夢は、鈴鹿サーキットで走ること。1年半前からソーラーカーの製作に励んできた長嶺中学の生徒たち、何度かこのコーナーでお伝えしてきましたが、今月2日,3日にそのソーラーカーのレース大会が行われました。世界最高峰といわれる大会で、彼らは何を学んだのかご覧ください。
モータースポーツをする人にとって憧れの場所「鈴鹿サーキット」。ここで年に一度の太陽の祭典、ソーラーカーレース大会に出場したのは史上最多の90台。出場するチームは、ほとんどが社会人や大学生技術系の高校という中、長嶺中学が初挑戦しました。
長嶺くん「モータードライバーっていうモーターを制御する回路がぶっ飛んじゃったんで、付け替える作業をやってます」
レースに参加するためには、あすの車検に合格しなければなりません。徹夜の作業となりました。
長嶺くん「やっぱりここまで来たら走らないとという気持ちがあるのかもしれません」
顧問の飯塚先生は、自身もこの大会の出場経験がある実力者ですが、あくまで見守ることに徹します。
飯塚先生「苦労しても失敗しても、よくてもだめでも、自分たちが自分たちの責任でやって、最後に喜ぶのも悲しむのも悔しがるのも自分たちだから」
長嶺くん「ほとんど寝てないです。一応なんとかモーターが回るようになりました」
車検員「はい!オッケー」
次はウインカーのチェック。
「ブレーキついた?ブレーキついてますか?右やってみて。右ウインカーついてません」
「だれか?このコネクターやったやつ。このコネクターちゃんとはまってない」
飯塚先生「だれが悪いとかやってもしょうがない。直せればいい」
結果は不合格。ブレーキランプの不備を指摘されました。
車検時間内だと、何度でも受けることができます。
「ついてます。やったー!車検いけるかも」
『中学生か、大変やな〜。がんばってやろうぜ」
次は、サイドミラーですが、またもや不合格。
車検員「通してあげたいんですけど、やっぱり安全面を考えるとどうしてもその辺が厳しくなってきますね」
他のチームが次々に合格していく中、ブレーキテストでも・・・。ブレーキ系統のねじの閉め忘れで、部品が曲がってしまったのです。
ここまできて、鈴鹿で走らせることが出来ないのでしょうか?
車検員「また、あすの6時よろしくお願いします」
車検員からうれしい一言、望みがつながります。
去年の優勝チーム・オリンパス「おれらも初めて出たとき、徹夜の作業でしたからね。ほんとトラブル出るんだよ」
翌朝午前6時。2日目も徹夜した生徒たち。最後のチャンスです。
長嶺くん「制動試験でブレーキがぶっ壊れて、配線の確認していたらもう飛んでいたんです」
飯塚先生「間違った抵抗入れている可能性があるね。直でつないだ?」
なんと、またトラブル発生。ここまで来ても先生は、あくまで見守る姿勢です。
飯塚先生「こういう手抜きしたらだめだって。一個一個、当たり前のことを当たり前にやらなければだめなんだ。手抜きしちゃだめだって」
ようやく修復作業が終わり車検場へ。
車検員「出血大サービスや」
車検合格。長嶺中学のソーラーカー「フランケン」は番号をもらい、大会に参加が認めらました。
コースは、一周5.8キロ、4時間内にもっとも長い距離を走ったチームが優勝です。予選では、順調な走りをみせてくれたフランケン33位といい滑り出しです。
アナウンス「33番目からスタートを切るのは、沖縄県からの代表沖縄県長嶺中学工学部ソーラーカープロジェクト。初のエントリーです。がんばりたいですね」
ソーラーカーのレースは、ドライバーの腕だけでなく、いかに効率よくエネルギーを使うかが大事です。
長嶺くん「消費アンペアアワーってどのぐらい残っている?」
ドライバーの兼元くん、安全運転でラップを刻んでいきます。
長嶺くん「1周11分10秒ぐらいだから、もうちょいスピードだしていいよ」
「帰ってきたー!早くなっています。7分です」
1時間が経過し、次は女の子のドライバーへ交代。順調な走りをするフランケン。
その後、3番目のドライバー飯塚先生に代わり、残り後1時間のところでフランケンが急にスピードダウンです。なんとか、審判にに車体を押してもらい、ピットに戻ったフランケン。
「一番最大はモータードライバーだったか」
「もうこれでしか走れないよ!」
「あと40秒、急げー」
長嶺中のフランケン、完走は出来きませんでした。
根路銘くん(中1)「あきらめずにどんなことがあろうと頑張るということですね」
瀬川くん(高1)「お世話になった方のスポンサー、今まで支えてくださった方々への恩返しだとおもっています」
長嶺くん「正直、今の気持ちを一言で表すと完全燃焼かな」
波乱万丈の大会でした。長嶺中学は16周を回り、44位の結果でした。
完走は出来なかったんですが、実は車体のデザインが優れていることが評価され、グッドデザイン賞に輝きました。生徒たちは表彰台に上って堂々としていました。
徹夜続きでハプニング続出でしたが、弱音をはかない生徒たちのがんばっている姿に、多くの大人たちが刺激を受けていました。
波乱万丈の経験をした選手たちはいろんなことを学んだようですね。レースの結果は44位だったんですが、彼らにとってうれしい事もありました。車体のデザインを評価され、グッドデザイン賞に輝いたんです。表彰台に上った生徒たちはとても誇らしげでした。おめでとうございます。Qリポートでした。