基地建設をめぐり、96年以降、県議会で3回目となった決議は、辺野古への新基地建設に反対するものでした。与野党逆転で野党は民意を示しましたが、政府や仲井真知事はこれを無視する姿勢です。県議会決議の行方を考えます。
与野党が逆転した県議会の最終本会議。この日、過半数を占めた野党は、満を持して辺野古への新基地建設に反対する決議を提案。傍聴席は歴史的瞬間をその目で確かめようとする住民たちで埋まりました。
中川京貴議員(自民)「今県議選で野党多数となったことを背景にし、数の論理で強引に決議案を提出し、多数決で押し切るというのは民主的な手法に反するとは思わないか」
玉城義和議員(無所属クラブ)「辺野古の新基地建設については反対ということが、一貫した世論の流れであります」
中川京貴議員「もし素晴らしい案があれば乗りますので、答えてください」
玉城義和議員「我々としては県民の立場から県民世論の立場から、この要求を日本政府にやっているということです。それを日本政府は受けてきちっと対応するのが政府の立場だと」
佐喜真淳議員(自民)「辺野古への移設に反対するのであれば、現在の普天間飛行場どうするのか」
玉城義和議員「同じ沖縄県民として命の重さは同じ。普天間が危険なものは、どこに持っていっても危険」
桑江朝千夫議員(自民)「キャンプシュワブに移設することが唯一の現実的な選択肢であります」
照屋大河議員(社民・護憲ネット)「将来の沖縄を担う子どもたちに残すべきは、巨大な軍事基地ではなく、辺野古の豊穣な美ら海であります」
高嶺善伸議長「ただいまの議案3件は原案の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。起立多数であります」
ヘリ基地反対協・安次富浩共同代表「座り込みで、杭も一本も打たさずに基地建設をとめた。新しい一歩だと思います」
新垣哲司議員(自民)「全会一致ではない。多数でもってやったということですから。日本政府が動揺するとか、あるいは知事がその件に思っていることが、仕事が出来なくなるというようなことに関してはです」
町村官房長官「変わらずに実現していきたい。日米安全保障の根幹をなすものとして、国家としても非常に重要なプロジェクトであると考えているからであります」
1996年の大田県政時代に、基地の県内移設反対を全会一致で決めました。しかし稲嶺県政が誕生したあとの99年には、自民、公明の多数与党が県内移設促進決議を強行。
新里米吉議員(社民・護憲ネット)「それから考えますと、私たちはある意味で元に戻したんです。県民意思に」
県議会がこの決議を可決したおよそ2時間後、仲井真知事は総理官邸での移設協議会の席にいました。しかし決議については触れませんでした。
記者「それ(反対決議)をどうして知事として政府に伝えなかったのか」
仲井真知事「マスコミの皆さんがすでにいろんな形で伝えておられるからあえて申し上げなかった。最新の意見とおっしゃるが、あれは全部野党の先生方。与党の先生はあの決議に賛成してないでしょう」
一方、キャンプシュワブ内では、すでに兵舎の移転作業に着手。新たな基地建設は始まっています。それだけに今回の決議は現地で反対運動を続けてきた人たちにとって、待ち望んだものでした決議でした。
辺野古住民「国同士は基地を造ろうねといっても、住んでいる私たちの気持ちは全然反映されなくて。今度やっと意思を表明できたかなと」「ようやく真心が通じたなあと、嬉しくてたまらん」
ただ今回の反対決議に、アメリカ側も動かされないという姿勢です。
ケビン・メア在沖米国総領事「野党が過半数になったことについて、私はそんなに再編計画に影響があるとは思っていません」
きのう、県議会の要請団は東京へ出発。関係省庁や駐日アメリカ大使館などで要請行動を展開していますが、対応は大臣どころか軒並み課長クラス。政府の姿勢が浮き彫りです。
記者「これから野党としてどう打つ手があるのか」
新里米吉議員「私たちは今回の決議というのは、県民の意思を踏まえた決議であるというふうに自信を持っておりますから、むしろ与党の皆さんにも私たちに歩み寄ってほしいという気持ちを持っております」
県議会決議を無視して基地建設を進める構えの日米両政府。県議会は決議という県民の声をどう実現につなげていくのか、多数となった野党の責任が問われるのはこれからです。
県民の代表が県議会で行う決議は重いものがあります。それが与党や野党どちらかが賛成多数で可決しても、決議の重さに変わりはありません。辺野古への新基地建設反対決議はその最もたるものです。
しかし、仲井真知事や日米両政府は移設には影響はないと強気です。こうしている間も辺野古の海では、政府の調査と住民の阻止行動がぶつかり合っています。県議会決議の重さを県民はもっと大切に考えるべきではないでしょうか。