生後2カ月の時から養育してきた女の子について、児童相談所による里親委託の一方的な解除は不当だと主張しています。女の子が戻ってくることを求めて里親の夫妻が県を相手に起こした裁判が2月25日に始まりました。
裁判の意見陳述「里親委託を解除して引き渡しを実行して一時保護する児童相談所のあり方は子どもの最善の利益を考えたものといえるのでしょうか」
法廷では約10分にわたって里親制度の課題を訴える声が響きました。
小橋川学さん「子どもの心の部分というのを重く受け止めてほしいということで、訴えていきたいとは思います」
裁判を起こしたのは、那覇市に住む小橋川学さんと妻の久美子さん夫婦で里親制度を活用して5年半前に生後2カ月の女の子を引き取って以来、愛情を注ぎながら大事に育ててきました。しかし、突如として同じ屋根の下で過ごす日々が失われることになってしまいます。
実の母親が自分のもとで女の子を育てたいと求めたことから、コザ児童相談所が里親委託措置を解除したのです。そのため、小橋川さん夫妻は一時保護所に女の子を引き渡さなければならない状況に置かれました。女の子には発達障害があるため医師の助言もふまえて実の親ではないと知らせる「真実告知」が行われていません。
小橋川久美子さん「本当に子どものことを一番に考えてほしいです」
児童相談所を管理する県を相手の起こした今回の裁判で、小橋川さん夫妻は「里親委託の一方的な解除は子どもの精神にダメージを与え、心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応」だとして引き渡しを差し止めて女の子が戻ってくることを求めています。
一方、県は、夫妻の原告適格は認められないと反論していて「すでに女の子は一時保護所に引き渡され、夫妻の元にいないことから訴えの利益がない」などとして訴えを退けるよう求めています。
小橋川学さん「子どものことを第一に考えればこういう引き離しとか、子どもがないても連れていくようなそういう場面というのは出てこなかったと思うんですよ」
小橋川久美子さん「一日でも一分一秒でも早く保護所から出して、私たちのもとで安心安全な場所で心を安定させて生活させてほしいです」
川津知大弁護士「児相が『いや、もういいです。引き取ります』って言ったら里親はこれ何に対しても抵抗できる権利がないです。それで本当に子どもの幸せが守れるのか、健全な成長を守れるのかっていうところは社会全体で考えていただきたいと思ってます」
小橋川夫妻は「実の親に会わせたくないというわけではない。引き渡しの適切な時期まで待ってほしい」と訴えました。次回の裁判は5月に開かれる予定です。