※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

沖縄戦の激戦地となった本島南部から、遺骨が混じる土砂が辺野古新基地の埋め立てに使われるかもしれないという問題。

この問題でまさに渦中の人物となっている、魂魄の塔近く熊野鉱山で開発を進める業者の代表を取材しました。

沖縄土石工業 永山盛也社長「まず遺骨が混じるとかそういうことはありえない。それに対する誤解を与えているので、琉球石灰石というのはこういうものだと伝えたかった」

遺骨土砂問題 鉱山開発業者代表の思い

魂魄の塔近く、遺骨土砂の問題に揺れる熊野鉱山の開発を行う沖縄土石工業の永山盛也社長。「遺骨が混ざることはない」と言います。

沖縄土石工業 永山盛也社長「表土の部分が商品として出荷されるんじゃないかという心配は要らないです。我々が出荷するのは琉球石灰石の商品だけということを分かって頂かないと。当然、骨とか表土にありますから、無いとは言えないんけど、表土の中に。その表土にあったときにどう対処するのか決まっているので、遺骨に対しては絶対に無いような形で進めている」

永山社長の主張は、表土に遺骨がある可能性は残しつつも、あくまでも商品として出荷する琉球石灰石に、遺骨が混ざることはないというものです。そして、表土に関しては出荷せずに、埋め戻すことにしています。

遺骨土砂問題 鉱山開発業者代表の思い

熊野鉱山の開発をめぐっては、開発の届け出を出した沖縄土石工業に対して、県は措置命令を下しました。

その命令に対して永山社長は、公害等調整委員会に不服を申し出、その結果、「遺骨発見時には工事を一定期間中止し遺骨収集を行うこと」などを盛り込んた合意案を県が受け入れたのです。

そして、去年12月、永山社長は再び開発を届け出、県が受理したのです。

これを受け、今月4日。熊野鉱山近くの魂魄の塔前では市民団体による抗議集会が行われました。

「戦没者の尊厳を守りたい」と立ち上がったのは、沖縄戦遺骨収集ボランティアガマフヤーの具志堅隆松さんです。

遺骨土砂問題 鉱山開発業者代表の思い

ガマフヤー 具志堅隆松さん「私達は戦没者の尊厳を守る権利がある。なぜならこれは人間的な権利ですよ。業者の権利っていうのは金儲けの権利です。金儲けの権利と人道上な権利っていうのがどちらが大切なのか。どちらが子どもたちにとって大事だよっていうことを言うことができるのか。みんなで考えてほしいと思ってます」

遺骨土砂の問題に抗議を続ける具志堅さんに対して、永山社長は「信条が違う」と感じていました。

沖縄土石工業 永山盛也社長「遺骨収集をなさって、ボランティアでやって立派な方だと思いますけど、だけど、信条は違う。それはもうお互いに自由だと思います。沖縄のこれからどういうふうに自分の子や孫が発展していくというのは考えるべきで。僕は宜野湾で生まれて、普天間飛行場がなくなることを考えていた。辺野古がいいのか、それがいいとか分かりませんけど。やっぱり進めるというのは、一番大切なことだと思います」

永山社長は、熊野鉱山の採掘について3月~4月を目標に早めに開始していきたいとしています。

沖縄戦で亡くなった戦没者の遺骨をめぐる問題は、戦後78年を経てなお、今も私たちの目の前に突き付けられています。