沖縄への核の再持ち込みなど、日米間の一連の密約問題に関する参考人質疑が19日、衆議院外務委員会で行われました。
委員会には、密約文書に関わった元外務省幹部や返還軍用地を更地に戻すための費用、いわゆる「復元補償費」を日本側が肩代わりした密約をスクープした元毎日新聞記者の西山太吉さんら4人が参考人招致されました。
この中で西山さんは「復元補償の密約はアメリカが27年間にわたる沖縄統治の投資を回収することにあった」と述べ、国会で調査するよう求めました。
一方、緊急時における沖縄への核の再持ち込みについて「密約ではない」とした政府の有識者委員会の見解について、斉藤邦彦元外務事務次官は委員会に同意する考えを示しました。
これに対し、東郷和彦元外務省条約局長は反論しました。東郷元条約局長は「佐藤ニクソン合意議事録の方は、再持ち込みの要請があれば必ず核を認めるとしている。かつ、それが国民に対して伏せられていることであるので、私は密約であると考えている」と述べました。
核密約「事前協議」と「秘密合意議事録」
ここからは金城記者とお伝えします。密約でないとする有識者委員会の見解に対し、東郷元外務省条約局長は「密約だと思う」と反論しました。
金城記者「今回、この沖縄への核持込に関する密約文書、秘密合意議事録の存在も明らかになりました。しかし、政府の有識者委員会はそれでも『密約ではない』との見解を示しています」
それはどうして?
金城記者「ポイントになるのが安保条約第6条の『事前協議』です。アメリカが緊急時に沖縄へ核を持ち込みたい場合は、日本と事前に協議を行うという取り決めです。この事前協議の解釈について説明したのが『日米共同声明第8項』です。第8項では事前協議についてアメリカ政府の立場を害することなく、日本の政策の非核三原則に反しないという、矛盾するものです。これを先ほどの事前協議に当てはめると、アメリカは日本が持ち込むを認める。一方、日本は認めない」
では密約文書と秘密合意議事録ではどう違うのでしょう。
金城記者「アメリカが核を持ち込みたいといったとき、日本側はイエスと応えざるを得ないという内容です。先ほどの『日米共同声明』と『秘密合意議事録』では解釈が明らかに違います。しかし有識者委員会では同じ内容なので秘密議事録は密約に当たらないと説明しています。それはおかしい。少なくとも佐藤総理以降歴代の主脳に伝えられなかったことからしても密約ではないとしている点もおかしい。少なくとも日米両政府の首脳がそれぞれの国民に内緒で交わした文書です。しかも沖縄返還にあたって大きな効力を発揮した文書です。それを密約といわないで何といいますか」
今後、核の再持ち込みはあるのでしょうか。
金城記者「政府は非核三原則を堅持するとしています。しかし今回の件が密約でないとするなら、事前協議の解釈で今後いくらでも核を持ち込めることにもなります。政府は今回の密約を徹底的に再検証したうえで、非核三原則を堅持してもらいたいです」