海が見えるホテルでのリゾートウェディング。これは浦添商業高校の生徒たちがブライダル実習の一環で実施したものです。司会を始め、配膳や花嫁介添え役など全てを高校生たちが手がけました。
長引く不況で、高校生の求人が大幅に減る中、学校では彼らの就職を後押ししようと、様々な取り組みをしています。浦添商業高校が去年から実施しているリゾートホテルでのウェディングパーティもその一つ。現場を体験させることで職業意識を高めてもらおうというのが狙いですが、今年は一味違ったものになったようです。
放課後の教室には、何度もリハーサルを行う生徒たちの姿がありました。表情は真剣そのものです。
近藤教諭「本物を体験させないと、緊張が伝わらない。学生と社会のギャップを感じてほしいと思うんですね。」
結婚式を挙げるのは、浦添市の下條達也さんと里恵さん。この企画に応募したのは、2人の長女で、浦添商業高校1年の和希さんでした。
下條和希さん「昔からの夢だったし、やりたい、やりたいって何回もいっていたし。自分がお父さん、お母さんの幸せな姿を見たいから。」
お母さんの里恵さんが、職場の同僚だった達也さんと再婚したのは7年前のこと。たくさん遊んでくれる優しい達也さんの人柄が気に入り、子どもたちが結婚を後押ししたのでした。
下條和希さん「一番最初のとき、お父さんと初めて会ったときは印象に残っていて。この人がお父さんだったらいいなっていうのがあって。あるとき、お父さんにめっちゃ怒られて、叩かないんですよ、お父さんは。そのとき初めて叩かれて。そのときに、この人はお父さんなんだと実感しました。」
妹も生まれ、絆を強めていった下條家。結婚式をお預けにしたまま、働きずめの両親に、温かい式をプレゼントしたいというのが和希さんの願いでした。中でも、一番楽しみにしていたのがこちらのウェディングドレス。生徒たちの手作りです。この日は里恵さんが完成したドレスに初めて袖を通しました。
下條里恵さん「こんな風にと言うのをお願いした」生徒「このドレスに合うのは里恵さんだけです。元が良いんで、ばっちり輝かされる気がします」
和希さんはというと、感激の余り、泣き出してしましました。下條和希さん「キレイすぎて、わかんないけど、涙腺が…。」迎えたパーティの当日。不安と緊張でこの日を迎えた生徒たちですが、それぞれが役割に集中。余興も披露して盛り上げました。パーティは順調に進んでいるようです。和希さんは、お母さんへの感謝の思いを手紙にしました。
下條和希さん「お父さんとお母さんは、いっぱい喧嘩もするけど、やっぱり仲良しでラブラブな2人は、うちの目標で大好きな夫婦です。これからもずっと仲良くしてね。」
出席した人は「一生懸命さ伝わってよかった」下條和希さん「こんなにすごいのができると思ってなかったから、感謝でいっぱいです。」下條里恵さん「オリジナリティがすごかったじゃないですか、私の中では一生残る披露宴になりました。」下條達也さん「父親として、親らしい姿を見せられているか心配だったが、頑張って良かったと」
仲間の思いを受け、全力でサポートした生徒たち。みんなの笑顔にふれ、多くのことを学んだようでした。
生徒「良い式ができて良かった。」「まずは、相手の身になって、気持ちになって考えることが大事で、今まで私が行き届かなかったことがわかって勉強になりました。」
下條さんの結婚式を手がけさせてもらう中で、学生たちは人をもてなすことの難しさと楽しさを感じたようです。こうした挑戦がホテル側の目に留まり、早速何人か採用したいという話もあるそうです。リゾートウェディングは観光業においても要ですから、良い人材を育て、沖縄の観光業を盛り上げてほしいです。以上学校ウォーカーでした。