今を生きる私たちが沖縄の未来を考える「イマジンおきなわ」です。平和の大切さを感じてもらおうと先月、幼児向けの1冊の絵本ができました。
その絵本をから考えるべき平和とは何なのか、また、子どもたちに託したい作家の願いとは何なのか?を考えたいと思います。
しろませいゆうさんは「『平和がずっと続く』っていうことから考えるとちょっと今どうなのかなと『戦後がずっと続いてくれると嬉しいんですけ』今があと数年後に『戦前』だったっていうふうな話になりならないように、今どうにか食い止めなきゃいけないところだから言えるのかなと、平和についてみんながもっと考えるべきなんじゃないのかな?って思ったときに、やっぱりそういった作品は作って世に出したいなっていうところでしたから」
西原町出身の絵本作家でアーティストのしろませいゆうさん。
沖縄の文化を題材に取り上げることが多く独特のタッチで表現される可愛らしくも、どことなく少し変なキャラクターがたくさんの人を虜にしています。
絵本作家 しろませいゆうさん「テレビでね。ウクライナに軍事物資を支援しようということで、ドイツやアメリカから戦車が送られるとか何とかっていう話がニュースで流れてる最中だったんで戦車じゃなくて、花を送ってもいいんじゃないかとかっていう発想から、そういうなんていうか絵が一つ生まれてその絵から今度は絵本に発展したっていうような感じですかね」
緑色の船にカラフルな植物が印象的な1枚絵は「ノアの植物船」といいます。城間さんが4か月前に個展を開くため書き下ろしたものでこれが新たな絵本が生まれるきっかけとなりました。
その絵本こそ・・・
「はな」読み聞かせ「ある時、北の国の偉い人と南の国の偉い人が戦争をはじめました」
「子どもたちに平和について考えてもらおう」と慰霊の日に合わせて企画された読み聞かせ会に登場した「はな」という作品です。
熱心な表情の子どもたちは絵本に釘付けです。
学友館 玉城聡社長「私も実はいうとあまりこう戦争のことに関してあまり触れたくない方なんですけど、身近にそういったことを感じることもあって、できたら平和に関してまた、小さい子供の頃か少しずつでも考えてもらえるような機会になればいいかなという思いもあってですね、発刊をしようといたしました」
県内の小中学校に学校教材を販売する会社が来年4月に設立60周年を迎えることを機に、幼児向け月刊誌「わらびんちゃー」を創刊することになり、平和特別号として「はな」を先月発刊したのです。
6月は県内各地の学校で「慰霊の日」に合わせて平和学習が行われていますが、幼児向けの教材がないことから城間さんとタッグを組んで作成しました。
学友館 玉城聡社長「沖縄の戦後78年のことを考えますと、こういうことも風土の中で歴史の中で、見過ごさないところなりますのでそこを子供たちなりに見た絵や内容ですね。どういうふうにしたら、友達同士仲良くなれるのかとか、戦争に直接直結しなくても、どういうにしたらお互いがいい形になるのかを保護者も含めてですね、考えてもらえるような作品になってるというふうに思います」
平和特別号「はな」のストーリーはというと・・・
ある2つの国が争いをはじめ 人々が住む街も壊されてしまいました人々は争いをやめさせようとしましたが上手くいきません。
まわりの国も早く争いを収まらずに争いは大きくなるばかりでした。
そうしたなか 近隣の人々から大きな花やたくさんの花が贈られるようになると。
争いをしていた2つの国の兵隊さんはいつの間にか優しい顔に戻りました。
争いを好きでしているわけではないことに気付いて争いは愚かなことだと思うようになったというものです。
しろませいゆうさんは「(教室の)後ろの黒板の近くに戦争のときの写真が飾られるわけですよね。するとやっぱり、狭い教室の中、もうすぐ後ろが壁になるじゃないですか。もう後ろ向くとその写真がもう『人が死んでる写真だったりとかっていうのが飾られてる』っていうか貼られてるわけです。近くにやっぱいたくないっていう部分もあって」「引きずってる部分あるのかな」
城間さんには小学校の低学年だった頃、平和学習で沖縄戦の写真を見るたびに「恐怖」を感じていたという辛い記憶が残っています。だからこそ、絵本の聞き手となる小さな子どもたちに「平和」という言葉がどうやったら伝わるのかを考えるようになったといいます
しろませいゆうさんは「戦争を経験してない自分たち世代がいかにも親からあるいは親戚から聞いた話を自分のことのように小さい子に話しても伝わらないんじゃないかなと思った」「僕がそれが嫌だったっていうのもあるし、そう思う子もいるんじゃないかなと思って。であれば、今僕ができることやっぱり絵を描いて絵本を描いてってやってる中でできることっていうのは、『ここかなっていう場所があって』やり方で何か反戦とか平和とかっていうのが伝えられるといいんじゃないかと」
絵本の読み聞かせでは「せんそうをやめたふたつのくに、えらいひとはあくしゅをして、にどとせんそうでこくみんにかなしいおもいはさせないとはなのまえでちかいました」
仲直りするためには「どうしたらいい」と子どもたちに聞いてみると。
読み聞かせを聞いた子どもは「なかよししたり、いっしょにあそんだり、かしてといったらいいよといっていた」
読み聞かせを聞いた子どもは「おはなをせんそうのところにわたしていた」「(渡して)なかよくなった」
しろませゆうさんは「子どもたちには例えば花じゃなくてね。何か例えば飴玉送ったりチョコレートを贈ったりしても仲良くなれるんじゃないっていうようなレベルからでいいと思うんですよ。要するに、国と国のけんかが戦争につながってるわけで、ちっちゃい子からすると友達同士の喧嘩を止めるにはどうした方がいいっていうところから始まって」「『大人が見ると難しい』話なのかもしれないんですけど『子どもなりにやっぱり、言いたいことを理解してくれて』『子どもなりに何か自分の考えが生まれてくれるとうれしい』なっていう思いで作りましたんで」「友達同士で話し合ってくれたり、親子で話し合ってくれると作ったかいがあったかなっていうところですかね」
難しいことでもちゃんと「考えて「話す」というコミュニケーションを大事にすることは『大人』も『子ども』も同じだと話す城間さん。城間さんが考える平和とは・・
絵本作家 しろませいゆうさんは「やっぱり僕も絵描きですから、自分の描きたい絵を描きたい時間に描きたいだけずっと描いてられるっていうのが平和なんじゃないのかなと思ったりしますね」
描(えが)きたい時に絵を描(か)き続ける『平和』城間さんが作った絵本「はな」は一人ひとりが考え伝えあい話し合うことで、『平和』を作り出せることを教えてくれています。
この「平和」という2文字をどう繋げていくかこれからの私たちに求められているのかも知れません。