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続いては特集です。去年、沖縄にルーツを持つ日系アメリカ人が国から勲章を授与されました。その人がこの方、ポール・ナカソネ氏です。元アメリカ軍のサイバー軍司令官、そして、アメリカの「NSA・国家安全保障局」の長官を務めました。

今回、QABでは、ナカソネ氏に単独インタビューを行い、本人のルーツや自身が携わってきたサイバー脅威と沖縄への影響を伺いました。

ここからは、取材した、メカラー・クラフト・ジュリア記者です。

メカラー・クラフト・ジュリア記者「ポール・ナカソネ氏の祖父母は、1910年代に沖縄からハワイへ移住しました。特に祖母は、写真のみで相手と結婚が成立する、いわゆる「写真花嫁」として、一度も会ったことのない相手と結婚するためにアメリカへ渡りました」

「当時、沖縄や日本から多くの女性が、写真だけを頼りに遠く離れた地へ渡り、新天地で生活を築いていきました。ナカソネ氏は、自らのルーツについてこう語っています」

ポール・ナカソネ氏(音声英語・字幕)「私の祖父は1910年に沖縄からハワイへ渡り、大金を稼ごうと考えていました。祖母は1914年に写真花嫁として渡米し、写真でしか見たことのない相手と結婚するためにやってきたのです」

アメリカ軍のサイバー軍ナカソネ元司令官 独占取材「沖縄とサイバー脅威」

またナカソネ氏の父、エドウィン・ナカソネ氏は第二次世界大戦中にアメリカ軍の日本語通訳として従軍し、戦後、日本や沖縄に滞在しました。

ポール・ナカソネ氏「私の父はハワイで生まれました。当然ながら日本語を話す家庭で育ちました。1941年12月7日、父は家の外にいて、日本軍の飛行機がパールハーバーを攻撃するのを目撃したのです」「戦後、父は通訳として日本へ行きました。従兄弟たちは戦前に日本へ戻り、日本語学校で学んでいました」「しかし戦争が始まると彼らは日本に取り残されました。」

「従兄弟の一人は1945年4月の沖縄戦で亡くなりましたが、父は1946年の夏に沖縄で従姉妹を見つけ、彼女が自分たちの家族の一員であることを確認できました」

アメリカ軍のサイバー軍ナカソネ元司令官 独占取材「沖縄とサイバー脅威」

「彼女はその後ハワイへ戻り、家族を持ちました。父が彼女を見つけ、ハワイに家族がいることを伝えたことを、彼女はいつも感謝していました」

「これはとても感動的な話です」

メカラー・クラフト・ジュリア記者「ナカソネ氏は、アメリカ陸軍で37年のキャリアを積み、NSA長官、そしてアメリカ・サイバー軍司令官を務め、彼の指揮のもとアメリカのサイバー防衛力は大幅に強化します」

さらに日本ともサイバー防衛協力を深める取り組みを行います。その成果が、評価されてナカソネ氏は、去年の秋、国から旭日大綬章(きょくじつだいじゅしょう)を授与されました。

アメリカ軍のサイバー軍ナカソネ元司令官 独占取材「沖縄とサイバー脅威」

ポール・ナカソネ氏「私はいつも考えていました。祖父が生きていたら、自分の孫が天皇陛下から旭日大綬章を受けることをどう思っただろうか、と」「去年11月にその場にいたとき、ずっとその考えが頭の中を巡っていました。これこそが、私たちの国を偉大にする要素なのです」

メカラー・クラフト・ジュリア記者「ナカソネ氏のように、沖縄にルーツを持っていて、アメリカ軍の最前線で指揮する人物がいます」

今回の取材を通して改めて沖縄とアメリカの歴史的な結びつきの深さを知りました。そんな中、ナカソネ氏が近年、懸念しているのがサイバー空間における安全保障の脅威。

ナカソネ氏は、中国のハッカー集団「ボルト・タイフーン(Volt Typhoon)」が、アメリカのインフラを標的にしていると話したうえで、沖縄の重要な軍事拠点がサイバー攻撃を受ける可能性について次のように語っています。

アメリカ軍のサイバー軍ナカソネ元司令官 独占取材「沖縄とサイバー脅威」

ポール・ナカソネ氏「ボルト・タイフーンは、我々の重要インフラや主要資源の深くまで入り込んでいます。水や電力、経済の機能を考えてみてください。彼らがアメリカのさまざまな場所に入り込んでいるのか?」「間違いなくそうです。彼らが太平洋の我々の親密なパートナー国にも入り込んでいるのか?」「その通りです。そして、私は彼らが沖縄にも入り込んでいると考えています」

中国のハッカー集団が、沖縄などの重要インフラに潜伏している可能性がある中、攻撃が実行された場合の影響やその危険性について彼はさらに詳しく語ります。

ポール・ナカソネ氏「なぜこれが重要なのか?それは、中国、特に人民解放軍が米中間や日中間の緊張が高まった際に、混乱や混沌を引き起こす手段を探しているからです。彼らは那覇の電力を停止したり、沖縄の経済に影響を与えたりすることができるかもしれません」

「毎日ATMでお金を引き出せない状況を想像してみてください。もし中国がこのような攻撃を仕掛けてきたらどうなるか。これは現実に存在する深刻な脅威であり、すべての人が理解すべきことだと思います」

沖縄との特別な繋がりを持ち続けることに、誇りを感じているナカソネ氏。沖縄への思いを語りました。

アメリカ軍のサイバー軍ナカソネ元司令官 独占取材「沖縄とサイバー脅威」

ポール・ナカソネ氏「まず最初に、沖縄の皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思います。文化の継承、そしてアメリカ・沖縄・日本のパートナーシップの継続に尽力してくださったことに、心から感謝しています」

「また、私は沖縄にルーツを持つ者として、そのことをとても誇りに思っています。こうして皆さんとともに、過去や現在について話すことができること、そして明るい未来についても語ることができることを、とてもうれしく思います。」

メカラー・クラフト・ジュリア記者「世界でのウチナーンチュの活躍が、結果的に安全保障の面や沖縄の発展に繋がっているのだと改めて感じました。今後の「沖縄の発展と未来」を考えていくうえで、地元で生活する私たちと海外で活躍するウチナーンチュをどのように結び付け、連携していくのか?注視していきたいと思います。

QABでは、今後も沖縄に関わる安全保障問題や沖縄の今後について専門家の意見を交えながらお伝えしていきます。

ここまで、メカラー・クラフト・ジュリア記者と共にお伝えしました。