地上デジタル放送への完全移行まで残りあと5カ月あまりですが、沖縄県の地デジ普及率は78.9%と全国最下位。各家庭を訪問して地デジへの支援を呼びかけるデジサポカーの取り組みを取材しました。
地デジの準備を呼びかけるデジサポカー。乗っているのは準備を支援するデジサポ沖縄のアドバイザー。先月から県内の各家庭を訪問して、地デジ準備の済んでいないお宅の相談にのっています。
デジサポ沖縄では、これまで公民館や学校で地デジ教室を開くなど、多くの取り組みを行ってきました。
デジサポ沖縄アドバイザー・吉田克己さん「地域を回って啓蒙活動するが、なかなかお年寄りの方は出て来れないみたいで、そういう場所に参加してない方が多い」
デジサポカーは、これまで呼びかけることのできなかった人たちを見つけ出す最終手段なのです。
戸別訪問などの取り組みによって、沖縄と同じく地デジ普及率が低かった岩手県が普及率を大幅にアップさせた例もあります。
本島北部の大宜味村。沖縄県の中でも長寿の方が多い地域として知られています。アドバイザーの吉田さんと大城さん。まず訪れたのは、地域の様子を知る公民館です。
民生委員・松本冨士子さん「ほとんどが高齢者2人とか、夫婦2人とか、一人暮らしとかそういうのが多いので、そういう方を対象にして回ってもらいたい」
区長・屋良朝之さん「現在のテレビでは見れなくなる、テレビを替えるか何かしなければいけない、これはわかってると思います」
地デジの準備を手伝ってくれる子どもなどがいない高齢者世帯での遅れが目立つようです。
地デジを見る方法は、デジタルテレビを買うことだけではありません。チューナーと呼ばれる機器を今見ているアナログテレビにつなげることでも地デジを見ることができるんです。ケーブルをつないで、初期設定をすると・・・。
かかった時間は10分程度。教えてもらいながらやるとこんなに簡単なんです。
地道なローラー作戦のスタート。まずはアンテナをチェックします。
住民「地デジ大丈夫だと思うけど」「問題ないですね」
こちらのお宅ではリビングは既にデジタルテレビになっていますが、寝室はまだアナログのままです。アドバイザーは、良いチューナーの選び方をアドバイスします。
住民「年寄りにはちょっとややこしいから。チューナーのあれですか。良かったですよ。あれわかってね。わからなくてさ」
狭い道が入り組んだ集落。
アドバイザー・吉田克己さん「けっこうセールスマンと間違えられたりして説明しようとしてもいいですいいですって」
相談までこぎつけるのも一苦労です。
経済的な事情で地デジの準備が難しい世帯にはそれぞれ県と国の支援制度がありますが、適用条件が異なることから自分がどれに当てはまるのかわからない方も多いようです。
アドバイザー「役所行ってね。このまる付いてるものの免除が欲しいですって言えば、役所の人も必ずわかりますから」
アドバイザーは事情を聞きながら、どの支援が受けられるかということや申請の仕方についてアドバイスします。
住民「伝票(申請用紙)とかがわからない。難しい。(聞けてよかったですね)ありがとうございます」
一方、地デジを受信できる環境があっても電波状況の悪さなどから地デジを見ることのできない「難視世帯」の存在が問題となっています。
区長・屋良朝之さん「わたしの家がちょうど盆地、ター滝のそばなんですけど、テレビは映りません。災害の時に県内のニュースが入らない。それが欲しいです」
このような世帯を見つけるのも相談員の仕事のひとつです。
デジサポ沖縄アドバイザー・大城俊輔さん「直接回ることによって、顔と書類が見えるので何が困ってるか一番わかりやすい」
アドバイザー・吉田さん「やっぱりお年寄りの世帯がなかなかできないみたいですね。そういった世帯を我々が洗い出して、支援が必要な方には支援をお知らせして、これからずっと回っていきたいと思います」
目指すのは、テレビを見られなくなる地デジ難民を出さないこと。デジサポカーのパトロールは続きます。
地デジ準備の仕方というのは、テレビや新聞などでよく目にしますが、お年寄りにとってはどうしても難しいと感じてしまう方が多いようです。
ただし、全国では地デジ移行につけこんだ詐欺も起きています。デジサポの相談員がお金を請求することはないので、注意してください。