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金井喜久子~伝説の作曲家の足跡~

ここからは特集です。女性作曲家として偉大な足跡を残した県出身の金井喜久子(かない・きくこ)さん。近年、再評価する動きが高まっています。伝説の作曲家 その魅力とは。

「沖縄の内面的なる力、文化の発展こそがおきなわ再生の第一歩だと思ったのです」

沖縄音楽の母と呼ばれる金井喜久子は1906年宮古島に生まれました。戦前に東京音楽学校、現在の東京藝術大学の作曲科選科で学び、日本人の女性作曲家として初めて交響曲を作曲したとされています。

1972年の沖縄本土復帰式典の会場となった日本武道館で演奏された 祝典序曲「飛翔」(ははばたき)も金井が作曲したものです。そんな数々の功績を残した金井喜久子を再評価する動きが近年高まっています。

一昨年、音楽家や研究者、教育関係者など、有志で発足した金井喜久子プロジェクトは、これまでコンサートや朗読会、県民講座など様々なアプローチで金井喜久子の魅力を発信してきましたが、満を辞して金井の故郷(ふるさと)宮古島で行う公演が間近に迫っています。

金井喜久子プロジェクトから、発起人の宮城さつきさんとオペラ歌手の黒島舞季子(ますこ)さんをお迎えして宮古公演の魅力に迫ります。

Q.金井喜久子プロジェクトとはー

宮城さつきさん「はい金井喜久子さんといって、沖縄出身、宮古島出身の女性作曲家で日本人の女性作曲家として交響曲を作った先駆けとなった方なんですけれども私も含めると、ほとんど金井さんという存在が知られてなかった。ふとしたときに知ってすごく感激して多くの人に知ってもらいたいなという思いからこれまで様々なスタイルで金井さんの魅力を伝えております。」

Q.オペラ歌手である黒島さんにとって金井喜久子の音楽とはー

黒島舞季子さん「そうですねやはり金井さん、あの時代復帰の前後ぐらいの時期に活躍された方なんですけれども、あの時代まだまだ沖縄の音楽とか、あと沖縄の方言とかにかなり偏見とか、あと少し差別的な意識がまだ蔓延してた時期なんですけれども、その時期にその沖縄の音楽を世に広めたい、例えば本土であったり世界に広めたいという情熱を持って五線に採譜してみたり、例えばその方言だと何かしらそのみんなが理解できないから、そこをこの標準語を日本語に直して楽譜を出版したりとか、かなりいろんなアイディアを持って沖縄の音楽を世に知らしめようと努力された方なんですね。」

「それはもう本当に大きな功績だったと思います。やはりあの時代のその金井さんの活躍があってこそあの努力があってこそ、今の若い方々がその沖縄の音楽を使っていろんなことを作曲したりシンセを使ったりね、いろんなことができるようになったと思うんですね。」

Q.次の公演を控えていると聞きましたがどのような公演ですか

宮城さつきさん「映像とか音源とか、演奏とか合唱とか、そして黒島さんに喜久子さんなんかなんか曲の中でも大好きな曲なんですけれども、川平朝申さん 川平朝清さんのお兄さんですね、が歌詞を書かれたハイビスカスを歌っていただきます。」

「ハイビスカス」

作詞 川平朝申 作曲 金井喜久子

歌唱 黒島舞季子  ピアノ 平良明子

金井喜久子~伝説の作曲家の足跡~

黒島舞季子さん「私も宮古島の出身なのグスク町の出身なんですけれども、なのでやっぱり同じ宮古島出身の音楽家としてここまで世界にね羽ばたいた方がいらっしゃる。あの時代にですよ、やっぱり1人でも多くの宮古島の方々に知っていただきたいという思いが大変強いのでやっぱりそういう思いで演奏をさせていただきたいなと思いますし、まただからこそ金井先生の曲をその宮古島で演奏できるということの意義も大変大きいものがあると思いますので1人でも多くの方に聞いていただきたいなという思いは強いです。」

Q今回の公演の見どころを教えてください

宮城さつきさん「一昨年の舞台と何が違うかっていうと、一昨年からさらに本当にバージョンアップさせてもらっているんですね、それは金井さんの音楽にいっぱい触れてほしいっていうのがまず一つ。それで金井さんの音楽をずっと演奏してCDも出してこられたピアニストの高良仁美さんを今回東京からお招きして、がっつり10分とか聞いていただく時間も設けつつ、金井さんが終戦後8年目にしてパスポートがないと帰れない時代ですから、ようやく8年目にして沖縄に帰ったときに、久茂地すぐ近くの久茂地で2万人集めてコンサートを行っているんですね。」

「そのときに演奏された曲が琉球ラプソディという曲で、その貴重な音源があったので今回は宮古島の宮古高校の吹奏楽部と、それから大人の吹奏楽団の方々に協力をいただいて、あの70年前久茂地で演奏されたあの曲を今回再現します。」

「この久茂地のコンサートのフィナーレに沖縄行進曲っていう曲をまたみんなで沖縄県民みんなでね、当時集まった2万人に歌詞も配って歌ったという曲なんですけど、これを今回宮古島少年少女合唱団、それから宮古島混声合唱団の皆様にも大人も子供も総勢60人で、歌っていただきます。なので、ここからイベントを持っていくという感覚ではなくって、一緒に作り上げていく舞台という形になります。」

Q.今週の宮古公演にかける思いは

宮城さつきさん「いよいよ今週日曜日に金井喜久子物語朗読と音楽の調べin宮古が公演されます。もちろん地元の方々にも見ていただきたいですし、それから本当、そして県外からも駆けつけて見に来てくださる方もいらっしゃいます。」

「ぜひね、公演を逃して欲しくないなと思っております。当日は金井喜久子さんのなんと等身大のパネルでもって皆様をお迎えいたしますのでぜひマティダ市民劇場にお越しください。お待ちしています。」

宮古島では本公演を前にミニライブやパネル巡回展なども開かれています。たくさんの方が集まって今週の公演を楽しみしているようですね。金井喜久子さんの生涯を、朗読とその音楽、そして貴重な映像で織りなす舞台。宮古島の方々と共に作り上げる舞台は、キャストが総勢100人を超えるそうです。以上特集でした。

金井喜久子~伝説の作曲家の足跡~