『(基地建設のための)作業船では潜水作業が予定されています。100メートル以上離れてください!』
岸本記者「午前9時20分です。今、ダイバーが海の中に入りました。基地建設に向けた調査が今始まりました!」
防衛省は4月、22014年の基地の完成を目指し、辺野古沿岸部での事前調査を開始。滑走路の位置を巡り、政府と膠着状態にある県は、防衛省の責任でやるならとこれを容認します。
県土木建築部・首里部長「(Q:県は那覇防衛施設局と一緒になって円滑な調査を進めたいのか?)というよりも海域使用の許可申請がきたので、円滑な調査をして頂くのが私達の立場です」
しかし、市民団体はこの事前調査は、環境影響評価の正式な手続き以前のもので、「初めに基地建設ありき」の違法なものだと主張。海上で激しい抗議運動を展開します。
それから3週間後・・・。
『AM5:00建設反対のカヌー出艇辺野古浜港ではおよそ100人が座り込んで夜明けを迎えた』
比嘉カメラマン「辺野古上空に来ています。海上ではヘリ基地建設に反対する人々が漁船やカヌーを使って、調査船を取り囲んでいます」
この日、防衛省は海上自衛隊を調査に派遣。明け方から辺野古の海を埋め尽くした国側の船はおよそ200隻。迎える反対派は小型船とカヌー12隻。力の差は歴然です。
市民団体・平良夏芽さん「海底にくいを打ってサンゴの着床具を固定しようと1.5cmの鉄柱をハンマーで打とうとしている」
防衛大臣も、本来国民を守るための自衛隊を市民団体の排除のために使ったことを認めました。
久間防衛大臣(当時)「(Q:今回、海上自衛隊が出る必要はあったのか?)どうなるか民間だけでは分からないからね。前回の時は全然出来なかった訳ですから、妨害活動で。最初から反対の人は何やったって反対ですからね」
この県民を見下した態度に、仲井真知事も防衛省を真っ向から批判します。
仲井真知事「自衛艦が出てきてというのはいかがなものか。そういう事態じゃないのではないか。特殊任務を持つ自衛隊の船が出動するような事態にあるとは考えられない」
しかし、政府が気にするのはアメリカの顔色だけ。外務・防衛閣僚のトップ会談では、アメリカのミサイル防衛への全面的な資金協力などを約束します。
ライス国務大臣「この同盟を維持していくだけではなく、さらに強化する」
麻生外務大臣(当時)「在日米軍の再編、また役割や任務に関する措置を一層着実に実施する」
そして今月12月、政府は移設協議会の中で、これまで凍結していた今年度の北部振興事業費100億円の支給を約束。来年2月には環境影響評価の本調査に入ろうと、露骨に地元へ圧力をかけています。
高江住民「何で高江区を囲むように作らなくちゃいけないのか」「小さいから押しつぶせでは、高江区は日本人じゃないのか!」
アメリカ軍の北部訓練場の一部返還に伴い、東村高江区を囲むように6つのヘリコプター着陸帯を作る計画もことし大きく動きました。
1月末、環境影響評価の最終段階である知事意見が提出されましたが、住民が求めていた建設の中止は盛り込まれず、知事は150人の区民の命を守ってくれないのかと住民は反発します。しかし、日米合同委員会は建設に着手することで合意。翌日、初めて高江区を視察した仲井真知事は・・・。
仲井真知事「うーん、(ヘリパッドと住宅地が)かなり近いという感じはしますね」
しかし運用の改善で対処できないかという消極的な姿勢は変わりません。
高江区・仲嶺武夫区長「生活の問題をどうしてくれるんだということが全く示されていない。我々はヤンバルクイナ以下の人間なのか」
孤立無援の状態に追い込まれた高江区。住民らは7月から座り込みを始めますが、ここにも大きな国の力が突然襲い掛かりました。
『(沖縄防衛局)作業開始!危険ですから退いてください!公務執行妨害だぞ!』「(市民団体)全員座れ!!!」
ヘリパッドの建設予定地に運び込まれる土砂や資材。政府は大きな機材を運び込むタイミングを今も探っていて、区民の24時間体制の座り込みは今も続いています。
高江区住民「(Q:ヘリ怖い?)怖い。こっちに落ちたら、みんな使うものだけ持っていてから引越しする。おもちゃも全部捨てておいて、持っていくものは持っていく。お着替えも靴下も」
またことしはアメリカ軍の軍事優先・地元軽視の姿勢が際立った年でもありました。
比嘉記者「6人のアメリカ兵がパラシュートで降下してくるのが見えます。地元自治体が反発を強める中、降下訓練の強行です。」
比嘉記者「名護市上空です。アメリカ軍はキャンプシュワブの降下訓練を実施しました」
岸本記者「故障した水陸両用車の傍、こちらは民間地なんですが、あちらの茂みに隠れているアメリカ兵の銃口は、一般道路のほうに向けられています」
海兵隊員「ここは我々の訓練地域だ」
同盟国である日本の国民の車に銃を向けたアメリカ兵。
そして嘉手納基地に3ヶ月間暫定配備された、世界最強とも言われるステルス戦闘機F22。
F22部隊司令官「F22は最新技術の塊だ」
アメリカ軍は一体何を守ろうとしているのか?それは日本でも沖縄県民でもなく、アメリカ軍そのものではないのか?
2004年8月、宜野湾市に墜落した米軍ヘリコプター。その同型機は地元の猛烈な反対をよそに、先月11月、普天間基地に舞い戻り再び、私達の頭の上を飛び回っています。
こうしてみるとアメリカ軍の基地機能の強化はもちろん、ことしは防衛省の沖縄に対する強硬な姿勢が目立ちました。
仲里副知事は防衛省のあまりに強引な姿勢に「戦後の住民からの土地の取り上げ方に良く似ている」と批判したこともありました。来年は、辺野古での基地建設の動きがさらに加速すると見られますから、国のやり方を注意して見ていく必要がありそうです。