※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

さて、日本では今週日曜日に衆議院選が控えていますが、海の向こうアメリカでも4年に一度の大統領選挙が行われています。そこできょうは、アメリカ生まれ、沖縄育ちで、これまでアメリカで政治・経済などの取材経験のあるメカラー・クラフト・ジュリア記者に解説をしてもらいます。

ジュリア記者「今回のアメリカ大統領選挙は、世界に大きな影響を与える重要な選挙です。とくに、アメリカの外交政策や防衛政策が、沖縄の基地や安全保障にどのような影響を与えるのか、私たちにとっても見逃せないテーマです。きょうは、今回の選挙が沖縄にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、アメリカの専門家の意見や最新のデータを交えてお伝えします」

アメリカ大統領選挙2024:沖縄に与える影響

ジュリアさん、投票まであと2週間弱になるアメリカ大統領選ですが、現状はいかがでしょうか。

ジュリア記者「共和党のトランプ元大統領と民主党のハリス副大統領が、激しい接戦を繰り広げています。人種別、性別による支持率では明確な違いが見られます。例えば、女性有権者の間では、ハリス氏が優位に立っていますが、男性有権者の間ではトランプ氏が優位を保っています。白人層ではトランプ氏がリードしており、黒人やヒスパニック層ではハリス氏が優勢です」

ジュリア記者「また、大統領選挙では、スイングステートと呼ばれる州が非常に重要な役割を果たします。スイングステートとは、民主党と共和党の支持が拮抗して、選挙の結果がどちらの党に転ぶか分からない州を指します。アメリカの選挙システムでは、各州に割り当てられた選挙人を多数獲得した候補者が勝利するため、スイングステートでの勝利が選挙全体の結果を大きく左右します。代表的なスイングステートには、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルバニア州、ノースカロライナ州など、このように7州があります。このスウィングステートの州別の支持率を見ると、ウィスコンシン州を除くすべての州で僅差ではあるもののトランプ氏が優勢となっています」

アメリカ大統領選挙2024:沖縄に与える影響

アメリカ国民が大統領に求めているもの、重視しているのはどういう点なのでしょうか?

ジュリア記者「最新の世論調査では、アメリカ国民が最も重要視している争点は、やはり経済問題です。多くの有権者が経済を最優先課題として挙げています。次いで、アメリカの民主主義に対する懸念が浮上しており、これも多くの有権者にとって重要な問題となっています」

ここで、アメリカの選挙と有権者動向を分析しているフォーティアー・ジョンさんに、今回の選挙で「重要な争点は何か」を伺っています。

フォーティアー・ジョンさん「政策面では、共和党は主に経済や移民問題を中心に選挙活動を展開しています。彼らは、これらの問題がバイデン・ハリス政権下でうまくいかなかったと考えており、アメリカ国民が共和党に共感していると考えます。一方で、民主党には、特に大学教育を受けた支持層を強く動機づけるいくつかの重要な争点があります。それが、中絶の権利や「民主主義」に関する問題です。これらの点で、彼らはドナルド・トランプを自分たちの信じる価値観に対する大きな脅威と見ています。そして、こうした争点は、特に中間選挙において、上流層や高学歴層に強い影響を与え、彼らを動員する要因となったと言えるでしょう」

では、沖縄としては気になる沖縄を含むアジア太平洋地域に対する外交政策については、どのくらい関心があるのでしょうか?

ジュリア記者「安全保障に関して、特にアジア太平洋地域に対する外交政策について、有権者の中での優先順位は下がります。移民問題は重要な争点として挙げられ、テロや国境の警備といったテーマでの安全保障については、関心は高いものの、アジア太平洋地域の問題に直結する外交政策に関しては優先順位は低いです。沖縄を含むアジア太平洋地域に対するアメリカの外交政策が、こうした選挙の争点の中でどのような影響を受けるのか?」

今度は、アジア太平洋地域の安全保障に詳しいグロッサーマン・ブラッドさんに選挙結果が、どのような影響を与えるのか聞きました。

アメリカ大統領選挙2024:沖縄に与える影響

グロッサーマン・ブラッドさん「トランプ大統領の再選があった場合、これまでの路線をそのまま続ける可能性が十分にあると思いますが、彼の関心がどこに向かい、何を優先するかを予測するのは難しいですね。ただ、たとえトランプ政権が再び誕生しても、日本との良好な関係が続く可能性は高いと思います。実際、最初のトランプ政権時代には、安倍総理との関係は非常に強固でした。そのため、日本にとって重要なのは、大統領との個人的な関係を築くことだと思います。永田町や霞が関で話をした人々も、すでにその方向で努力しているようです」

グロッサーマン・ブラッドさん「一方で、ハリス大統領が誕生した場合、バイデン政権の大きなテーマや中国への脅威認識が引き継がれる可能性が高いと思います。特に、日本がその対応において果たす役割は非常に重要です。軍事面だけでなく、沖縄が米軍の存在や力を投射するための拠点となり、最も重要なのは、地域の安定や抑止力を確保するための責任を果たすことです。この点で沖縄の役割は非常に大きいです」

ジュリア記者「アメリカ政府内では、沖縄の基地は安全保障政策において非常に重要な役割を果たし、特に中国の台頭や地域の緊張が続く中、抑止力の要として、その戦略的価値が増していると考えられています。しかし、アメリカ国内では国家安全保障やテロ対策が重要な選挙の争点となり、外交政策そのものに対する関心は後回しにされている状況です。内政問題が多くの関心を集めている中で、沖縄の基地問題がどのように影響を受けるのか注視する必要があります」

ジュリア記者「次期大統領が、この地域における基地の役割を、どのように位置づけ、地域住民の声や懸念にどのように対応するか?沖縄の未来に直接関わる重要な要素です。特に、基地機能強化に対する地域住民の懸念や環境問題が引き続き課題となる中、沖縄の声をどうやってアメリカに伝えていくか、今後、問われています」

QABでは、来月行われるアメリカ大統領選後にも選ばれた大統領が、沖縄含むアジア太平地域に与える今後の影響などについてアメリカ側の専門家にお話を伺いながら特集をお送りする予定です。ここまで、メカラークラフト・ジュリア記者とお伝えしました。