戦後の混乱期に義務教育を受けられなかったお年寄り達が学ぶ、民間の夜間中学「珊瑚舎スコーレ」に対し、沖縄県教育長は、正式な卒業認定が出せるよう、前向きに検討していることを明らかにしました。
去年の春、珊瑚舎スコーレ夜間中学を卒業した1期生について、沖縄県は戦後処理の一環と位置づけ、特例措置として、生徒の住民票がある市町村の中学校から卒業証書を授与しました。しかし、法で認めるものではなかった為、珊瑚舎では県に対し、正式な卒業認定を求めてきました。
こうした中、先週末、仲村守和県教育長や教育委員会のメンバーが初めて珊瑚舎を視察。授業を見学したあと、生徒を前に卒業認定について言及しました。
仲村守和県教育長「正式に卒業認定をもらえるような形が出来ないかと言うことで、今、検討をして参りたいと思っております」
仲村県教育長は、今月24日に開かれた市町村の教育長を集めた会議の中で、地元の中学校に学籍をおいて学べるようにし、正式な卒業認定が出せるよう働きかけたことを明らかにしました。
仲村守和県教育長「市町村で学齢簿を作っていただきたいと。要するに、学びたい方の戸籍みたいなものを。そして市町村が住んでいる近くの学校に行ったらいいですよと指示を与えるわけです。市町村で学籍、学習指導要録を中学校に作ってもらうということをまずスタートラインにして」
珊瑚舎スコーレで学ぶ生徒についても、学籍は各市町村の中学校に置きながら、珊瑚舎で学び、正式な卒業認定を出せる方法を考えたいとしています。
これまで珊瑚舎の卒業生については泊高校の定時制か通信制への進学に限られていたものが、正式な卒業認定が出されれば、地元の普通高校への進学の道も開かれるわけです。
ただ、来月卒業を控えた生徒については時間的に適応は難しいとしていますが、道筋が見えてきた中で、どうにか正式な卒業認定が出せないものか、智恵を絞って努力して欲しいです。