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サフランの次に高価なスパイスと言われているバニラ。海外産が主流ですが、世界的に価格が高騰していることや安全安心のニーズから国産バニラに注目集まっています。そんななか、久米島ならではの希少な香りを生み出そうと、生産者が栽培に励んでいます。

洋菓子の香りづけに欠かせないスパイス、バニラビーンズ。この黒い小さな粒が・・・甘い香りを生み出します。日本では珍しいバニラの生産者が久米島にいました。

高江洲さん「これなんですよ。(Q.これが?)バニラビーンズ。これ。インゲン豆みたいでしょ、見ると。今グリーンですけれど、先っちょがどんどん黄色くっぽくなっていくんですね、鮮やかなグリーンがちょっと薄く、色が変化していくんですよ。そうなると収獲」

沖縄本島から西へ100キロほどにある久米島。美しい海と風光明媚な自然に恵まれたサンゴ礁の島です。

やさしい甘い香りを届けたい久米島をバニラの産地に

高江洲さん「はい、バニラちゃん、ひさしぶりですー、元気ですか?」

7年前からバニラビーンズを栽培している高江洲郁世さん。有機JAS認定のバニラを育てていて、栽培から加工、販売までを手掛けています。

琉球ハーベスト・高江洲郁世さん「将来は何か栽培して農作物の栽培をしてそれを6次化したい。何か自分のオリジナルの商品を作りたいっていうのがほんとにあって。主人の話を聞いて、これだって思ったんですよね。将来バニラで沖縄はすごいことになるよって言ったことが私の頭の中から離れなくて」

農業の経験はなかったものの、夫:浩明さんの言葉で就農を決意。2017年、本島から夫の故郷である久米島に移り住み、耕作放棄地を三か月かけて整備したあと、300坪に初めて苗を植え付けました。現在、ほ場は600坪にまで増え、およそ1万5000本のバニラを収穫できるまでになりました。

夫・東江浩明さん「高付加価値の植物でありますよね。値段の分も一時、金と同じ値段してましたね。㎏で7万とか。作るまで時間かかりますけれど、やる価値がある植物だろうということで久米島に持ってきたんです」

バニラは暖かな地域で育つラン科の植物で沖縄の気候はおおむね向いているそうで・・・・

ハウスの骨組みに遮光シートをかけて直射日光を遮るほか、土にはヤシ殻やサトウキビの搾りかすを敷いて土の水分量を調整するというシンプルな方法で栽培しています。

高江洲さん「ほんとにあまり過保護にはしてなくて、あんまりかわいそうだなと言っていると、華奢になってしまうから」

やさしい甘い香りを届けたい久米島をバニラの産地に

こうして手塩にかけて育てたバニラですが、甘い香りを引き出すにはキュアリングという作業が重要です。品質の良い物が収穫できても、香りをうまく出せるかどうかは加工次第。高江洲さんは、専用の機械を使って、ゆっくり発酵・熟成させていきながら久米島産独自の香りを追求しています。

高江洲さん「半年以上置いてます。(記者:(嗅ぐ)さわやか。え、これほんとにバニラですか?)そうなんです。これぐらい、香りの差が出てくるんですよ。産地で。じゃあ、沖縄の久米島産のバニラってどういう香りなの?というと、これがすごい特徴があるのかなと思います」

高江洲さん「全部のせね、全ラー二点で」

現在は、生活のためにラーメン店も経営している高江洲さん。店舗の一角でバニラビーンズを販売しています。久米島産バニラは地域でもじわりじわりと人気を集めているようです。

高江洲さん「ありがとうございます。2種類?」

こちらの男性は、販売当初から久米島産バニラのリピーターでほれ込んだバニラビーンズを使ってパンやジャムを作ってきました。

販売当初からのリピーター「久米島のバニラのほうが香りが上品というか。バニラ、アイスクリームとかそんな感じの匂いじゃなくて、もうちょっと上品。ふくよかな香りがするかなと、ぼくは思いますけれど」

やさしい甘い香りを届けたい久米島をバニラの産地に

そんななか、島の泡盛メーカーも動き出しました。1949年創業の久米島の久米仙。島に根ざした「こだわり」のお酒つくりたいと久米島産バニラを使った商品開発です。原料は、久米島産の泡盛とバニラビーンズのみ。

久米島の久米仙・取締常務島袋淳也さん「泡盛自体にもバニラっていう香りはほのかにあるんですけれど、それをうまくもうちょっとバニラビーンズ使って香りが出すことによって、甘い香り出ることによって、このお酒も飲みやすく、泡盛も口にしやすいのかなと思っていましたね」

この日、新商品の販売に向けた最終打合せです。高江洲さんも参加して、テイスティングです。

高江洲さん「鼻から抜けるときのバニラ特有の香りが甘さを引き立てるので、甘いっていう表現とは違うんですよね。すごくおいしいです」

久米島の久米仙営業企画部・嶺井藤哉さん「食後のスイーツのようにたしなむようなイメージで仕上げていこうかなと(高江洲さん:食前酒でもいいですね)食前酒でもいいですね」

構想から開発までに1年近く。久米島産バニラと泡盛のみでつくったお酒は、両社の強みを生かせる商品にしあがっているようです。

高江洲さん「楽しみですね、(嶺井さん:時間ないんですけれど、なんとか産業まつりまでに間に合わせてお披露目できればと思っています)楽しみにしています」

「久米島に貢献したい」そんな想いから始まったバニラ栽培。高江洲さんの今後の目標は?

高江洲さん「柔らかい、優しい甘い、上品なこの香りを何かの商品でみなさんに。島を盛り上げると言ったら、大げさですけれど、盛り上がりの一つになればいいなと思っています」

久米島産バニラを一大産業に。島ならではの香りを追求する生産者の挑戦は続きます。