きょうの組み合わせ抽選会で那覇との対戦が決まった名護商工高校です。かけがえのない3人の3年生が迎える最後の夏。
そのうちの1人は病に襲われ一時は野球をすることさえ難しい状況でしたが、夏を諦めず再びグラウンドに戻ってきました。そこには仲間への強い思いがありました。
部員不足のためこの春まで野球部以外の助っ人を入れて大会に出場していた名護商工高校野球部。6人の新1年生を迎え、この夏は部員だけで単独出場する予定です。
名護商工 天久雄賀主将「人数が少ないことをマイナスに捉えるんじゃなくて」「逆に人数が少ない分1人ひとりが他のチームにはない経験の大きさを持てるのでそこがいいところかなと思います」
最後の夏に向かう3年生は、キャプテンの天久雄賀(あめく・ゆうが)と田仲逸楽(たなか・いっさ)そして志慶眞梨音菜(しげま・りおな)マネージャーの3人。
名護商工 志慶眞梨音菜マネージャー「(選手2人の性格は)全然違うと思います」「キャプテンは優しいんですけどオブラートに包まないところがあるのでちょっと怖いイメージがあるんですけど」「逸楽は優しいので」「雄賀が(部員に)きつく言っている時は逸楽が笑ってその場を和ませているので良い相性かなって思います」
小中学校は大人数の野球チームで過ごした天久キャプテン。今では強いリーダーシップでチームを引っ張りますが、一度は部員の少なさになじめず野球をやめてラグビー部に入部したことも。
しかし、ある出来事がその思いを大きく変えました。
名護商工 天久雄賀主将「その時の3年生の夏が甲子園中止になって」「その先輩たちが甲子園がなくなって悔しいはずなのに(県独自大会で)その悔しさをぶつけている感じがあって」「やっぱり高校野球は特別なのかなと思ってやっぱり野球やりたいなと思って」
その天久に誘われて入部したのが、同じ中学校の出身で小学生の時に同じチームでプレーしたこともある田仲でした。
名護商工 田仲逸楽選手「(天久が誘ってくれたのが)ちょっとうれしくてやってみようかなと思って」
野球を再開し、改めてその楽しさを感じていましたが、去年11月、練習中に息苦しくなることが増え、病院へ。診断の結果、肋軟骨の変形が原因で胸の一部が陥没する「漏斗胸(ろうときょう)」という病が判明します。その割合は1000人に1人ほどといわれ肋骨や胸の骨が肺や心臓を圧迫することで息が上がりやすくなったり疲れやすくなったりするとされています。
一時はグラウンドに向かうことさえできませんでした。
名護商工 田仲逸楽選手「今もきついです動いたりしたらすぐ息切れしたり走ったりしたらきついです」「もう運動できないんだと思って悲しかったですね」
現在も治療中で、体力的にはきつい時も。それでも野球を続けようと決めたのには天久君への思いがありました。
名護商工 田仲逸楽選手「雄賀が1人でやっていてやりたいなと思って無理してでもやろうかなって思っていました」「雄賀以外だったら(野球を)続けようとも思ってなかったと思います」
野球部に誘ってくれた天久君がたった1人でチームを引っ張る姿に少しずつでも力になろうと再びグラウンドに戻ってきた田仲君。体調が万全ではないため他のメンバーと同じように練習メニューをこなせない日もありますが、チームをサポートしながら自分にできる練習を続けています。
名護商工 天久雄賀主将「もしかしたら一緒に野球できないのかなと思った時もあったそれでも練習には毎日キーパー運んだり水入れてくれたりとかサポートしてくれていたのでそこに関しては感謝しています」
名護商工 田仲逸楽選手「後悔がないようにしたいですね」「自分の体を言い訳にしないで雄賀と思いっきり試合したいです」
この仲間だからこそ迎えられた最後の夏。困難を乗り越えて生まれた絆を力に名護商工ナインが集大成の舞台に臨む!
名護商工 志慶眞梨音菜マネージャー「勝っても負けても今まで頑張ってきたところを最後の試合で出せたらいいかなと思っています」
集合「最高の夏にするぞ!」