琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。
湊和雄さん「よろしくお願いします。」
今回のテーマはこちら「啓蟄(けいちつ)の虫たち」です。
湊和雄さん「先週の月曜日は二十四節気の『啓蟄』でした。春を迎え、虫たちの活動が始まる頃ですね。そこで、その日のやんばるで活動する虫たちを探してみました。」
さっそくVTRをご覧ください!
湊和雄さん「やんばるの山々も新緑の季節が始まっています。今年はちょっと早い印象を受けます。」
最近まで寒い日がありましたが、鮮やかな緑色ですね!
湊和雄さん「今年の冬はしっかり冷え込みました。そういう年は新緑が綺麗なんです。」
春の訪れを感じます!
湊和雄さん「新緑の明るい部分の多くは、このイタジイの花です。やんばるの森で、最も多い樹木として知られています。」
細かくて小さな花がたくさん咲いていますね。
湊和雄さん「イタジイは、やんばるの森でも最も高い所に咲く花です。一方、この季節、森の低い所に咲く代表的な花は、このシマイズセンリョウ。春の昆虫たちがよくやって来る花です。」
こちらも小さな花が可愛らしいです。
湊和雄さん「啓蟄の日には、これといった昆虫は見られませんでした。度々、花を訪れるのはセイヨウミツバチがほとんどでした。」
蜜を独占していたんですね!セイヨウミツバチは、活動が早いということですか?
さて、これは今年の1月に紹介したエゴノキの映像。温帯では春の花ですが、沖縄では冬の花です。やんばるでは11月に咲き始め、そろそろ花も終わりです。地面にたくさん落ちていますね。
湊和雄さん「そうですね。でも不思議なことに、この地上の花を頻繁に訪れるのがミツバチなのです。盛んに花を訪れては蜜を集めています。」
エゴノキの蜜はそんなに美味しいのでしょうか?
湊和雄さん「ちょっと驚きの行動ですね。」
少しの蜜でも集めたいという感じですね。
湊和雄さん「そして、何とか春に出現する代表的な昆虫を見つけることができました。オオシマカクムネベニボタルです。この鮮やかな体色は有毒であることを、鳥などの天敵にアピールするものなのです。」
湊和雄さん「オオシマカクムネベニボタルは、ペアでいるシーンがよく見られます。」
もう繁殖が始まっているということですね。
湊和雄さん「また、ベニボタルというグループは、1種類だけではなく、よく似た複数の種類が混ざって活動しています。
湊和雄さん「春のやんばるの森では、ベニボタルに擬態した多くのよく似た甲虫も同時に見られます。有毒のベニボタルに擬態して天敵から身を守る作戦です。
これは先ほどのベニボタルではないんですか?
湊和雄さん「はい、そうなんです。よく似ていますよね。これはアカハネムシの仲間で、まだ正式な和名は付けられていません。一見して、別の種類には見えませんね。」
はい、同じ虫かと思いました。
湊和雄さん「「暦の上では◯◯」という表現は、ニュースでもよく聞かれるフレーズですが、実際の季節の進み具合よりも少し早めであることが多いですね。やはり、やんばるの森でも昆虫の活動が本格化するのは、まだこれからのようです。」
やんばるの森の春は、始まったばかりなのですね。
湊和雄さん「そうですね。啓蟄など二十四節気はその日1日限定ではなく、次の区切り(春分=3月21日)の前日までの期間という考え方もありますので、それならば、まぁ辻褄が合いますね。」
湊さん、今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。