撮影を始めて2日目。漆黒の水のなかで光に照らされてまるで宝石のように見えます。2023年もこの時期がやってきました石垣島でサンゴの産卵が確認されました。
水中カメラマンの長田勇さんが、この地域で毎年サンゴの産卵を確認しているイエローサブマリンの峰さんらと一緒に、2023年5月9日夕方6時半ごろ、石垣島の北部にある船越漁港から出港。ポイントは、港から10分ほどの沖合い3キロのインリーフです。
この日の水温は25.8度で沖縄本島と比べると水温が2度高く、八重山地方のサンゴはどこよりも早く産卵します。午後7時すぎ、サンゴの状況を確認するため海中へ。早い時間帯に産卵するサンゴ、ウスエダミドリイシを見に行くと・・・すでにポリプから卵が見える状態になっていて思わずこのジェスチャー!
そして、グルクンも寝静まった午後8時前、いよいよ産卵が始まりました。卵に見えるのは、「バンドル」と呼ばれるカプセルの様なもので中には精子と卵子が入っていて、水面に到達後弾けて他のサンゴと受精します。
バンドルの匂いに誘われて目を覚ましたのかチョウチョウウオがつまみ食いをする様子も。午後9時半ごろになると枝状ミドリイシの仲間も産卵を開始、これをきっかけに、周りにある様々なサンゴも一斉に卵を海中へ、この瞬間を待ちわびていたイエローサブマリンの峰さんもガッツポーズです。
水中ビデオカメラマンの長田勇さんは「頑張って生き残ってくれた数少ないサンゴたちが一生懸命生んでくれたので撮影しながら感動しましたし例年以上に感慨深いものがありました」と述べました。
石垣島は2022年の夏、台風の接近が少なかった影響で水温が上昇し浅瀬のサンゴが壊滅的な被害を受けました。しかし、長田さんによりますと水深8mより深い所にあるサンゴは、比較的生き残っていて今回の産卵で、被害が大きい浅瀬にたくさん着床して欲しいということです。深場のサンゴたちから新たな命が産まれる瞬間に立ち会う事が出来て、感無量です。
今回、石垣島で確認できたサンゴの産卵ですが、主に、ミドリイシのサンゴの産卵は2023年5月末から2023年6月初旬にかけてで八重山や本島、ケラマ諸島も含む、沖縄全域で観察ができるということです。