけ話しました。
これに対して、中江事務次官は、「沖縄の皆さんに心よりお詫び申し上げます」と謝罪した一方、普天間基地の辺野古移設に向けた手続きについては「私どもとしては、従来の方針に沿って、より一層、誠心誠意進めて参りたいと。沖縄の皆様への理解の努力を、また、損なわれた信頼を回復すべく、より一層努力を重ねていきたいと思います」と述べました。
東京から謝罪のために足を運んだ中江事務次官でしたが、会談はわずか6分で知事に切り上げられました。仲井真知事は「回復というのは、なかなか簡単ではないとお伝えして。恐縮ですが、これだけにしておきましょう」と切り上げました。
これに対して中江事務次官は「環境影響評価書については、年内に提出すべく、準備を進めていて、この方針に変更はございません」と話しました。
また仲井真知事は「信頼関係がもしあったとしてもぶち壊されていますからね。今の作業だけは強引に進めたいというのは、判断に何か、ピタッとこないものがありますね。ただ状況判断を間違えないようにとはあえて申し上げたいと思いますがね」と記者団に応じました。
一方、沖縄防衛局前では市民団体が抗議集会を開き、前局長の不適切発言に抗議の声を挙げました。抗議集会は、基地の県内移設に反対する県民会議が呼び掛けて行われました。
集会では環境影響評価書の提出時期に関する、田中前局長の不適切発言は、沖縄や女性を蔑視する発言だと抗議するとともに、更迭はとかげの尻尾切りだとして、一川防衛大臣の辞職を要求する抗議声明文を沖縄防衛局に提出しました。
一方、玄葉外務大臣は11月30日、局長発言は言語道断で絶対に許されないと述べ、「私も沖縄に関連する大臣として、沖縄県民に、心からお詫び申し上げたいと思う」と謝罪しました。
しかし、辺野古を前提とした環境影響評価書を年内に県に提出することについて、玄葉外務大臣は「外交安全を保障を預かる立場として、環境影響評価書の年内提出に向けた準備というのはさせていただきたい」とこのように述べ、局長更迭と評価書の年内提出はあくまで別問題だとの認識を示しました。