ここからは早わかりビズ。りゅうぎん総研の研究員にお越しいただいて、県経済の動きをわかりやすく解説いたします。きょうの担当は我謝 和紀(がじゃ かずき)さんです。よろしくお願いします。
我謝さん「よろしくお願いします」
テーマはこちら。『ジャパンウィンターリーグ開催による経済効果』についてです。我謝さん、今回このテーマを選ばれた理由は?
我謝さん「はい、ジャパンウィンターリーグは2年前の2022年に始まった「野球」のイベントです。沖縄では野球の人気が高いのですが、大谷選手のメジャーでの活躍もあり、さらに注目が高まっています。県内で大きな経済効果が見込める野球イベントといえば、毎年2月に実施されるプロ野球春季キャンプ、その経済効果は177億円に上り、観光オフシーズンの目玉イベントとなっています。ジャパンウィンターリーグは11月に実施されることから、プロ野球キャンプ同様、観光閑散期対策として期待されます。これからの観光コンテンツとしても非常に高いポテンシャルを持っていると思って調査しました。」
なるほど。ただこの「ジャパンウィンターリーグ」テレビをご覧の皆さんもまだそれほど馴染みがないかもしれませんので、どんな大会なのかを簡単に振り返ってみましょう。
我謝さん「はい、そうですね。この大会は、冬場の11月から1カ月間に渡り開催されます。2つのリーグがあり、一つはプロを目指す15歳以上の選手が参加する「トライアウトリーグ」です。国内だけではなく世界中から選手とスカウトが集まり、1カ月リーグ戦を行う中でプロへの道に繋げます。」
もう一つは「アドバンスリーグ」です。これはシーズンを終えたプロ野球選手や社会人野球の選手が集まりスキルアップを目指すもので、1カ月試合に出場して実践力を磨くことが出来ます。
去年のウィンターリーグの映像が流れていますが2023年は県内3つの球場で海外からの選手31人を含む101人が参加。このうちアドバンスリーグには国内の独立リーグや実業団などから50人が派遣されました。そして国内外の31球団からスカウトが参加しました。その結果、プロの契約を結んだ選手が27人に上りました。
我謝さん「このリーグが始まった2年前と去年を比べた表がこちらです。2年前は「トライアウト」だけだったのが去年から「アドバンスリーグ」が加わり参加選手が大きく増加しました。また海外からの参加も増えています。加えて、契約が出来た選手の数は2倍以上となっています。そして観客の数も2倍に増えました。」
1年でここまで拡大した理由はなんでしょうか?
我謝さん「運営側の広報活動の強化に加え、アドバンスリーグの開催により、国内外から実力の高い選手が参加した事や、JICAと提携しアルゼンチンU-23代表のアンマ・ペドロ選手を招聘するなど常に話題を提供してきたことなどが挙げられます」
では、そろそろどれくらいの経済効果があったのかを見ていきましょうか。
我謝さん「はい。まずはリーグに参加した選手やスカウト、そして関係者、試合を観に来た観客や報道関係者などの消費額を推計しました。その結果、宿泊費が1億3400万円、飲食費が6800万円、土産品の購入が6900万円、交通費が5000万円などとなり、それらを合計した直接支出額の推計は4億100万円となりました。」
このうちの県内に落ちたお金を3億4700万円と試算しました。宿泊費や飲食費などの需要が生まれるとホテルやレストランだけでなく、原材料やサービスを提供している産業の売り上げが上がります。
これを「1次間接波及効果」と言い1億3200万円、さらにこれらのおかげで給料が増えたり、増えたお金で別の消費に繋がったりすることで「2次間接波及効果」が生まれます。これを6800万円と試算しました。この直接効果と1次・2次の波及効果を合わせた金額5億4600万円がジャパンウィンターリーグの経済効果となりました。
なるほど、そうなると、来月から始まる第三回のウィンターリーグにもさらに期待が高まりますね。
「今後の展望」
我謝さん「そうですね。ことしの大会概要がすでに発表されています。「トライアウト」「アドバンス」ともに定員80人で全55試合。プロ選手が腕を磨くアドバンスリーグにはプロ野球からは初となる「埼玉西武ライオンズ」と「東北楽天イーグルス」海外からは台湾のプロ野球「統一ライオンズ」中国の「中国野球協会」の選手の参加が決まっています。またスカウト球団は国内のみならず、なんとメジャーリーグから大谷選手率いるドジャース、他にもレンジャーズ、メッツが参加予定です。さらに11/24の開幕ゲームには3,000人の観客動員を目指しており、大会委開催地となるコザ信金スタジアムにて県内の飲食業組合とのタイアップや学校法人とのコラボ企画も実施予定になってます。」
これは直接・1次・2次の波及効果も含めて去年を上回る事、間違いなさそうですね。
我謝さん「ジャパンウィンターリーグが歴史はまだ浅いが、2年目で前の年の2倍の観客を動員しました。野球をする人たちが夢に向かって挑戦できるその姿を見守るのもワクワクしますし、野球関係者を中心に世界から多くの人々を呼び込む可能性のあるコンテンツで今後ますます発展することが期待されます。そのための行政や観光事業者が一体となったPRも重要だと思います。」
きょうは、りゅうぎん総合研究所の我謝さんにわかりやすく解説していただきました。ありがとうございました。
我謝さん「ありがとうございました。」
ここまで「早わかりビズ」ビジネスキャッチーでした。