シリーズでお伝えしている名護市長選。きょうはQABと朝日新聞が実施した情勢調査の結果をお伝えします。互角の激しい闘いを展開している新人・現職の両候補。名護市民は今回の選挙のどこに注目し何を判断材料に投票するんでしょうか?
QABと朝日新聞は、きのうとおとといの2日間、コンピューターで無作為に選び出した番号に電話をかける方法で名護市の有権者を対象に情勢調査を行いました。有効回答は844人。回答率は65%でした。調査結果によりますと、与党3党と共産などの推薦を受ける稲嶺さんは民主支持層の7割に浸透。無党派層でも6割近い支持を受けています。一方、自民・公明が支持している島袋さんは自民支持層の8割を固めています。
年代別でみると、稲嶺さんは20代と50代以上で支持が高く、島袋さんは30代と40代で稲嶺さん支持を上回っています。選挙への関心度も高く、有権者の9割が「必ず投票に行く」と答えています。
記者Q、どこを最終的に見ていきたいですか? 市民「基地問題です」市民「全国の皆さんに考えてほしい」市民「名護は保育園が少ないから入りにくい」市民「名護は子どもが育てにくいので、産みやすい環境になれば」
市民「やっぱり基地問題ですかね」市民「仕事は増えてほしい」市民「医療関係も、もちろんだけど雇用もそうだけど、今の最大の問題は普天間の問題さね」
情勢調査と同時に実施した世論調査で普天間基地の移設問題を「大いに重視する」と答えた人は全体の40%で「ある程度重視する」と答えた人を合わせると8割を超えました。名護市辺野古への移設については「反対」が65%で、「賛成」の16%を大きく上回りました。「反対」と答えた人は稲嶺さん。「賛成」と答えた人は島袋さんの支持が高くなっています。
市民「決まってたことが突然、白紙に戻ったので、もしかしたらと期待する部分もありますけど」
市民「僕はもう、ここに移設した方がいいと思っている。振興策もあるしね」
普天間移設の事実上の見返りとして県北部を対象に政府が10年間進めてきた振興策については「評価する」が38%。「評価しない」が43%と意見が分かれました。移設問題に対する鳩山内閣の取り組みは「評価しない」が50%で「評価する」の28%を上回りました。
全体的にみると、稲嶺さん・島袋さんは互角に競り合い、激しい戦いを展開。ただ情勢調査では、およそ3割の有権者が投票態度を示しておらず、今後、情勢が変わる可能性もあります。
市長選の取材にあたっている岸本記者です。岸本さん。今のところ接戦ということですが、この情勢調査から何が見えてくるんでしょうか?
はい。7割の有権者がもうどちらに投票するか決めていて、互角な訳ですから、残る3割の無党派層が勝負を決めることになります。
でも、今回の選挙、稲嶺さんは「基地移設反対」対する島袋さんは「雇用の拡大」と経済問題で戦おうとしていますから、一つの問題では比較がしにくい状況なんですね。
なので有権者は自分にとって一番身近な政策で判断すると。
それで、働き盛りの30代、40代では島袋さんの支持が高く、戦争を体験した世代では、稲嶺さんの支持が高いという調査結果につながっているんだと思います。
世論調査では、北部振興策について、「評価しない」という人の方が若干多かったですね。
ここは非常に注目ですね。
前の政権は、基地を受け入れる見返りにこの10年でおよそ800億円を北部に投入してきたんですが、名護市民は、有難味を感じていない人の方が多いということがはっきりしました。
私がきのう、名護市民に話を伺った際も、「確かに振興策で箱モノは名護市に増えたけど、1人1人の生活は良くなっていない。むしろ悪くなった」という人の方が多かったんですね。(これは、前の政権に対しては非常に厳しい市民の判断ですね)
そうですね でも一方で、名護市民は鳩山政権に対しても突き放した見方をしています。
VTRにもあったように普天間の移設問題に対する新政権の取り組みを「評価する」と答えた人は28%。「評価しない」と答えた人の半分あまりしかいませんでした。
これはやっぱり、最初は県外・国外と言っておきながら、政権を取ったら、大臣が「やっぱり辺野古しかないのかも」と発言したり、鳩山総理も弱気の発言を繰り返したと。
そんな新政権のブレが、名護市民の鳩山内閣に対する不信感につながっているとと思います。
投票日まであと5日ですが、これからは両候補のどんな動きが注目ですか?
島袋陣営はきのうの集会で名護市内の建設業者およそ700人を集めました。陣営としては、こうした組織の力をうまく生かし、さらに、できるだけ期日前投票に行ってもらおうと一生懸命、背中を押しているんですね。そして、残りの期間で、無党派層からの支持を伸ばす作戦です。
一方の稲嶺陣営は、民主党が圧勝した去年の総選挙からの追い風を受けてはいるんですが、その民主党も最近は小沢幹事長の土地購入をめぐる話で非常にゴタゴタしていてますよね。
しかもこの問題 今も動いています。これが名護市の無党派層の動向にどんな影響を与えるのか?稲嶺陣営は非常に気にしています。
結局、どちらがその無党派層の票の奪い合いに勝つのかが勝負の分かれ目になってくると思います。