注目ビズは「介護」についてです。家族の介護は働き盛りの世代が直面する問題でもあります。
来年4月には「育児・介護休業法」が改正され、厚生労働省によりますと介護離職の防止策として、介護に直面した従業員に対して企業には介護休業や介護両立支援制度に関する周知などが義務づけられます。詳しく見ていきましょう。
育児・介護休業法の改正で(1)介護に直面した従業員への両立支援制度についての情報の個別周知と意向確認(いわゆる不利益をほのめかすことがないよう意向確認のための働きかけをすること)、(2)40歳になった従業員への介護に関する情報提供、(3)介護に関する雇用環境の整備、が主な改正ポイントです。
従業員を介護で離職させないためには、一体どんな手立てがあるのか取材しました。比嘉鈴代記者のリポートです。
那覇市にあるレキオスホールディングス。社員はおよそ140人で総合不動産や情報通信など幅広く事業を展開している企業です。
レキオスホールディングス代表取締役社長兼CEO 宜保文雄社長「(Q.介護と仕事の両立に悩んでいる従業員さんはいらっしゃったんですか?)結構いて、会社に相談していいかな?とか含めて壁とか遠慮とかがあったんで、そういうことをずっとどうにかしたいっていうのがあって」
宜保社長がいち早く取り入れたのは、介護と仕事の両立を支援しようと取り組んでいる「産業ケアマネジャー」が集まって立ち上げた、「仕事と介護両立サポート協同組合」との業務提携でした。
産業ケアマネジャーとは、企業と顧問契約し、「仕事と介護の両立」に関する情報提供や、社内窓口など、企業と働く人をサポートする人材です。
そのエキスパートが集まって去年4月に結成されたのが「仕事と介護両立サポート協同組合」でした。協同組合では、職場での実態調査、勉強会、個別相談などを行い、現在7つの企業と提携しています。
おきなわ仕事と介護両立サポート協同組合 産業ケアマネジャー 大城五月さん「産業ケアマネジャーとして契約している企業様にご案内していて、従業員のご家族さま、付き添いが必要な時に従業員が休まずに利用できる制度とか、休んで付き添っていいよ、どちらでもいいよって、会社が選択肢をだしている」
団体の代表理事を務める産業ケアマネジャーの大城五月さん。この活動の背景には、自身の親の介護で苦労した事がありました。
大城五月さん「今から6年前ですね。父が仕事帰りに交通事故にあいまして、歩いているところに車に跳ねられて、そこからそのまんま。もう意識も戻っていない状態で」
大城五月さん「ただ父のことをきっかけに、全然想像もしていなかったことが、急にこうやっておこるんだっていうのは何かまず体感したというのが正しくて」
ケアマネジャーとして働く大城さんでも実際に親の介護に直面したときには、どこへも相談できず。母親は、父の介護に専念するという理由で仕事を辞めざるを得なくなり、経済的にも精神的にも追い詰められました。
大城五月さん「人それぞれこの介護い直面するタイミングだったり、状況場面ってそれぞれなので、母はその選択をしたけれども、もしかしたら別の選択をすることもできたかもしれないという意味では、先にいろいろな情報を知っている方がいいのかな?」
自身の経験を基に講演では、望まない介護離職を防ごうと、仕事と介護の両立の為にやるべきことを訴えます。
大城五月さん「『介護と仕事、自分の人生』両立を前提とする考え、ご自身がここまで積み上げてきたキャリアをここで中断してしまうのはすごくもったいない、それを続けながら大切なご家族の介護も継続していくというような考え方で進めていきたい」
この日は、レキオスホールディングスで介護をしながら働いている人たちへの個人面談日。2016年から母親の介護をしている井上さん。ことし9月ごろから母親の体調が悪化し、現在は週3日実家に通いリモートを取り入れながら働いています。
株式会社レキオス 主任 井上香奈子さん「(相談するときは、特に言いづらさとかなかったですか?)そうですね。うちの会社は言いづらい環境ではないのかな。新しい知識とかも教えていただいたのですごくありがたいし。状況に応じて気軽に相談できる窓口があるというのは助かります」
もう一人面談に訪れていた真栄城さんは、去年86歳の母親が自宅で転倒。突然の介護に直面し、いつまで続くか分からない介護への不安から一旦は退職を決意。しかし産業ケアマネジャーとの面談後、フルリモートワークでの働き方を選択しました。
株式会社レキオス 主任 真栄城賢さん「最初は、もうこのまま死んでいくのかなって自分も思ったんですけど、それぐらいの状況だったんで。今びっくりしています。今もリモートで行かれているのかなってちょっとおもっていたので」
大城五月さん「必要な場面でちゃんとやれば回復していくっていうのが分かれば、皆さんどれだけ早めに対応していくかっていうのが重要」
企業の取り組みから見えてきたもの、それは、従業員を型にはめず柔軟な働き型に対応することと、法的な社会保障の情報をきめ細かに伝えること。さらにオープンに企業内で情報交換ができる環境でした。
レキオスホールディングス代表取締役社長兼CEO 宜保文雄社長「中小零細企業が多いじゃないですか。一社だけで抱えなくてもいいかな?できれば周辺の企業同士が連携してサポートできるような環境が作れるいいんじゃないかなって、いま思っていて模索しています」
2021年度厚生労働省の調査によると、介護を始めてから離職までの期間が半年未満が6割。辞める理由が「勤務先の問題」を挙げている人が最も多かったということです。
育児介護休業法の改正施行まで あと4か月。各企業は就業規則や育児介護休業規定の確認を早めに行ってください。以上「注目ビズ」、ここまでビジネスキャッチーでした。