動かぬ基地です。普天間基地の返還が合意されて15年。政府は名護市辺野古への代替施設の建設を推し進めようとしてきましたが、ここにきて事情が変わって来たようです。
迷走する普天間基地に移設問題。揺さぶられる沖縄の現状を取材しました。
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仲井真知事「普天間の移設先は県外を探していただきたいと」
北防衛大臣「私どもは昨年5月の日米合意に基づいて真剣に追求していかざるを得ないという立場でありますので。」
全く噛み合わなかった仲井真知事と北防衛大臣の主張。普天間問題はこの後、思いがけない展開になります。1週間後、アメリカの大物上院議員が出した声明。
ジム・ウェブ委員長「海兵隊の普天間基地は嘉手納空軍基地に移設して、嘉手納基地の機能を他のアジア太平洋地域に移すべきだ」
アメリカ空軍の施設である嘉手納基地に海兵隊の機能を統合するというもの。これまで4度も浮上し、その都度消えた案でしたが、今回は予算決定権限を持つアメリカ議会の有力者の提案ということでいつもと様相が変わっています。
沖縄国際大学 佐藤学教授「アメリカ側は一つは軍事予算の削減をしなければならないということで深刻な話として、政府の予算削減をしなければならないというのがあるわけですよ。」
これに対し地元は、速やかに反応しました。
嘉手納町議会「嘉手納町民と県民にさらなる犠牲を強いるものであり、到底容認できるものではない。」
嘉手納町議会は週明け早々「抗議決議」を可決。日米両政府に対して、強く反対を訴えたのです。
当山宏 嘉手納町長「町民の危険度はますます高まってまいりますし、基地被害についても、拍車がかかるだろうという風に思っていますので、断固反対せざるをえない。許すことはできないと思っています。」
しかし普天間の迷走は、続きました。中でも県民を驚かせたのが、国頭村安波区から突然浮上した計画。過疎化に歯止めをかけようと、この地区の役員たちが高速道路建設などの振興策と引き換えに、基地の受け入れを決定。要望書を、政府関係者に提出したというのです。しかし…。
安波区の住民「なかったんですよ。急に聞いたんですよ。大変じゃないですか。あっち普天間も危ないからよかすのに、危ないものをこっちに持ってきますかね。 」
国頭村 宮城馨村長「県外国外ということで話が出ている中で、今、安波ということで話が出てくること自体が、全く理解できないし」
区の要望の場に立ち会った国民新党の下地幹郎幹事長はこう話します。
国民新党 下地幹郎幹事長「今回は辺野古とやり方が違うんですよね。向こうからそのことについて自分たちでまとめてやりたいと仰っているので、それは注目していかないとと思います。」
こう語る下地幹事長ですが、訪米に際しては、住民の合意を必要としない、政治決着できるものとして、別に2つの案をアメリカ側に提示していました。
国民新党 下地幹郎幹事長「辺野古は許可がないと(工事が)できないけど、シュワブ陸上案と嘉手納統合案は日米両政府が合意すればできる。」「嘉手納の騒音が軽減され、
普天間の軽減が早く終わるんだったら、政治が決断してやるのも必要。」
一方、名護市では辺野古への新基地建設を、条件付きで容認してきた島袋前市長が後援会「和の会」を開催。ゲストには前原前外務大臣が招かれました。
島袋吉和 前名護市長「普天間移設の問題においては、きょう集まりの皆さんが15年間という長い年月にわたって条件付き容認をしてまいったところであります。このような中で忌憚のない意見が出てくると思いますので。 」
知事も議会も「県内移設はノー」と言っている中で、次々に飛び出す新たな計画。そこには様々な思惑が感じられます。
沖縄国際大学 佐藤学教授「どれを選ぶかという選択肢を迫られているようで、そもそもおかしい。選択肢は県内に置くなと選択しているわけですから、それを基本にしてアメリカに交渉しなければいけないはずなのに、やるつもりない。沖縄県民は言われた通り、何にも得のない選択肢を迫られることになりかねない。」
普天間第二小学校 知念春美校長「(固定化は)絶対あってはいけないと思います。絶対あってはいけない。強く訴えたいと思います。」
宜野湾市新城自治会 与那覇政勇会長「危険と隣り合わせで一生を過ごさないというととんでもないと思います。」
来月末には、日米安全保障協議委員会2プラス2が予定されている中、一連の動きは、沖縄の人たちを揺さぶり、気がつけば、結局移設先は、県内という状況を作り出している、そんな風にさえ感じます。
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国頭村の安波地区では今月24日区民総会を開き、改めて住民たちに計画の説明が行われるということです。しかしこれを前に、国頭村の宮城馨村長はきのう村議会議員を集め、どんな条件がつこうとも受け入れには反対するという強い意思を表明しています。
予定地は、ヘリパッド建設が持ち上がっている東村高江区の近くです。高江区で激しい反対運動が展開されている中、その目と鼻の先の安波区で基地建設が持ち上がるということはまた、基地建設を巡る混乱を招きかねません。
県内では知事も議会も県内移設ノーだと表明しているわけですから、県民の意思を反映した交渉をしてほしいものです。
以上動かぬ基地でした。