創部から半世紀で、初めての聖地・花園出場を決めた読谷高校ラグビー部。心と体を鍛え上げてきたチームには選手たちを支える、あるコーチの存在がありました。
フィジカルトレーニングに励む読谷高校ラグビー部。週3回、みっちりと自らの体を追い込む時間を設けています。
お互いに励まし合いながら、あと1回、もう1回とダンベルやバーベルを持ち上げる回数を増やしてきました。
紺のジャージ読谷は、1971年の創部以来初めて年末年始に大阪の花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会の県予選で優勝。初めて、聖地・花園へのキップを手にしました。
ラグビー熱の高い地域や関係者のサポートそして走り負けない、当たり負けない体づくりはチームの土台となり、自信を与えました。初出場ながら、すでにチームの目標は明確です。
島袋法匡監督「(花園では)縦横無尽。グラウンドいっぱい使ってもらって3D(立体的)ということでキックも織り交ぜてやってもらいたい
島袋世良主将「自分たちは花園初出場ではあるが目標は高く年越し2勝ということを掲げているので、ここで慢心せずしっかりまた1カ月の準備期間があるのでしっかり地に足をつけて東大阪(花園)で試合をしたい」
全国高校ラグビーは来月27日に開幕。3回戦進出を果たすと1月1日に試合ができます。県勢では過去に名護高校が2度、3回戦進出したのが最高成績。簡単な事ではありませんが・・
比嘉進コーチ「全国でも通用するフィジカル・持久力・メンタル。それをこの1カ月間強化して目標である元日越え3回戦進出目指して頑張っていきたい」
読谷高校のフィジカルトレーニングを指導する比嘉進さん。スポーツトレーナー兼ジムの経営者です。
選手たちが励まし合うのは、読谷を指導して2年半になる比嘉さんが習慣づけたことの1つです。
比嘉進さん「ウエイトトレーニングでもそうだが自分で限界をつくってしまう。自分で止めてしまう その先を見て欲しい。チームワークは人一倍まとまっているのかなと。成長を感じる」
比嘉さんは指導をピラミッドに例えます。体の基本的な動きそして器具を使わず自分の体重で負荷をかけるトレーニングを理解してもらった上でウエイトを取り入れました。
松尾息吹選手「最初は重量が持てなかったり体も細くて体幹もぶれて自信が持てなかったが体の変化が自分達の自信に繋がっている」
島袋世良主将「自分たちが食べたものからも体はできるのでしっかり大きくなる原理メカニズムを教えて下さった上で(指導)してくれたのでみんな体が確実に大きくなっているし(学年)始めの方の九州新人大会だったり全国大会でもしっかり爪あとを残せる結果となった要因かなと思う」
読谷躍進の理由の1つ、比嘉さんの指導は「ファンクショナルトレーニング」という方法論に基づいています。安定した体幹や力強いフットワークなどを得られるという他にも
比嘉進さん「ケガをしない体づくりが基本。各スポーツ競技においてケガをしにくくなるというのがメリット」
比嘉さんの指導論は出版社からも注目され一冊の本になりました。
比嘉進さん「子どもたちが結果を出してくれたから形になっていると思うので。まず子どもたちの身体能力の高さを僕たち指導者がどう上げていくかを(目標に)置いている」
去年の県予選決勝。読谷は後半ロスタイムに逆転負け。あと一歩で涙を飲みました。しかし悔しさをバネに今年は県内大会で優勝を重ねました。さらに県代表として出場した九州大会、全国大会でも白星を上げ、強豪校と対戦するなど経験も積みました。
花園への道はチームや選手個々の丁寧な土台づくりから始まっていたのです。
比嘉進さん「この子たちが今回やっていることが沖縄のスポーツ界のレベルアップにつながればうれしい(花園で)パワーと体幹の強さを見てもらいたい」
花園への思いを胸に進化を遂げてきた読谷高校ラグビー部。その成長をサポートするコーチの瞳にも大舞台を前にますます力が宿っています。
全国高校ラグビーは来月4日に組み合わせ抽選会が行われます。読谷高校のみなさんにはぜひ元日越え、3回戦進出を果たしてほしいと思います。
そして紹介した比嘉さん自身の大きな目標は長寿県沖縄をもう1回全国1位にしたい、100歳になっても自分の足で歩けるように体の使い方を伝えていくことだそうです。