中山きくさんは、白梅同窓会会長などとして、沖縄戦体験の継承に務めてきたほか、辺野古新基地建設の反対など、戦後も続く沖縄の軍事化に警鐘を鳴らし続けました。中山さんの葬儀を前に、葬儀場には同窓生や関係者が駆けつけ対面をはたしていました。
白梅同窓会副会長の武村豊さんは中山さんへの思いを語りました。
武村豊さんは「大変大きい方を亡くして・・・、どっしりしてね。何事にも一生懸命。すごく頭もいいし。私たちがいつもいつも頼りにしている。彼女はね、非常に戦後の話とか、子どもたちへの『戦争はだめだ』という気持ちを植えた人ですね」と話しました。
中山さんは、沖縄戦で動員された元学徒の人たちでつくる「元全学徒の会」でも共同代表を務めるなど体験の継承に結束して取り組んできました。
中山きくさんは「みんなで命の宝、平和が一番という思いを日本国中に、世界に示すことができればなと思っております」と述べました。
沖縄戦を語り継ぎ、そこに連なる基地問題とも向き合ってきました。2015年5月に開かれた辺野古新基地建設反対の県民大会では共同代表を務め、集まった3万5千人の前で沖縄戦での体験から基地建設への反対を訴えました。
中山きくさんは「私は沖縄戦で、22名の白梅学徒仲間を失いました。私の生涯の悲しみです。力を伴わない平和が一番なんです。戦争を知らない皆さんは、どうぞこれをわかってください。基地を強化して、戦争がなくなるわけではありません。人間は過去を知らないと同じ過ちを起こす可能性があります。沖縄戦は殺人と破壊でしたからね、絶対に戦争には正義はありませんと伝え続けないといけないと思う」と述べました。
沖縄戦の記憶の風化に抗い、懸命に体験を語り継いできた中山さん。中山さんがつないだバトンに込められた、「戦争をしてはいけない」という遺志を私たちは確かな決意で受け止めなければなりません。