めーにちしまくとぅば、きょうは特別編です。しまくとぅばを話してみたいと思っている人々へ向けたある取り組みを取材しました。
那覇市にある昔ながらの映画館。そこへ一人の男性がやってきました。向かったのはシアタールームではなく半地下の小さな部屋!ここで行われているのは?
授業「うちゃ うさがみそーれー(お茶をおあがりください)」
しまくとぅばのレッスンです!
那覇市の桜坂劇場で9月から始まった「沖縄語(うちなーぐち)学校 MABU-e」本島中南部や離島の言葉、親子で参加できる講座にうちなー芝居から学ぶものなど20以上の授業があり沖縄の言葉について幅広く学ぶことができます。
企画したのは、劇場の若手スタッフたち。「もし沖縄の言葉がなくなったら」そんな想像をしたのがきっかけでした。
桜坂劇場 比嘉野花さん「うちなーぐちをしゃべれる人が本当にゼロになったときに、自分のことを沖縄県民って言えるのかなという疑問がまずあって、つなげていくために自分たちの世代からうちなーぐちをもっと広げていこうという思いで作りました。」
県外に出るとよく聞かれる質問もアイデンティティを考える機会になったといいます。
桜坂劇場 大田結月さん「自己紹介のときも沖縄の人って分かっただけでなんかしゃべってとか、沖縄についていろいろ聞かれてたんですね。ただ正直話せないし上手く沖縄のことも説明できなくて」「うちなーんちゅのアイデンティティとかについて考える機会が少なくなったと思って」
同じように感じているうちなーんちゅは多いはず!そんな人たちのためにと考えられた時間割は、このように『2024年秋期表』曜日ごとに毎日様々な講座が受けられます。
受講生「大学卒業してからずっと内地にいて沖縄の言葉とかをしゃべれないのがコンプレックス」
この日、初心者向けの「はじめてクラス」に参加したのは30代から60代までの5人。学びたいと思った理由も人それぞれです。
受講生「どんどんなくなっていく沖縄のしまくとぅばを、今自分たちが戻していかないともう危ないんじゃないかなと。」
受講生「(しまくとぅばを)僕らが使うと親は怒りよったんですよ、方言を使うこと自体がダメみたいな雰囲気があって、だけど知らないし、しゃべれないというのは寂しいなって」
講師の久手堅さんは、幼い頃からしまくとぅばを聞いて、話してきた世代。授業では基礎的な単語やあいさつを学ぶだけでなく話す練習も。
「去年60歳になりました」「生まれたところは京都です」「私は沖縄のオードリーヘップバーンといいます」
講師 久手堅豊さん「あいさつのなかで、うちなーぐちを使っての1日の出来事とかね、ゆんたくを少しでもやってもらって、うちなーぐちになじんでもらいたい。それが一番ですよね」
間違えても大丈夫。雑談したり、ちょっと脱線したり、いつもにぎやかな授業では疑問に思ったことも、どんどん質問できます。
「たーやが?」「たーが しーじゃか?ってね」
久手堅さん「使えるところで、どこでもいいから使ってほしい。そうすることによって残っていくんですよ。相手も興味を持ってくれるし」「ひとつのキャッチボールやるばー。うちなーぐちは。分からなければ、説明するんだよ」
休憩も入れて1時間半、どっぷりしまくとぅばの世界に浸りました。
受講生「楽しいです。質問が多いクラスだと思うので分からないことも全部まとめてノートに書いたりしています」
受講生「(タクシーの)ラジオでしまくとぅばの唄が流れていたんですね。おじいさんが運転されていて、ちょっとしゃべってみたらすごく喜んでくださって大変褒められましてうれしかったです」
久手堅さん「タクシーの運転手に言いました?やすめてとぅらしぇーって。」「その時まだ習ってないから笑」
桜坂劇場 大田結月さん「ゆんたくしながら講師と一緒に作り上げていく雰囲気が感じられるのでそういう面をもっと増やしていきたい」
話したことがない人も、ちょっと分かる人も。ゆんたくしながら学べる場所が新たなうちなーんちゅのまぶいを育てていきます。