真夜中の沖縄市、若者を中心に集まった多くの人の視線の先には沖縄警察署があり、現場は物々しい雰囲気に包まれました。
集団の一部は、爆竹や花火、石などを投げ込み、なかには警察署の駐車場内に立ち入り、長い棒で止まっている車を叩くなど暴れました。警察は、機動隊を入口に配置するなど厳戒態勢を取りました。
昨夜からきょう未明にかけて、警察署の前に集まった人数は最大で400人。なぜこの時間に、多くの人が集まり、一部が暴徒化したのか?発端は、沖縄市内で発生したある事故を巡るものでした。
仲宗根啓介記者「バイクを運転していた人に警察官が声をかけたところに、バイクが向かってきて、このあたりで警察官に接触し、そのまま立ち去ったということです」
警察によりますと、きのう午前1時15分ごろ、沖縄市宮里(みやざと)の路上で、バイク数台による暴走行為の警戒にあたっていた警察官が、17歳の男子高校生が運転するバイクを発見しました。
警察官が職務質問を行おうとしたところ、バイクが警察官に向かって来たため、止めようとしたところバイクと接触しました。
バイクは、その場から立ち去りバイクと接触した29歳の男性警察官は右腕に軽いケガを負いました。
事故発生からおよそ5分後、沖縄市消防本部に若い男性の声で救急搬送依頼の電話が入ります。
「バイクの単独事故で顔にケガをした」
消防に通報したのは、警察官に接触しその場から立ち去った男子高校生からでした。およそ20分後、救急車が到着すると、男子高校生は意識はあるものの仰向けの状態だったということです。
そして、男子高校生は救急隊員に「単独事故ではなく、警察官に警棒で殴られた」と伝えたということです。男子高校生は、搬送された病院で右眼球破裂と右眼底骨折の重傷と診断されました。
この出来事を知った男子高校生の知人とみられる人たちがSNS上に「警察に暴走族に間違われて警棒で殴られ失明した」などの情報をあげたことをきっかけに拡散。きのう午後11時すぎから若者を中心に沖縄警察署周辺に集まったと見られます。
集まった人たちからは、「警察への不信」を声が聞こえました。
沖縄署前に来た人「巡査が17歳の子を暴走してないのに勝手に捕まえて、なにもしてないんだよ、警棒で殴ってるわけさ、それで失明してるわけさ、これで今こうなっている。隠ぺいしてるわけ、隠ぺいしてるからこうなってる。インスタグラムでストーリーっていうやつで(情報を)広めてからこうやって広まっている」
沖縄署前に来た人「卵、瓶、花火、爆竹、そこら辺のカラーコーンとか、石、とりあえず両手で収まらない」
集団は午前4時ごろまでにはいなくなったということですが、設置されていた電光掲示板や正面出入口のガラス、車両のフロントガラスなどに被害がありました。
警察は、今回の事案について現在、対応にあたった警察官に事情を聞くなどしていて答えられないとしています。