2026年の完成に向け復元工事が進む首里城の今と 復興に対する人々の思いを隔週で伝える『週刊・首里城』です。今週、再建の現場ではどんな作業が進んだのでしょうか。家族への感謝の思いを胸に「見えないけれど大切な仕事」に取り組む職人とともに紹介します。
GW目前!鯉が泳ぐ龍潭からも望める再建の舞台「素屋根」で、何が行われているのかというと…
現在、作業の中心となっているのが、正殿のここ!3階の軒周りの工事。この1か月の進捗を見ても…ご覧の通り、屋根がどんどん仕上がっています。今週は「野垂木」という細長い木材が、軒先に向かって等間隔に架けられていました。
瓦が葺かれるとこうした基礎部分は見えなくなってしまうため、まさに今しか見られない姿です。そんな工事エリアの一角 限られたスペースで黙々と手を動かすのが、豊見城市出身の新城克治(しんじょう・かつじ)さん。木造建築の天敵!シロアリ被害から正殿を守るため復元で用いられるすべての木材に、しかも手作業で薬剤を塗布する「防蟻処理」を担当しています。
防蟻処理を担当・新城克治さん「平米数で計算しているが、月に大体4000平米」
新城さんによると、柱や梁など大きなものから手で運べる小さな木材まで去年8月からの9か月間で手掛けた木材を並べたとすると、その総面積、約3万6000平米。セルラースタジアム那覇のグラウンドでいうと、なんと 2.6個分ほど!
防蟻処理を担当・新城克治さん「建った状況を見ても一本一本。自分が手作業で塗ったというのは正直信じられない」
また薬剤を塗るのに欠かせないのが…
防蟻処理を担当・新城克治さん「マスクと手袋は作業に必須ですね」
「農薬」の成分とほとんど変わらない薬剤を安全に塗るには、春夏秋冬、季節を問わず「マスク」と「手袋」が不可欠です。
防蟻処理を担当・新城克治さん「自分たちの防蟻工事というのは見えない仕事 シロアリが入らなければ形になっていくものだと思っている。見えない仕事だからこそ丁寧にやりたいという気持ちを持っている」
そんな新城さんの活力は…
防蟻処理を担当・新城克治さん「家族のサポート。家に帰った時の妻の手料理が楽しみ」
毎日仕事を頑張れているのは妻と4人の子どもたちのお陰だそうです。
防蟻処理を担当・新城克治さん「こうやって普通に作業・仕事しているのも家族の協力があってのことだと思うので感謝、「ありがとう」という言葉」
家族の支えを力に変えて、「美しい正殿を後世に残すため」 新城さんは今日も汗を流します。
縁の下の力持ち、美しい正殿を保つためにとても大切な仕事。・ご家族はまだ再建現場に見学に来たことが無いそうで、働いている姿を見せたいと話していました。