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おとといの夜に東北で大地震があって、災害は「いつか来る」「突如来る」ということを再認識させられたという人も多かったのではないでしょうか。

防災マップの更新に乗り出した自治会の活動を通して、改めて万が一の事態に備えることの大切さを考えたいと思います。

本島中部西海岸に位置する北谷町美浜区は異国情緒漂う「アメリカンビレッジをはじめ、きれいな海を感じながらのんびりとしたひと時を過ごせるスポットもあって、多くの県民や観光客でにぎわっています」

津波から住民を守れ 自治会の取り組み

災害リスクという点から見てみると、美浜区の大半が埋め立て地で最も高いところでも海抜5mしかありません。町が想定する最大級の地震で、6mの津波に見舞われるとほぼ全域が浸水するという不安を抱えています。そんな状況に危機感を持ち、住民の防災意識を高めようと自治会が主体となって積極的に活動を続けています。

岡村悦子さん。7年前から自治会長として地域の防災をリードしています。

美浜区自治会 岡村悦子会長「いざというときには、みなさんがすぐに命を落とさない、行くべき避難場所にいるということが目標です」

店舗や施設を一軒一軒回って聞き取りをしています。先週土曜日、美浜区の自治会は10人が参加して「防災さんぽ」を実施しました。ホテルや店舗の入れ替わりが多く変化が激しい街であるがゆえに防災の情報を頻繁に更新する必要があるといいます。

津波で浸水が想定されるエリア、自然災害の際避難できる施設、車いすやAEDの設置場所が記された「美浜区防災マップ」。地元の人がより詳細に分かりやすく確認できるよう、自治会が2年前独自に作成しました。今回はその更新作業が進んでいます。

美浜区自治会 岡村悦子会長「みなさんやっぱり沖縄で言うと「うちあたいしてる」っていう、必ず何かしら得ることがあるという感じの時間を共有している」

津波から住民を守れ 自治会の取り組み

一行は、ある看板を見つけて、立ち止まりました。どこを指しているのか分からない真正面から見て左ってことは向こうってことでしょそこに何があるの?(笑)

津波一時避難所を案内する標識がどの建物を指しているか分かりにくくなっている場所を見つけることができました。こうした美浜区の取り組みを地域防災の専門家も評価しています。

琉球大学 神谷大介准教授「みんなで集まれる場を作る、そういう部分は都会の方が苦手。田舎の方がつながりがあって比較的都会なはずの美浜区でそういう取り組みができているのはすごいなって思う」

公民館では、防災食づくりに挑戦しました。電気を使わず、カセットコンロだけで調理します。今回は、缶詰めの焼き鳥を使った親子丼です。笑顔で会話を交わす食事のひと時。岡村さんは「楽しい防災」を心掛けています。

岡村悦子さん「防災ってつらいものだよね」「防災って興味のある人がやったらよいんじゃないの」「ではなくて、自分だったら防災にこう取り組めるよと自分目線で取り組めるような感じ楽しんでやっていけたらよいなと思う」

津波から住民を守れ 自治会の取り組み

防災意識を高めるうえで頼りになるのが、防災士の存在です。地域での防災活動を活発化させるため、北谷町では4年前から防災士の資格を取得しようとする人を援助する「北谷町自主防災組織補助金要綱」という制度があります。町の制度を活用して誕生した防災士が6人います。

眞喜志ほずみさん「何年か前に沖縄で生まれて初めてすごい地震に遭って初めて食器が落ちてくるという経験をした。何もできなかった」

吉味さん「防災って現実的な話なんだよ」という話を聞いて他人事じゃなくて自分の事になった」「知識として身に着けておくのは良いんじゃないかと思って」

2年前に防災士を取得した吉味さんは活動の中心人物で、今回、防災マップを作成する役目を担っています。地域に複数の防災士がいると、多くの視点や気づきが得られ、より密度の高い防災になると言います。

琉球大学 神谷大介教授「防災に関して基礎的な知識を持った上でいろいろな価値観を持った人が話し合えるそういう意味で6人いるというのは素晴らしいと思う」

津波から住民を守れ 自治会の取り組み

災害から身を守るために必要な情報をスマートフォンのLINEで共有することにも取り組んでいて、専門家からアドバイスをもらえるようになっています。

岡村悦子自治会長「避難した場所の様子を写真に撮ってLINEですぐに送ってくれた「今ここに避難したけどどんどん車が入ってきている」前もってのツールがあればそこに行って時間のロスをしなくてよいのかな」

2か月前に津波注意報が出された時は避難情報を共有し、連携することができました。命を守るための活動は地道な作業の積み重ねです。

今回の防災さんぽでは、他にも子どもが助けを求める時に駆け込むことができる「こども110番」の指定店舗やいざというときに頼りになる「公衆電話」が少ないことなど、たくさんの課題を見つけることができました。

岡村悦子さん「いつでも安心で安全な街であってほしいという思いから防災マップの更新は必要。地域住民だけではなく観光で来る人、外国人にも分かりやすいマップ作りや津波の表示をきちんと提案できるような作りかたをしていきたい」

津波から住民を守れ 自治会の取り組み

さらに災害に強い街づくりを進めるべく、新しいデータをもとに、来月上旬には最新版の防災マップが完成する予定です。