琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。本日もよろしくお願いします。
湊和雄さん「よろしくお願いします」
さて今回のテーマは「やんばるに春!甲虫たちの季節」です。
湊和雄さん「いよいよ、やんばるの森も春本番。その主役は花にやって来るチョウではなく甲虫たち。小さな種類が多いですが、とてもバラエティに富んでいます。」
ではVTRを見てまいりましょう!
湊和雄さん「やんばるの森もすっかり新緑に覆われています。」
「ブロッコリーの森」ですね。
湊和雄さん「伊部岳の山頂付近より、やはり 標高の低い麓(ふもと)のほうが新緑が鮮やかです温帯のように紅葉や落葉のない亜熱帯の森の最も輝いて見える季節です。
美しい
湊和雄さん「この新緑の森の中に入ると、寒い季節には活動が低調だった昆虫たちが元気に活動しています。その主役は、春のイメージのチョウではなく甲虫の仲間なのです。その中でも個人的に一番好きなのが、このオキナワトラフハナムグリ。
体長1センチほど?近くで見ると堂々した佇まいですね。
湊和雄さん「そうなんです、どの角度から見ても興味深い模様ですが、一番特徴を表しているのが、この背中。」
鮮やかですね!
湊和雄さん「ええ、そして比べてみると、1匹1匹微妙にパターンや色彩が異なります。そして、正面から見ると目立つのが、先端が3つに分かれた触角です。これは雄もので雌よりも大型です。残念ながら、今シーズンはまだ雌に遭遇していません。サイズは1cm強なので、近づいて観察、撮影しようとすると、飛んで逃げられてしまうことも少なくありません。」
そうなんですね。
湊和雄さん「あっという間に飛び去ってしまうので、スロー映像で見てみましょう。」
飛んだ!
湊和雄さん「さらに80倍スロー映像」
すごい!こんな風に羽が動いてるんですね!
湊和雄さん「決して数の多い種類ではありません。最盛期でも1時間に1・2匹遭遇する程度です。その中でも特に珍しいのがこの褐色部分が消え黒と黄色だけの模様のもの。20から30匹に1匹くらいのレアな存在なんです。今年は運よく10匹目に出遭えました。」
湊和雄さん「これまでの印象では、通常の褐色型よりも黒色型は神経質ですぐに逃げられてしまいます。この30年ほどで初めてじっくりと撮影することが出来ました。」
色によって違うんですか、30年の成果ですね。
湊和雄さん「それ以外でも、多くの甲虫の仲間が見られました。これはアマミアオハムシダマシ。」
アオハムシダマシ!
湊和雄さん「細かい凹凸が刻まれながらメタリックグリーンの光沢が美しいんです。」
光の具合で羽の色が様々な色に見えそうですね。
湊和雄さん「これは、チュウジョウコメツキモドキ。光沢のある黒色に見えますが実際は藍色。数は多い種類です。」
葉の表面を舐めていますね。
湊和雄さん「餌は菌類だと思われます」
湊和雄さん「アマミヒゲコメツキの雄は、枝分かれした大きな触角が特徴です。」「雌の触角は単純な棒状です。夜の照明に飛んできますが、森の中での出会いは少ない種類です。」
もちろんですが、初めて見ました。いるんですね、やんばるには!
湊和雄さん「ええ。そしてこのヨツメオサゾウムシはアオノクマタケランの葉によくいます。緑の葉に赤い体色なので目立ちます。さらに目立つのは4つの目玉模様です。和名は「4つの目」ですが、真後ろから見ると偽の顔のように見えます。」
知らなかった昆虫たちの世界がすぐ近くにあるんですね。今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。