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続いては週刊首里城です。早いもので、来年の秋に迫った首里城正殿の完成!全国から集まった宮大工による作業も終盤を迎えています。今回は、去年の年末で現場を後にした若き宮大工の最後の一日を取材しました。

先月、8人の宮大工が首里城での作業を終えました。

宮大工・小松優喜さん「1年2カ月の間 いろんな仕事を貴重な経験をさせてもらって、本当にありがとうございました。」

小松優喜さん。佐賀を拠点に活動する若手宮大工です。幼い頃から工作が大好きで3年前、小学生の頃から抱いていた「大工になる」という夢を叶え、おととし(2023年)10月、親方の一瀬さんとともに首里城の現場へとやってきました。

宮大工・小松優喜さん「女性なのにすごい、女性だけどすごいじゃなくて、ただすごいと言われる大工さんになりたい」

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」

小松さんが目指しているのは、”確かな技術ある職人” 今回の復元では、木材をどう加工していくか目印をつける墨付けや加工、実際に木を組み上げるまで、様々な工程に携わってきました。

宮大工・山本信幸 総棟梁「なかなか女性の棟梁に私もまだ一人もめぐり合っていないので、彼女は(棟梁が)できるんじゃないかなと非常に期待している」

平成・令和と首里城の復元に携わってきた山本総棟梁も期待を寄せています。

宮大工・山本信幸 総棟梁「こまっちゃんが時々言いますけど”重たいものは男が持てばいい”と。”私は重たいものは持たずに、私ができることをやる”と言う。非常に頼もしい。見たことないような棟梁になってもらえれば」

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」

宮大工・小松優喜さん「すいません遅くなりました、よろしくお願いします。」

全国を飛び回る大工の仕事。小松さんは親方と共同生活を送っています。炊事や洗濯、親方の身の回りの世話は小松さんの担当で、帰宅後すぐさま夕食の準備に取り掛かります。

宮大工・小松優喜さん「時間との勝負、できるだけ早くご飯を食べて早く休憩、寝られるように」

翌日の朝ごはんや、お弁当の準備も並行して進めていきます。この日は、地元・福岡から訪ねてきた両親と一緒に餃子パーティーです。また、日課としているのが、その日現場で学んだことをノートにまとめること。首里城の現場でも毎日欠かさず続けています。

宮大工・小松優喜さん「やった仕事、発見なども結構書いている、もう無くせないですね。捨てられない、やっぱり自分で書いているし、これが自分の足跡なので」

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」

日々努力する娘の姿は、両親の目にどう映っているのでしょうか。

母・小松芳子さん「失敗しながらもすごい楽しそうにしている彼女を見ていて、やっぱよかったなって。まだ過去形にはならないんですけど、謙虚に感謝の気持ちを忘れずにやっていけたら薄給ですけれど、お金じゃない人生を送れるんじゃないかなって」

宮大工 小松優喜さん「本当に心配もかけたなと思う、今自分は楽しく過ごしていて、その姿を見てもらうのが父母を安心させることができると思っていて、この道をもっと頑張って極めて、もっと喜んでもらえたら」

そして迎えた現場最後の日。『いつも通り』早く現場に入って、みんなの飲み物を準備し、『いつも通り』現場の変化を見て回り、正殿の姿を記録します。

宮大工・小松優喜さん「あんまり実感なくて、終わる頃に、きょう最後か、みたいになるのかなと思う」

昼食(正午)小松さんの親方 宮大工・一瀬元宏さん「現場で1年2カ月ぐらい毎日欠かさず作ってくれたので本当にありがとうございます」

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」

小松優喜さん挨拶「こんなにたくさんの方が集まる現場ってなかなかないと思うし、本当に皆さんと出会えたことが私にとって大きな財産になった。まだまだ大工人生これからだと思うので向上心持って向こうに帰っても頑張っていきたいと思います。」「竣工前、みんなでまた笑顔で会えるのを楽しみにしています。では今までありがとうございました。お疲れ様でした。」

こうして1年2カ月に及ぶ小松さんの沖縄生活が幕を下ろしました。

後藤亜和さんと小松優喜さん抱擁「大丈夫だよ、いつでも電話するね!自分をするからね」

宮大工・後藤亜和さん「お姉さんみたいな存在で、いろんなことを相談していたし、いつでも私の味方になって話聞いてくれるので、とても心の支えになっていたので、すごく大きい存在だった」

小松さんの親方 宮大工・一瀬元宏さん「男性、女性関係なしに今後も活躍していけるよう育てていこうと思っている」

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」

宮大工・小松優喜さん「自分の人生の大工人生の中でも一番印象に残るような現場だったんじゃないかと思う。(これからも首里城は)ずっと光景が変わっていくと思う。それをぜひ見に来てほしいと思うし、完成したときにやってよかったと自分たちも喜べるような建物にそして、周りから見てくれる人にも感動を与えられるような建物になってほしいなと思う」

多くの職人の手で一歩一歩前へと進む首里城。みんなの思いをのせて、正殿は来年完成です。

小松さん、色んな人と関わり生活する中で沖縄が第2の故郷となりました。今後、北殿や南殿などの復元も予定されていますからチャンスがあればぜひ沖縄のために働きたいと話していました。

首里城の宮大工さん達は、2月末までの作業予定。まさに”今しか見られない”職人の技をぜひ見に行って下さい。

♯特別編 週刊首里城「若手宮大工 首里城最後の日」