新たな提案が出るたびに振り回されるのは地元・沖縄です。4月、沖縄を訪問したアメリカのレビン上院軍事委員長らは、普天間基地の辺野古地区への移設は「実現不可能」として、嘉手納基地への統合を中心とする移設案の検討を提案しました。
ジム・ウェブ上院東アジア太平洋小委員会委員長は「海兵隊の普天間基地は嘉手納空軍基地に移設して嘉手納基地の機能を他のアジア太平洋地域に移すべきだ」と話しました。
レビン委員長らは声明で、普天間基地を辺野古地区に移設する案は実現不可能と指摘。沖縄の政治状況に加えて、今の日米の厳しい財政状況では2006年に合意通りの移転費用の捻出はできないためと説明しています。委員長らはこの案をすでにゲーツ国防長官に提出していますが、国防総省はANNの取材に対し、2010年5月に辺野古地区への移転を決めた日米共同声明の通りだとしています。
また、枝野官房長官も「ご指摘の提言については議員としての見解に基づいて行った提言というふうに承知をしている。政府間では2010年5月に日米合意が結ばれており、日本政府としてはこの日米合意を着実に実施をするという方針に変わりはない」と日米合意を着実に実施すると述べました。
日本政府は、6月下旬で調整している日米の2プラス2で、現行案通り辺野古への移設に向けて具体的な工法などを協議する方針です。
仲井真知事は「嘉手納も騒音が酷いということで、僕らも測定器を置いているけど酷いです。騒音がうるさいのに、もっとうるさい騒音をのせて、わかりましたという人はいない」と話していました。
嘉手納統合案が挙げられたことについて嘉手納町の当山宏町長は「機能強化と基地被害につながり断固反対する。いかなる条件であっても許されない」と不快感を示しました。さらに「現在でさえ、もう受忍限度を超えるというような騒音被害、あるいは悪臭被害を町民はこうむっております。嘉手納基地への普天間の統合については不可能だということを米国政府も認識すべきだと思っている」と話しました。
また第3次爆音訴訟原告団の福地勉さんも「やっぱり怒りしか感じない。原告団代表として、やっぱり少しでも静かに寝かしてくれ、せめて会話できるくらいの音で飛んでくれという要求しかしてない。嘉手納基地の大変さを本当に理解していないという気がします」と反発しています。
また宜野湾市の安里市長は「沖縄に新しい基地を造って、新たな負担を押し付けることは許されるものではないし、グアムへの移設によって大きな基地の負担軽減を図る道を実行していただきたい」と普天間基地の固定化も県内の別の場所に押し付けることも許されないとの考えを改めて示しました。