戦後77年、3年後には80年を迎えようとしています。忘れてはいけない沖縄戦の記憶の風化が叫ばれている今、戦争を知らない若い世代の果たすべき役割が大きくなっています。
大学を卒業したばかりの20代の男性が、修学旅行生に実施した平和学習を通して沖縄に横たわる課題や問題について考えることの大切さを考えます。
高校生「自分も無知のままですし、まだまだ」TC140233~(5秒)「本州と沖縄で(平和教育の)ギャップが少しあるんじゃないかなと思います」
高校生「米軍基地問題に関しては特に関心を持っていまして、本当に今の日本には米軍が必要なのかなとか(考えたい)」
京都からやってきた高校生と
ディスカッションの様子 大学生「(平和学習でも)オブラートに包みすぎていて結局何が本当なのかっていうのが伝わっていない、また違うよねそこは」高校生「本当を見たと思い込んでしまうというか」「たしかに」
アメリカ軍基地から派生する問題を生活の中で感じている大学生が
ディスカッションの様子「血だらけとか引っかかるところがあるから」「平和学習とかでも残酷な写真とか本当にダメな人とかいるじゃん、でも見ないでいいよと言ってしまうと、その子たちが平和について学ぶ機会がなくなっちゃうわけで」
沖縄戦や基地問題をテーマにタブーなき議論を繰り広げました。
今月4日、糸満市の平和祈念公園で行われた平和学習には、京都の西京高校の2年生35人と沖縄国際大学で県内の社会問題などを学ぶ学生7人が参加しました。
今回学びの場を企画したのは、仲本和(なかもと・わたる)さんです。仲本さんは学生だったころに始めた戦争や基地に起因する問題を県内外に発信する活動を続けています。
仲本和(なかもと・わたる)さん「沖縄に70%の基地が集中することが妥当、しょうがないよねみたいなのが増えてきた感覚で」
高校生の時に聞いた沖縄戦の講話が祖父母の体験談と違って、どこか遠くにある他人事のように感じたことがきっかけで、若い世代が自分のこととして考えられる平和学習の新たな形が必要だと考えています。
77年前の沖縄戦では20万人あまりの尊い命が犠牲になりました。住民を巻き込んだ地上戦となり、県民の4人にひとりが亡くなったといわれています。戦後は銃剣とブルドーザーという土地接収で住む場所を追われ、そこにアメリカ軍の基地が作られていきました。
仲本和(なかもと・わたる)さん「いまみんな沖縄戦というのを学んで、つぎは今後どう平和をつくっていくかという観点、安全保障の観点から基地の議論をやりたいんだけど」
ディスカッションでは基地が集中する現状を問いかけます。
仲本和(なかもと・わたる)さん「受動的でなく能動的な対話を重視した、平和を押し付けない新たな平和構築というものをここで議論していく」
仲本さんが大切にしているのが対話です。一人一人の意見をしっかりと聞いて議論をすることで問題についてより考えを深めていきます。
ディスカッションの様子「国土面積めちゃめちゃ小さいのに基地が集中しすぎているのは問題点ではあるけど、あんなにはいらないかなってかんじだよね、じゃあ70%集中的に集まっているのはみんなからして、(沖縄への)差別的なものだと思う?」
高校生グループのまとめ役として、ディスカッションには県内の大学生も参加しています。生徒たちに沖縄について伝えることを通して大学生側も県内の課題を説明する力がつくような、お互いが成長できる学習を目指しています。
ディスカッションの様子「沖縄にある(基地)を本土に移すとかじゃなくて、米軍基地自体がそんなにたくさんいらないんじゃないかな」「アメリカの文化が根強く残っている、浸透しているのが沖縄だからそういう面では(基地が)70%も仕方ないんじゃないかな」「米軍基地をなくすのは、もしウクライナとかそういうところからやられたら日本だけじゃ対処できないし」「もうちょっと(沖縄に)配慮して、ほかにも(基地を)ばらけさせたらいいとおもう」
正解にたどりつけなくても言葉に出して話したり、違う意見を聞いたりすることで、考えるきっかけになったようです。
仲本和(なかもと・わたる)さん「もしもの話ね、国民投票みたいなのをとって一番基地が重要っていう票が多い県から順に基地をおいていけばいいじゃんって思ってて、間違いなく沖縄は一番下に来る、県外でいらないものは沖縄でもいらないんだよ」
およそ1時間半のディスカッションの最後に仲本さんは、今後も基地問題を考え続けてほしいと伝えました。
高校生「他人事じゃなくて沖縄の基地問題のことを自分のことのようにとらえることが大切なんだろうなと思いました」
高校生「そういう生の声を聞いてもっと授業中とかで取り上げたり、家族とか日頃から話し合っていくべきだなと思いました」
大学生「私が直接県外の子たちと交流するのがあまりにも少なかったので、貴重な体験だと思いますし、彼らの声を聞くことによって、私自身も沖縄戦や基地問題について視点も変わりました」
仲本和(なかもと・わたる)さん「知らないことの幸せさ、無知・無関心がいかに自由であって、でもそのかわり無知・無関心がこれだけいるから沖縄変わらない現実があって」「という中で(まずは知ったうえで)次は傍観者になるのか、考える人間になるのか、何かアクションをおこすのかとか」「同世代が語り合うことを大事にしたいと思いますね」
戦争や基地問題という大きな問題だからこそ、国民全員で向き合い、議論を重ね続ける必要があります。自分で考え、言葉の言葉で意見を発信していくことが平和や問題解決につながる第一歩になります。