林官房長官が就任後初めて沖縄を訪れ、玉城知事や米軍基地を抱える市長などと面談を重ねました。玉城知事が繰り返し求めてきた「対話の場」で基地問題の解決に向けた進展はあったのでしょうか。就任後初めて沖縄を訪問した林官房長官はまず最初に、辺野古の新基地建設問題を抱える名護市の渡具知市長と面談しました。
林官房長官「本日は、名護市が抱える課題につきまして、幅広く地元の声を聞かせていただければと思っておりまして、それを今後の政府の取り組みに反映していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします」
渡具知名護市長「(地元3区長から)代替施設が住民生活に及ぼす影響、また、建設工事の進捗によるさらなる交通渋滞や騒音の発生を危惧する声があがっております」
渡具知市長は日々進められていく辺野古の工事で、影響を受ける地元の住民たちの生活が守れるような支援を求めるとともに、米軍機による騒音や基地内の離着陸帯の撤去などにも取り組んでほしいと要望しました。
宜野湾市に場所を移して、市役所の屋上から普天間基地を視察した林官房長官は松川宜野湾市長と面談しました。
松川宜野湾市長「普天間飛行場、返還合意から28年が経とうとしております。市民のみなさまもやはり、厳しい環境、これ以上我慢できない、というような状況ではございましたが、夜間騒音をはじめ、過重な負担を強いられております」
辺野古の新基地建設が終わって米軍側に引き渡されるまで少なくとも12年かかるとされていて、松川市長は「普天間基地の返還は市民の長年の願い」だとして「一日も早い閉鎖返還と危険性除去をお願いしたい」と話しました。
最後の面談相手は玉城知事です。国が強行した代執行によって大浦湾側での工事が進むなか、玉城知事が繰り返し求めてきた「対話の場」が設けられた格好です。
林官房長官「沖縄のみなさまには、今もなお、大きな基地負担を負っていただいており、日米で合意いたしました沖縄統合計画に基づきまして、嘉手納以南の土地の返還を着実に進め、負担軽減を一つひとつ実現をしていくことが、担当大臣としての責務であると考えております」
玉城知事「政府におかれましては、私の選挙を含め過去3回の知事選挙、埋め立てに絞った県民投票において明確に示された辺野古新基地建設に反対する県民の民意をしっかりと受け止めていただき、埋め立て工事を中断し、問題解決に向けた沖縄県との対話に応じていただくようお願いするところであります」
玉城知事は普天間基地の危険性除去や辺野古に移設する計画の断念など、15項目を求める要請書を林官房長官に手渡しました。
林官房長官「地元の懸念や要望を率直にお聞かせをいただき、私から懸念の解消や要望の実現のためにですね、政府としてできることは一丸となって取り組むそういう考えであることについて、直接お伝えすることができた、大変有意義な機会であったというふうに考えております」
林官房長官は沖縄県と宜野湾市と国でつくる普天間基地の負担軽減について話し合う会議の作業部会を開催する方針を伝え「県側と様々なレベルで意思疎通をはかりたい」と話しました。作業部会が開催されれば、2023年2月以来のこととなります。
玉城知事「私ども沖縄県が求めている対話によって問題を解決していこということについては、方向性は1つであるという認識もご理解いただけたのではないかと思います」
玉城知事は「代執行前に対話の場を設けてほしかった」と苦言を呈したうえで「対話の機会をいろんな場面で設けていただけることが大事だと思う」と意思の疎通をはかろうとする林官房長官の姿勢に期待しました。