78.9%。ことし7月のアナログ放送終了を前に総務省が行った調査で、沖縄県の地デジ普及率が全国で最も低い事がわかりました。しかし、これは一般の家庭を調査対象にした世帯普及率です。この数字に含まれないある業界の普及状況を調べました。
次々と病室から運び出されるアナログテレビ。県内の病院での入れ替え作業で、その数200台以上。一日を病室で過ごす入院患者にとって、テレビはなくてはならないものですが、実はその病院でテレビの地デジ化が進んでいないのです。
総務省沖縄総合通信事務所・津幡岳弘さん「事業所については特段データがない。ここは各事業所の必要性に応じて対応していただくことだと思っていますので、全国的にも事業所のデータというのは把握しておりません」
記者「こちらの病院では、患者さんはこのようなテレビカードを購入することによって、テレビを見ることができるようになっています」
多くの病院では、テレビを事業者からのレンタルやリースで運用しています。患者が支払うテレビカード代金を事業者と病院で分配する仕組みです。県内大手のレンタル・リース事業者に病院の地デジ化進捗状況を聞いてみました。
総合メディカル沖縄支店・上田幸人さん「沖縄はやっと50%に乗ったというところ」
QABが実施した主要な病院へのアンケートの結果、回答のあった13病院のうち、地デジ化がほぼ済んでいる病院は5つと、4割に満たない状況でした。
一方、こちらは浦添市内のある病院。多くの入院患者がテレビを楽しんでいます。
女性患者「暇ですね。テレビは必要です」男性患者「1日中暇さえあれば見てますよ」
処置に長い時間がかかる人口透析にもテレビは欠かせません。
病院スタッフ「大半はテレビを見て療養していますので、ないと困るもののひとつだと思います」
画面には「アナログ」の文字。この病院では、およそ100台のテレビ全てがアナログのままです。
病院スタッフ「すぐに取り掛かるという金額ではないので、やはり経営としては厳しい状況にあります」
この病院ではリースではない自費での購入も検討しているといいますが、大きな設備投資だけに慎重な姿勢。
これまで多くの病院では、導入やメンテナンスにかかる費用を事業者に任せることで効率的な運営を図ってきました。しかし、デジタルへの切り替えによって、多くの病院で採用されていたリースの仕組みも崩れてきたのです。
上田さん「各社ございますけども、どこでも一気に会社の資本を持ち出さなきゃいけないような状況になっておりまして」
リース事業者にとって、デジタルテレビはアナログよりも高い導入コストがかかる上、一括切り替えによって、通常のリース運用サイクルも狂ってしまったといいます。
病院の自己負担でもリース契約での事業者負担でも支えられない地デジ化の大きな負担。これが病院の地デジ化を遅らせているのです。
国や県では巨額の予算を組んで、デジタル化にかかる費用を負担できない低所得世帯などへの支援に力を入れています。しかし、その申請率は低く、活かしきれていないのが現状です。予算の一部を病院などの支援に拡大することはできないのでしょうか。
津幡さん「営業目的のテレビの方に使うというのは、なかなか国民の支持が得られないのではないか」
県企画部情報政策課・崎浜猛さん「事業者についての拡大は考えておりません。非常に難しいと思います。」
病院は私たちの生活に欠かすことのできない機関。切り替えが遅れれば、万が一の災害時、患者が災害情報を見られなくなるおそれもあります。
上田さん「この7月に電波を止めるということであれば、打開策があってもいいかと思います」
アナログ放送終了まで残り半年、行政を含めた取り組みが望まれています。
入院患者「ずっとテレビの画面に(アナログの)表示が出てるんですけど、変えるんだろうなとは予想はしてますけど」入院患者「できれば早く替えられたほうがいいと思います。やっぱり患者さんたちテレビ見たいしね」
病院だけではなく、沖縄は、一般家庭でも地デジ化が遅れているという状況です。これまでのテレビが見られなくなるという、今までになかった事でよくわからないという方もいるのではないでしょうか。どうすれば地デジが見られるかわからないという方はデジサポセンターにお問い合わせ下さい。
デジサポセンター沖縄 098-993-1002