石垣島できのう、陸上自衛隊の車両およそ150台が公道を使って駐屯地に搬入されました。今月中旬の駐屯地開設に向けた準備作業とみられています。現場では抗議活動を県警が排除する場面もみられるなど、一時騒然とした雰囲気に包まれていました。今月に迫った自衛隊配備に直面する石垣島の今に迫りました。
きのうの夜明け前。石垣港にあるゲート前では抗議の声を上げる市民らが詰め掛け騒然となりました。抗議は陸上自衛隊の駐屯地に自衛隊の車両が運び込まれることに対するものです。
「一緒に止めよう」「一緒に止めようこれを」
自衛隊車両が仮置きされた現場で抗議活動を警戒していたのは石垣市の職員や、県警の機動隊です。基地の強化を巡って、県民同士がにらみ合う構図はここでも起きていました。
県警は、抗議する市民に警告した後、排除を行い、きのうの午前7時40分ごろ。自衛隊車両の移動が始まりました。港を出た自衛隊の車列が続々と駐屯地へ向かっていきます。スーパーやガソリンスタンドもある公道を車やバスに挟まれながら進んでいます。
およそ150台がおよそ30分かけて市平得大俣にある駐屯地建設地に到着しました。国は駐屯地の開設を「今月中旬」としており、建設地の門には駐屯地名を表す看板はかかっていませんでした。門では隊員が警戒に当たるなど、駐屯地として動き始めていることを実感できました。
石垣島への陸上自衛隊配備は、政府が中国を念頭に南西地域に部隊配備を進める「南西シフト」の一環に位置づけられています。2010年ごろに「陸自部隊配備上の空白地域」と位置づけていた沖縄本島より西側の地域について2016年に与那国島、2019年に宮古島と陸自の配備を進めてきました。今月の石垣島への配備をもって、その動きには一つの区切りがつく形にはなります。
石垣島へは宮古島と同様に警備部隊のほか、対艦・対空ミサイル部隊の配備も計画されています。きのうはミサイル部隊関連とみられる車両も駐屯地へ搬出される様子が確認されました。
デモ・「島の自然を守れ」「石垣を戦争に巻き込むな」
きのう午後、石垣市で行われたデモ行進では参加者が島々へのミサイル部隊配備への反対などを訴えていました。政府が安全保障関連3文書を閣議決定し、反撃能力のあるミサイルなどの県内配備も懸念が出ています。政府は石垣島への長距離射程ミサイルの配備について「具体的な配備先は現時点では決まっていない」と否定も肯定もしないスタンスをとっていました。
すでに自衛隊のミサイル部隊が配備されている宮古島や2023年度中に対艦ミサイル部隊が配備予定の沖縄本島を含めて今後、住民の不安が高まることが予想されます。
駐屯地の建設が行われてきた平得大俣地区など周辺地域は石垣市街地からはおよそ8キロ離れ、周囲には農耕地が広がっています。
デモに先立って開かれた集会では、島外・県外から軍事基地への監視・抗議を続ける人たちが石垣島の人々との連帯を訴えていました。対する駐屯地周辺からの参加者からは島を含めて自衛隊配備問題への関心がなかなか呼び起こされないもどかしさも垣間見えました。
嶺井さん「石垣島全体の問題だ車は爆弾は島じゅうを走って回るんだよと、みんなでもっと共有できていれば世の中何か変わったかもしれない。石垣のことを県内全体で共有できていれば何か変わったかもしれない」
嶺井さん「今後は田舎で起こっている事だと思わずに、島全体で考えていただき、沖縄全体で考えていただき、日本中で考えてもらえたらいいかなと思います」
金城哲浩さん「やはり声を上げていくことが大事だなとやはり現実的には本当にこれから厳しいことになるかもしれんけれどもやはり声を上げていくことが大事かなと思いました」
石垣島への陸自配備を巡っては今月中旬、駐屯地が発足しミサイルの弾薬が島へ搬入される見通しです。国土面積の0・6%の沖縄県に70%の米軍専用施設の負担を押し付けられ、その不均衡さも訴えてきた沖縄県民。基地が先島地域に配備されていく現状に、多くの人が関心を寄せない構図は県内でも決して起こしてはならないのではないでしょうか。
石垣島の陸上自衛隊配備を巡っては住民投票を求める市民団体が市民の署名を集めて投票実施を求めたものの市議会で否決され、裁判に至るなど明確な形で市民の賛否が問われていない経緯もあります。
QABでは石垣島で予定される弾薬搬入などについても取材を続け、近くこのコーナーで再度お伝えする予定です。