県の承認撤回が正しいのか?国の撤回取り消しが正しいのか内容に踏み込んだ判決が初めて出るかどうか注目された裁判は、またもや「門前払い」の判決??となってしまいました。
辺野古の新基地建設をめぐって埋め立て予定海域の周辺住民たちが国を相手に「県の撤回を無効化した国の決定」の取り消しを求めた裁判で那覇地裁は住民の訴えを退けました。
新基地建設が進む辺野古周辺の住民4人が国を相手に県の埋め立て承認撤回を無効にした国の裁決は違法だとして撤回の効力の回復を求めた裁判の司法判断が下される日を迎えました。
”県の承認撤回”と”国の撤回取り消し”はどちらが適法で、どちらが違法なのか…初めて内容に踏み込んだ判決が出る可能性があったところが大きく注目されました。
なぜなら、辺野古をめぐる同じような裁判は県も国を相手に起こしていましたが、これまで裁判の対象にはならないことを理由に裁判の入り口に立つことさえ認めない判決が示されていました。
住民たちの裁判では当初、原告15人で立ち上がり、2年前に訴訟を起こす適格性、いわゆる「原告適格」がないとして11人の訴えが却下され、残る4人の審理が続けられてきました。
原告団長 東恩納琢磨さん「親しんできたっていうこと、自分の故郷というか、自分のアイデンティティーっていうんですか、自分の帰るべき場所がここだというと思うと、そういうところに基地は必要ないなと思っています」
原告団長を務める東恩納琢磨(ひがしおんな・たくま)さんは埋め立て予定海域近くの名護市瀬嵩で生まれ育ちました。しかし、被害を直接受ける恐れがないとして裁判所に原告適格を認められませんでした。
原告団長 東恩納琢磨さん「私たちは門前払いみたいな形で裁判が終わってきている、でも、今回だけはちゃんと認めてほしいと、そして中身の審理に入ってほしい。普天間から遠く離れて、海の上だからって言ったって、ここにも地域の住民が住んでいる人がいるということもわかっていただきたい」
辺野古の海を守ってほしい、裁判への思いを4人に託しています。
金城武政さん「理屈もなにもないですよ、地域の安全とね、これは辺野古だけの問題じゃないよ、沖縄にかかる問題、私たちは名代としてやっていると思っているから責任も果たさないといけないし、国の方は早く結審して終わらそうとしているかもしれませんけど、それでは私たちはあきらめないですよ」
名護市辺野古に住む金城武政さんは原告適格が認められた1人です。子どもの頃、宜野湾市から引っ越してきて60年ほど辺野古で暮らしています。
現在は、平和を訴えるメッセージパネルを作るなど新基地建設の中止を訴える活動に携わっていて、5年前に護岸をつくるための工事が始まって以降、子どもの頃から慣れ親しんできた大切な海が日に日に失われていくことに胸を痛めています。
金城武政さん「今はもう(海が)濁っているのが明らかです。もういまは護岸ができて波の高さも違ってきているし。何かわからないけど変化は明らかに出ています。海の色もどんどん変わってきています。それをみたらさびしくなりましたね」
住民たちは軟弱地盤の存在などを理由に承認撤回の正当性を訴えています。
一方で、国は住民側に裁判を起こす資格はないという反論を続けていて、今回、原告適格が認められた4人についても同じ主張を繰り返してます。
きょうの判決で、那覇地裁の福渡 裕貴(ふくわたり・ひろき)裁判長は「原告らは埋め立て事業によって生じる可能性のある災害や公害に起因する健康または生活環境の被害を直接的に受けるとは認められない」と指摘したうえで、「4人に原告適格は認められない」という判断を改めて示しました。
住民側の訴えが門前払いにされた形で、県の承認撤回や国の撤回取り消しについて司法による判断は示されませんでした。
原告団長 東恩納琢磨さん「(前回の判決では)将来にわたってのことを考えて原告適格を4人認めたのに、その4人も適格がないといったことは将来に対して本当に責任を持っていないということです。その場その場だけの判決を下したということです」
原告 金城琢磨さん「説明もないままいきなり入って主文読み上げます、却下しますじゃとおらないですよね、(判決の内容は)愚弄しているとしか思えないし」
住民たちは判決を不服として控訴する方針です。