琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。よろしくお願いします。
湊和雄さん「よろしくお願いします。」
今回のテーマは「外来種の脅威」です。
湊和雄さん「2年前に「やんばる」が世界自然遺産に登録されましたが、やんばるの環境保全には多くの問題が存在します。その筆頭が外来種の問題です。外来種は、希少種を含む在来種の生存の脅威となっています。」
生態系を脅かす外来種、深刻な問題ですね。さっそくVTRをご覧ください!
湊和雄さん「やんばるに侵入して最も在来の動物に影響を与えているのは、フイリマングースです。鋭い歯を持つ強い肉食性の動物で、ヤンバルクイナを始め多くの動物を捕食します。木登りもうまいので、樹上の動物も餌食になってしまいます。1910年に10数匹のマングースがハブやネズミの駆除のためにインドから導入されました。しかし、自然界でハブを食べることはほとんどなく、多くの希少動物の生存を脅かす存在となっています。現在は、膨大な予算と人手を掛けて駆除事業をしています。」
ワナが設置されているのを見たことがあります。
湊和雄さん「ヤンバルクイナは、日中を地上で過ごします。飛べないですからマングースに遭遇したら、大変な脅威です。」
湊和雄さん「続いてこれは、自動撮影の映像。深夜にネコが写っています。やんばるでは捨てられて野生化したネコやイヌも大きな問題になっています。」
1週間前の同じ場所にヤンバルクイナも写っています。ということは、ネコに遭遇するかもしれないということですね!
湊和雄さん「そうなんです。ネコの写っていた翌朝、雨が降って様子が変わっていますが、やはりヤンバルクイナが現れました。わずか数時間の差です。」
生活圏が一緒というのは脅威ですね。
湊和雄さん「外来種の影響は、食う食われるだけの関係ではありません。これは東南アジア原産のシロアゴガエル。1964年に嘉手納基地で発見され、今では沖縄県のほとんど、与論島にまで拡がっています。環境省により特定外来生物、侵略的外来種ワースト100に選定されています。」
在来種にどの様な影響があるのでしょうか?
湊和雄さん「在来の他のカエルたちの繁殖に影響を与えていると言われます。シロアゴガエルは4〜10月に木の枝などに卵を産みつけます。この泡の塊の中に卵が入っています。」
生活様式が似ているということですね。
湊和雄さん「ここで意外な光景を目にしました。高い枝先だったのですが、在来種の蛇ガラスヒバァが登ってきて、泡の中に頭を突っ込み、卵やオタマジャクシを食べ始めました。この行動を何回も繰り返しています。蛇の行動にまで影響を与えてしまっています。」
湊和雄さん「外来種は動物だけではありません。植物もまた問題になっています。これは前々回の映像、センダングサ類の群落です。センダングサ類は多くの種類があり温帯から熱帯に広く分布していますが、ほとんどは外来種で雑草化しています。」
センダングサはどこにでも生えていますね。
湊和雄さん「植物の中で特に脅威的なのが、ツルヒヨドリです。熱帯アメリカ原産で、1984年にうるま市で初めて確認され、以降かなりの速度で拡がっています。やはり侵略的外来種ワースト100に選定され、栽培や拡散が禁じられています。一日に10cm伸びると言われ、高い木にも巻きついて、最悪枯らしてしまいます。」
湊和雄さん「マングースでも触れましたが、在来種の保護のために外来種の駆除が行われています。その成果として、2019年西表島でシロガアゴガエルの根絶に成功しました。」
根絶に成功した事例もあるんですね!湊さん、今回も貴重な映像ありがとうございました。さて、今週もプレゼントがあると言うことですが。
湊和雄さん「私が撮影をしました、ヤンバルクイナの保護などを行っているNPOどうぶつたちの病院・沖縄製作のカレンダー「世界自然遺産やんばるカレンダー2024」を抽選で10名様にプレゼントします。
湊さんのサイン入です。QABのウェブサイトよりご応募ください。締め切りは来週木曜日(7日)となっております。
湊さんありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。
ニュース CATHY「世界自然遺産やんばるカレンダー」プレゼント
『リュウキュウの自然』湊和雄撮影・サイン入りNPOどうぶつたちの病院・沖縄製作「世界自然遺産やんばるカレンダー2024」を10名様にプレゼント!!
締め切り:12月7日(木)