2023年、わいせつ目的で少女を誘拐し性的暴行をした罪に問われているアメリカ空軍兵の男の裁判が12月13日に判決を迎えます。
わいせつ誘拐と不同意性交等の罪に問われているのは、アメリカ空軍の兵長・ブレノン・ワシントン被告(25)です。
起訴状などによりますとワシントン被告は2023年12月沖縄本島の公園でわいせつ目的で当時16歳未満の少女を誘拐し、被告の自宅で性的な暴行を加えたとされています。
これまでに4回審理が開かれ、検察側は少女に甚大な精神的被害を与えたとして懲役7年を求刑、一方、弁護側はいずれの罪も成立しないと無罪を主張し、両者の主張は真っ向から対立しています。
判決は、12月13日午後2時から那覇地裁で言い渡されます。
解説 米兵ワシントン裁判 あす判決
ここからは取材を続けている濱元記者とみていきます。
濱元記者「まずこの裁判でわいせつ誘拐と不同意性交等の罪に問われているのはアメリカ空軍兵長のブレノン・ワシントン被告 25歳です。被害者が県内の16歳未満の少女となっています。」
濱元さん、今回の事件はどのような経緯で起こったのでしょうか?
濱元記者「裁判が進むなかで当時の状況がみえてきました。検察側の資料などによると、事件発生の去年12月24日午後4時すぎワシントン被告は前日に妻と口論をした気晴らしに車で本島内の公園に向かいました。」
「4時半ごろにその公園にひとりでいた少女に被告は声をかけて翻訳アプリなどを使ってやり取りをします。それから「寒いから車の中で話さない?」と車内に誘い、午後5時すぎに公園から被告の自宅に連れてゆき、その際に今回の争点の1つである性的暴行を加えたとされていて、午後6時半ごろに少女を車で送りました。」
「家に帰った少女が家族に泣きながら被害を訴え、警察に110番通報をして事件が発覚しました。」
ここまで4回裁判は開かれていますが、それぞれどのような主張をしていたのでしょうか?
濱元記者「争点は大きく分けて3つあります。被告が「わいせつ目的で少女を自宅に連れて行ったのか」「被害者の年齢を16歳未満と認識していたか」「無理矢理に性的暴行を加えたか」というものです。」
まずは検察側の主張です。
争点1の「わいせつ目的で自宅に連れて行ったのか」について、検察は被告が全く面識のない少女を家に連れ込み暴行を加えた点などからわいせつな目的があったとしています。
争点2の「年齢の認識」については少女が実際の年齢を英語や身振りを交えて伝えたと証言していて、検察は付近の防犯カメラにジェスチャーで年齢を伝えるような少女の様子が映っていることなどからこの証言に信憑性があるとしました。
争点3の性的暴行については少女が英語や日本語でやめるよう求めても、被告が行為をやめなかったとしています。
弁護側はどのような主張なのですか?
濱元記者「弁護側は公園でふたりが話をするなどしながら車に乗り込んで家に行っているのは自然な流れで、被告には元々わいせつな目的はなく「わいせつ誘拐」には当たらないと主張しています。」
「年齢については、ワシントン被告が公園で少女に確認した際に18歳と答えたとしていて、16歳未満とは認識していなかったとしています。」
「性的暴行については「不同意性交等の罪」にあたるような行為はなく、すべての行為の度に少女に対して「同意を得ていた」と主張しています。」
両者の主張は全く食い違っていますが、それぞれどんな判決を求めていますか?
濱元記者「検察側は被告にわいせつ目的が元々あり、被害者が16歳未満と知っていて無理矢理性的暴行をしたとしています。そのうえで「犯行は身勝手で自己中心的であり、甚大な精神的被害を与えた」などとして懲役7年を求刑しました。」
「これに対し弁護側は、わいせつ目的はなく少女を18歳と認識していて、行為には同意を得ていたなどとして「わいせつ誘拐」「不同意性交等」の罪には当たらないと無罪を主張しました。」
あすの判決のポイントはどのような点になりそうでしょうか?
濱元記者「今回の裁判は目撃証言や記録などの客観的な証拠が多くはないという点で、「少女の証言」「被告の証言」の信憑性というのが重要になっています。出廷した少女が法廷で5時間以上質問に答えるなど、異例ともいえることもあり、それらを踏まえて裁判所がどのような判断を下すのかが注目されています。」
ここまで濱元記者でした。