各県の強豪がその演技を競いあう全日本ダンスフェスティバル。いろんな部活の寄せ集めながら全国切符をつかんだ普天間高校のテーマは「フェンスの向こうに」です。基地問題を全国に訴えたい彼等の挑戦を追いました。
先週神戸で開催された高校ダンスの甲子園、全日本ダンスフェスティバル。普天間高校もいよいよ大会本番を迎えました。
琉球舞踊のメンバーは夜遅くまで髪飾り作り。沖縄らしさを追求したいリーダーの比嘉大志くんの提案です。
2歳の頃から琉舞を習う比嘉くんは髪結いや化粧もお手の物。
比嘉くん「(きょう何時からやっているの)朝5時すぎから1人ずつ髪の毛をやって」「きょうは2時間も寝てないです」
新体操部のメンバー「体から行って顔を残して、こんなして、授業中に飛行機の音がしたときのはあっみたいな感じ」
沖縄への思いを演技に込める生徒たち。指導する石嶺先生も厳しい視線でチェックします。
比嘉くんが演じるのは奪われた土地を思い、苦しむ市民のために祈りを捧げるユタの役です。
比嘉くん「自分的にはあす(決勝に)残りたいって気持ちはあるけど、それよりもまず見て(沖縄の現状を)しっかり感じてほしいっていうのがあるので、それを受け取ってもらいたいです、見ている人に」「内地の人に基地問題についてもっと深く考えてほしいっていうことを訴えていきたいと思います」
照屋くん「やってきたことをやりつくして踊るだけです」
豊田さん「沖縄の現状と普天間の気持ちを全国の皆さんに届けたいと思います」
みんなで円陣を組んで「がんばるぞー!オー!!」
しかし、彼等にアクシデントが待っていました。
会場スタッフ「さっき衣装とかメイク、ヘアスタイル、許可を得たと聞いたんですが、どこの許可を得ましたか?」(大会ルールでは衣装やメイクは本番前の30分間、楽屋でのみ行うこととなっている)
時間のかかる琉装は楽屋入りを前に、先に準備を行うことを申請していましたが、大会側と学校側の解釈は異なっていました。生徒たちに動揺が走ります。
それでもあとは本番に全力をそそぐのみです。
石嶺先生「がんばってね」
彼等のダンスは観客にどう映ったのでしょうか・・・
観客「あのすごくよく伝わってきました、そういう問題を高校生のみんなが私たちに向けてダンスでつたえようとしてるんだなことがよくわかりました、いい演技でした。」
観客「わたしも1度だけ沖縄にいったことがあるんですが、行く前までは自然、青い海、青い空と思ってたんですけど、いってみたらそうじゃない沖縄があったということを思い出しました。」
観客「レベルの高いのはびっくりしました、上手だった。」「若い人たちがあういう形で訴えているのはいいと思いました。」
観客の意見は上々。しかし結果は・・・
屋良先生「うん、うん(電話閉じて)結果発表です、予選落ちだそうです」
行き違いとはいえ、メイクの件が結果に影響したに違いない。責任を感じ涙する琉舞メンバー。副顧問の屋良先生はあることを確認しに会場に戻りました。
屋良先生「ずばり聞きました、メイクのことで減点されたんですかって、違いますって、違うんだって」「だから自分を責めないでね(先生も泣きそう)」
比嘉くん「自分の中でホッとしたというか聞けてよかったです」「踊りのメンバーはめちゃくちゃきついことを言ったときもあったけどついてきてくれてありがとう。」
豊田さん「最初は本当に何人かからはじまったんですけど、こんなに集まってくれるとは思わなかったし」「いい思い出を作らせてもらってスーザン先生ありがとうございました。」
石嶺先生「県内大会のことを思うとこのメンバーでできたことがすごいなって」「このメンバーですばらしいメンバーでやれたこと一生わすれないでください」
それぞれ違う部活のメンバーが集まり、身近にある基地問題をダンスを通して考え表現した夏。普通ではない日常を伝えていく大切さが芽生えたひと夏でした。
比嘉くん「近くにいる自分たちがもっと伝えていかなければいけない、この先もずっと伝えていかなきゃいけないって」「もっと伝えていったらもっといい方向に進むんじゃないかってそう思いました」
様々なハプニングもあり予選通過はなりませんでしたが、彼等の演技は観客のしっかり胸に届きました。全国の反応を肌で感じた彼等にとってもこの夏の体験は大きな自信と伝えることの意義が芽生えた貴重な夏になったのではないでしょうか。