今年に入っても県内で特殊詐欺事件が相次いでいます。県警によりますと、去年、県内で発生したオレオレ詐欺や架空請求などの特殊詐欺の認知件数は171件と、前の年を123件上回り、その被害額は2億1400万円にものぼります。
また、SNSなどで対面することなく交流を重ねることで相手を信用させ金銭をだまし取る、SNS型の投資詐欺などの認知件数は132件で、その被害額は、前の年と比べ10億9600万円増加のおよそ14億円にのぼるということです。
ことしに入り、県内で発生した特殊詐欺の件数はきのうまでに44件で被害額はおよそ7000万円にのぼり去年を上回るペースで増えています。なぜこんなにも多くの人が詐欺に引っかかってしまうのか社会心理学の専門家に詐欺の手口や特徴について取材しました。
今年に入ってもあとを絶たない特殊詐欺事件。沖縄市に住む、國吉吉仁(くによし・よしひと)さんのもとには警察官や電話会社の職員を装う男からの特殊詐欺と思われる電話が去年9月から半年間で3回もあったといいます。
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先月も「NTTファイナンス」の職員を装う男から身に覚えのない料金を支払うよう電話がありました。音声にはレジで店員の対応を想定し、具体的に指示をするなど手口が巧妙になっていることがわかります。
ニセ業者「高額決済ですと店舗や店員によっては注意喚起が入る場合があります。このカードは何に使うものですか?と用途の説明を求められたり実際は事例の説明をされてこういったものにあなたは悪用されませんか?大丈夫ですか?と地域によっては行政指導などが入っている場合もあります。」
「聞かれた際には悪用に使うものではありません」「自分で使うものなので大丈夫ですとハッキリお伝え頂ければ問題はございません。自分の使うものなので大丈夫ですとハッキリお伝え下さい」
電話を切らせないよう男の指示はさらに続きます。
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ニセ業者「携帯電話は引き続きこのままポケットやカバンにしまって頂ければけっこうですのでまずはATMから現金の引き出し、電子決済も同様に100円単位のお支払いは出来ないので10万円を3枚30万円で一度処理をお願い致します」
また、去年12月、本島中部に住む40代の女性のもとにも電話会社の職員を装う男から身に覚えのない料金を請求する電話が。
始めは、子どもが携帯を使ってゲームなどを行った際間違って課金してしまったのではないか?と疑いがあったということです。
ニセ業者「間違った登録かもしれない、覚えがない、認識がないとおっしゃっていたんですけど使用したアクセス履歴が確認できなかったので誤認登録という国の救済制度をお手続きすることが十分に可能かと思います」
ニセ業者「一旦、29万9600円をお支払いしてクラウドさんにお支払いをするじゃないですか。民事裁判のお手続きは取れ下げられます。債務の解消と言ってそうした方については申請をお出しするので7日~10日以内に支払った金額の95%はご返金対応できます」
被害女性「どういった手続きをされたらいいのでしょうか?」
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ニセ業者「手続きが完了されるまで7日~10日とお伝えをしたんですけど、ご自身以外の方に制度やお手続きのことを公開しないで下さいという「守秘義務」というものが課せられてしまうんですけど「守秘義務」というのはご存知でしょうか?」
ニセ業者「職場戻られると思うのですけど、守秘義務関係だけは必ずご自身のためにも守って頂ければと思います」
女性は不審に思い、インターネットで検索したところ全国で同様の電話や被害があることがわかりその後、電話を切ったということです。
警察は「電話やSNSの相手から金銭や投資の話がでたら必ず詐欺を疑い家族や警察に相談してほしい」と注意を呼び掛けています。
相次ぐ特殊詐欺事件。社会心理学の専門家は、巧妙化する詐欺の手口や被害に遭いやすい人の特徴についてこう話します。
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琉球大学・泊真児教授「不安喚起型ともう一つは欲求くすぐり型と考えられるんですけど、不安喚起型は例えば「未払い金があります」とか「延滞金がありますよ」とか、とにかく不安を煽って動揺させてそれによって「どうしよう」とパニックになっている状態で「こうすれば解決します」とか例えば「今手続きすれば大丈夫」「今着手金を払えば間に合います」とか解決策を提示してうまく加害者側のやり口に乗せていくというパターンが一つ」
「もう一つは「当選しました」「いい投資商品があります」とか常套句があって「今手続きをすれば利益が3倍になります」とか「これだけ利益が出ている人がいます」とかいう形でそれもすぐに手続きをすれば得をするやり方でアプローチしていくと2通りのことが考えられます」
「とにかく考えさせない、焦らせる、周りと相談させずにすぐ行動をさせるとそういうやり方ですので、それと逆をいくやり方ということなのでとにかくまず考える、相談する、時間をかけるすぐ行動をしないなどのやり方に持っていくことが出来るかどうか簡単なように思えることばかりかも知れないですけどそれが出来ないようにどんどん畳み掛けて来るので、それにストップをかける一旦呼吸を置けるかどうかということが鍵になると思います」
「誰でも詐欺被害に遭うと言うのが確実に言えること」『誰でも(詐欺に)引っかかる、騙されてしまうということを前提として考えなければいけないもう一つ大事なことはそのように考えておかないと一部の騙されている人だけ問題と自分とは切り離して考えるといのうが一番危険で、実際に「自分とは関係ない」とか「自分は騙されるはずがない」と考えている人が騙されているという事例もデータもあります』
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県内で相次いで発生する特殊詐欺の被害。他人事だと思わず自分の身近に迫っている問題と考えることが求められます。
琉球大学の泊教授は誰でも詐欺にだまされる可能性があることから、だまされない、または被害にあわないためにも自分事として認識し、警戒を怠らないこと「お金が絡む話は、詐欺を疑い慎重に冷静に時間をかけて判断や行動をすること。すぐに決断や行動はせず、信頼できる人に相談をすること。立ち止まることや他人の声かけに聴く耳をもってほしいとしています。