毎年7千から8千匹。これは、県内で殺処分される犬や猫の数です。一体どうしてこの様な悲劇が生まれるのか?現状についてのリポートです。
飼い主を待つ犬や猫たち。県動物愛護管理センターで行われている譲渡会です。捨てられたり迷子になったり、路上を徘徊していたところを、捕獲された犬や猫です。
譲渡会に来ていた女性「殺処分されるっていうのを本当に最近になって知って、命を大事にしたいなぁっていうことで。」
犬は毎週水曜日に、猫は毎日、譲渡会が行われ、新しい家にもらわれていきます。しかし、飼い主が見つかる犬や猫たちは全体数の1割もいません。
譲渡会以外の動物たちは愛護管理センターに来て1週間後に殺処分されます。動物愛護管理センターの平安常寛さんは短い期間で殺処分しなければならない理由をこう話します。
平安常寛さん「狂犬病に感染した犬、猫、あるいはその他のげっ歯類とかですね(海外から)入ってきたときにこれに咬まれて万が一病気がぱっと広まったら抑えきれない。」
あまり知られていませんが狂犬病は猫、そして人間にも感染します。そして、発病したら今の所、有効な治療法はなく、ほぼ100パーセント死に至るといわれています。しかし、理由は狂犬病だけではありません。
県動物愛護管理センター 平安常寛所長「犬が必ずしも自分に対して友好的とは限らない。公園を散歩していて自分が連れてた犬が向こうから散歩にきた子犬をかみ殺した事例。これがよくあります。」
犬同士だけでなく、1995年には石川で、5才の女の子が放し飼いの犬に噛まれて死亡しています。
去年殺処分された犬は2972匹。猫は4479匹でした。全国的にも、人口比では、犬や猫の殺処分数は犬が1番多く、猫は3番目に多い数となっています。
この背景には、避妊・去勢手術をしないため、無計画に数が増え、予防接種ケアが出来なくなり、その結果、面倒を、みきれなくなるという悪循環があると譲渡会で犬や猫の飼い方を提案するボランティアスタッフは指摘します。
日本愛玩動物協会 宮城直子理事長「避妊手術をしないで外でつないで飼っていれば、沖縄とっても野犬が多いですよね。(犬も猫も)年に2回から3回産みますので。あといってらっしゃ~いって散歩を、犬だけで単独で散歩をさせないことです。」
単独で散歩をさせた場合、行方不明になるのはもちろん、外で妊娠したりさせたりするケースが出てきます。一方で、毎年、狂犬病が発症しているアメリカでは飼い犬や飼い猫については、予防接種が徹底していて、避妊や去勢手術も済ませている場合が多いが、飼い方に問題があると平安さんは話します。
県動物愛護管理センター 平安常寛所長「フェンスで囲って離していたりするんです。フェンスがあるからだいじょうぶということでそっから逃げ出したりするんですよ。しょっちゅう起きますよ。今年に入って14、5件は通報を受けてその度に警察と我々が一緒になって追いますね。」
とはいえ、以前に比べて室内犬が増えたことで路上で捕獲される犬は減ったと平安さんは言います。
また、以前は、保健所で対応していた犬や猫の相談窓口が2006年から動物愛護管理センターに委譲され、放し飼いや、騒音などの苦情を各市町村が個々で対応するようになったことも犬の捕獲数減として現れてきているのではといいます。
県動物愛護管理センター 平安常寛所長「自分たちの業務として市町村がやるようになってからそれから個々の対応が細かくなってやるようになりました。これ大きいのかなぁって思ってますね。市町村のもちろん指導、もう全体的にあと情報がいろいろ入ってくると。」
しかし、猫の殺処分数は一向に減りません。これはどうしてでしょうか?
県動物愛護管理センター 平安常寛所長「猫に関する取り締まる法律って実はないんです。うち(センター)が捕獲しに行く市町村が捕獲しにいくということはないです。」
取り締まれないため、野良猫が子猫をつぎつぎと産んでしまうというのです。
県動物愛護管理センター 平安常寛所長「猫問題っていうのはこれから本格的に取り組まないと5000頭の数字は絶対に下がらないと思う。これは本県だけの問題じゃなくて多分全国的な問題ですね。」
譲渡会に来ていた女性「命あるものだし、かわいいだけで飼っちゃいけないなぁって。家族の一員として迎えて最後まで一緒にいてくれる人が増えたらいいなぁって。」
譲渡会に来ていた女性「できれば今日つれて帰りたいなと思います。最後を看取れるくらいまで一緒にいたいと思います。」
犬や猫を生き物として尊重し、家族の一員として愛情と責任を持って飼えば、殺処分される犬も猫も格段に減るのではないでしょうか?