今年9月に、建物の都合で閉店に追い込まれた店を復活させようと取り組む85歳の中華料理人の話題をお伝えしました。常連客からの熱いエールや地域の人たちのサポートを受けて、先週土曜日、ようやくグランドオープンの日を迎えました。
客「うれしい」「おいしいからね」客「昔ながらの味を残してくれているいい店だなと思って、ずっと開店するのを待っていました」
コザの街に「あの味」が帰ってきました。
町中華として親しまれてきた「北京亭」。惜しまれつつ閉店してから11カ月、クラウドファンディングで、常連客や地域の人たちの熱いサポートをうけ復活!新生・北京亭としてグランドオープンしました。
仲本兼和さん「仕事冥利に尽きるねー。できる間は全力尽くして」
北京亭店主の仲本兼和さん。63年前に移民先のブラジルで食べた中華料理の味に感動したことがきっかけで、料理人の道に進みました。
仲本兼和さん「中華料理のおいしさはブラジルからわかったのよ。」「初めて酢豚ってのを食べたときは、あんな美味しいのが全然沖縄料理と関係ないでしょうがあれ、あの甘酸っぱいような味っていうのは。あれからはまっちゃって」
横浜の鶴見などで修行を積んだのち、沖縄で40年あまり、町の中華屋を営んできた仲本さん。注文を受けてからひとつひとつ、丁寧に作り出す料理には、本当に多くのファンがいましたが、去年11月、建物の都合で閉店に追い込まれます。
すると、そのことを知った地域の人々や常連客が中心となって、店を復活させるプロジェクトがスタート!クラウドファンディングでは100万円あまりの支援が寄せられ、
85歳の仲本さんと、コザの人々が協力しながら、再開にむけて準備をすすめてきました。そして、先週土曜日、念願のグランドオープンの日を迎えました。
Qいよいよグランドオープンですね?仲本兼和さん「だからよ、おかげさまで」Q今の気持ちは「平常心でやらないことには。あんまり高揚しちゃうとのぼせてできないから」
開店1時間前には、仕込みを済ませていた仲本さん、飄々とした様子で、客が来るのを待ちます。
仲本兼和さん「準備は万端終わっているから、あとはお客さんが入るだけ」
開店から5分…1人目のお客さんです。
客「祝福の言葉しか出ないですよね、感無量でね、このお父さんの料理が大好きでみんな。うれしいという言葉だけですね」
ほとんど告知をしていないにもかかわらず、昔から北京亭を知る人や、うわさを聞いて初めて訪れた人などで、厨房は大忙し!店主の調理をサポートするのは、近所でスケート場を営む、偶然同じ苗字の仲本武史さんです。クラウドファンディングの立ち上げから、店舗の内装工事まで全てをサポートしています。
仲本武史さん「この年月続けていらっしゃってたどり着いたお父さんなりの味ですよね。町で親しまれてきた味がどんどんなくなってるのを目の当たりにしていたので北京亭もなくなってしまうのか、でも今だったら間に合うんじゃないのっていうことで」
武史さんは、北京亭の味は、コザの街の財産だと考えています。
仲本武史さん「火加減強かったり、やっぱりタイミングがちょっとずれたりすると、やっぱりタイミングが全然変わっちゃうんですね。作る様子を動画に収めていて、それを見ながら入れるタイミングとか、それを研究して、仲本さんがいないときにこっそり練習して」
客「(店を)消してほしないね。何かも消えていくからね。こっちでもとても有名なニューヨークレストラン、みんな憩いの街だったけど」
客「お店って結局は、そこに来てるお客さんに支えられている面があるので、それだけファンがいてるお店が残るっていうのはいいと思いますし、やっぱり、何よりも味を継承していってくださるっていうのはありがたいですね」
仲本兼和さん「うちの料理が、私は普通だと思っているけど、それでも、まぁ習いたいというんだったら、引き継いでいこうと思っている。仕事冥利につきるね、みんな、ただで食べるんじゃなくて、お金払って、なおかつ感謝してくれるんだから、こんないい仕事はないです」
コザの街に再び灯った、北京亭の灯り。85歳の仲本さんが、コツコツと地道に生み出した味を地域の財産として守り育てる、新たな挑戦がはじまっています。