2026年秋の完成に向け復元工事が進む首里城正殿の今と復興に対する人々の思いを紹介する『週刊・首里城』今週から隔週金曜にお伝えしていきます。
今回は、2年半後の完成を見据え、絶え間なく動く再建の現場には「学んだ技術を次の世代に伝えたい」と意気込む県出身・宮大工がいます。
恵みの雨が降り注いだ今週月曜、再建の現場では正殿のこの部分、縦横網目状に細かく木材を組んだ「木連格子」と呼ばれる部材がはめ込まれました。そして、正殿を象徴する「唐玻豊(からはふう)」の作業がいよいよスタート!完成に向け着実に歩みを進めています。
そんな現場で汗を流すのが、この道12年の宮大工・上原翔悟さんです。現在は、屋根の軒回り部分の作業を担当、木材の加工や取り付けを行っています。
宮大工・上原翔悟さん「この材料からこの材料を取り出したが」「見て貰ったらわかると思うんですけど、ちょっと材料がこういう感じになっている。ねじれというんですけど」
角にいくほど、取り付ける板が微妙に反っていくことからまるで木材をねじったように加工を施していきます。高い精度が求められる難しい作業だと言うことですが一般住宅の工程ではなかなかできない経験だそうです。
宮大工・上原翔悟さん「それこそ自分が生まれたころにできた建物なので、あって当たり前の建物が一夜にして無くなったのはすごくショックだった」「前回の復元時も県内の大工が混じっていたという話を聞いていたので、これは恐らく関わることができるんじゃないかと」
那覇市出身。幼い頃から身近に感じてきた首里城の再建にどうしても関わりたいと、志願して現場入りしました。復興に携わる中で、芽生えた思いがあります。
宮大工・上原翔悟さん「次世代への継承、第一歩」「自分たち沖縄の人たちが主体というよりは、どちらかと言えば県外の人に教えてもらいながら仕事をやっている最中だが」「復元が終わった後も、やはりメンテナンスという面でも、その他にも北殿・南殿など焼失した建物の復元はこれからも続いていくと聞いている」「自分よりも若い世代、これから続いていく世代に対して今回学んだことを継承していけるように、自分がここでしっかり色んな技術、知識経験を蓄えていけたらと思っている」
「学び経験した技術を次の世代へ」沖縄の未来を担う上原さんの夢は、始まったばかりです。
令和の復元のテーマは「見せる復興」です。上原さんの作業の様子は、工事エリアに併設された一般見学エリアから見学できます。
次回の放送は26日(金)宮大工が木材を組む前に加工された木材に対して、防蟻薬を塗布する職人を紹介します。