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警察によりますと飲酒運転の摘発は12月1日から12月10日までに74件にのぼっています。単純計算で一日に7人から8人が摘発されていることになります。

『飲んだら乗らない』を徹底できる社会になっていくには一人ひとりが『危機意識を高く保つこと』が大切です。「バレなきゃいい」「事故なんて起こさない」といった甘い考えで飲酒運転をしてしまい重い代償を払った男性がいます。

当事者として「俺みたいになるな」と後悔の念を伝え続けていました。

車から降りる時には、人の肩を借りなければならず、歩く姿もどこか不格好です。飲酒運転の大きな代償を背負った宮城恵輔さんは一夜にして人生の歯車を大きく狂わせた取り返しのつかない出来事を後悔し続けています。

宮城恵輔さん「一番失うという意味で大きいのはやっぱり『家族』。当時(21歳で)結婚していたんですけど、家族と仕事ができないという状況になってしまったので、家族と別れたっていうのが一番失ったものでは大きいです。これで社会に復帰できるのかなという不安はありました」

飲酒運転の重い代償「俺みたいになるな」 『自身の過ちを戒めに』根絶訴える男性

事の発端は18年前に遡ります。

2005年3月12日、朝方酒を飲んでいたにもかかわらずバイクを運転して国道58号のゆるやかな右カーブを曲がり切れず縁石に乗り上げ、歩道の脇にあった鉄の柵に衝突しました。

宮城恵輔さん「こんな開けた、特に障害物があって見通しが悪いわけではないのに、こういうところで事故を起こしてしまうようになるっていうのはやっぱりアルコールの影響というのはとっても怖いんだなってことは身をもって感じますね」

宮城さんの21歳の誕生日を祝うため北谷町のクラブで友達と夜通し過ごした後、宜野湾市の自宅に帰宅する時に単独事故を起こしたのです。

飲酒運転の重い代償「俺みたいになるな」 『自身の過ちを戒めに』根絶訴える男性

過去に何度か酒を飲んだ後に自分で運転して帰ったことがあり、その日も「いつも通り運転できる」と高をくくっていました。頑丈な鉄柵が大きくへこむほど事故の衝撃は激しく、バイクのスピードは100キロ近く出ていたのではないかと振り返ります。

宮城恵輔さん「僕の記憶は誕生日の記憶から1~2週間飛んで病院という感じでした」

生死の淵をさまよった宮城さんはなんとか一命をとりとめましたが、頭を強く打ったことで左半身に麻痺が残り体を思うように動かせなくなったうえ、右肩の神経が切れたために左右、両方の両腕も使えなくなってしまいました。

宮城恵輔さん「先祖からもらった体をいとも簡単にぶっ壊してしまいました」

飲酒運転の重い代償「俺みたいになるな」 『自身の過ちを戒めに』根絶訴える男性

体の自由を失っただけでなく仕事もなくなり妻と生まれた娘と3人で幸せな家庭を築くはずが、離婚の道を選ぶほかなくなったのです。過去の過ちを悔い改めるように力を入れていることがあります。

口にくわえたタッチペンでタブレットに絵を描くなど障がい者アーティスとして活動しています。1つの作品を描きあげるまでに1カ月近くかかるそうです。緑の葉っぱに白い月桃が映える明るい色合いの絵は見るだけで心が和みます。

宮城恵輔さんインタ「今、描いているのは僕の部屋の窓から見れる花があるんですけど、それを見てきれいだなと思って描いています」

宮城さんは、現在、障がい者アーティストを発掘したり発信したりする団体「ドアレスアートオキナワ」の理事も務めていて、アーティストのサポートや展示販売会の企画・運営にも携わっています。

宮城恵輔さん「僕以外の障がい者が将来に不安を抱える方も多くいると思うんですけど、少しでも希望になれればいいなと思って僕もアーティストとして活動をしています」

飲酒運転の重い代償「俺みたいになるな」 『自身の過ちを戒めに』根絶訴える男性

あの時、飲酒運転をした自分自身に言いたいことがあると言います。

宮城恵輔さん「本当にその状態で運転できると思っているの?もし何かあったときに自分だけじゃなくて、周りに与える影響がどれだけあるかちゃんと考えてる?ということを問いかけたいです」

あれから18年経った今でも宮城さんは「元の体を取り戻せるならいくら罰金を払ってもいい」と飲酒運転事故を後悔し続けています。

宮城恵輔さん「酒の文化が定着している沖縄にいるみなさん、俺みたいになるなということです」

『同じ過ちを犯す人を減らしたい』という思いから飲酒運転防止を訴える活動を10年に渡って続けている宮城さんは不自由になった姿を隠さずに見せることが『甘い考えでハンドルを握る人を減らすことにつながる』と信じています。

宮城恵輔さん「僕の姿をみて飲酒運転は絶対に良くない、ダメなんだって思ってほしいです」

飲酒運転の重い代償「俺みたいになるな」 『自身の過ちを戒めに』根絶訴える男性