やんばるの大自然に抱かれるようにひっそりと、でも華やかに存在する「ツリーハウス」をご存じでしょうか。SNSで話題沸騰!大きなブームが起きているんです。
まるで魔法の国にいる気持ちになれる、絵本から飛び出して来たような「木の上にそびえるおうち」がちょっと不思議で素敵な世界へいざなってくれます。
「おおきなきがほしい」
子どものころ1度は読んだことがあるのではないでしょうか。少年が夢にみる「大きな木」に作られた「ツリーハウス」。そんな絵本の世界のものが、現実に現れたとしたら…。
名護市源河。「やんばるの森」のど真ん中。それは突如、現れます。
立派な「大アカギ」に寄り添うように造られたツリーハウス。これは、あの本の、まさしく「アレ」!?誰が、どうやって造ったのでしょうか??
菊川万葉さん「手つかずの自然が多く残っている。アーティスティックに生えている木もたくさんあるので」
この施設の取締役・菊川万葉さんは、7年前に父の曉さんと二人三脚で施設を造り始めました。「土地さがし」ではなく「木さがし」から始まったといいます。
万葉さん「このアカギを見つけた時に父は感動してこれだ!と思って抱きついて、これにすることにしてツリーハウスを造り始めた」
コツコツと手探りで造り続けるなか、スタッフも増え、遊び心満載の設備がひとつひとつ、うまれていったのです。
特に目を引くのが、これ!巨大な鳥の巣に産み落とされた卵のような形をした、その名も「エッグハウス」。実はこれ「船」なんです!ちゃんと海に浮かべて船としての機能も果たせます。ちょっと乗ってみたいですよね。
河原に造られたコテージタイプの部屋は、まるで宙に浮いたよう。
万葉さん「ツリーフルの建物の全ては、地上から1.2m以上上げているんです。土の中に植物だったり、動物だったり、木の根っこ、微生物などがそのまま生きていられるようにっていうのを大切にして、サスティナブルなシステムのひとつになっています」
点で支えることによって下に動植物が生きられるように配慮されてた、その部屋の中に入ってみると、大きな窓の向こうに一面に広がる大自然!振り返ると…。
「こやのなかには、すみっこにだいどころがあります。みずもでますし、こんろもおいてあります」
絵本の主人公がツリーハウスでホットケーキを焼いて食べる!そんな解放感あふれる至福のひとときを、ここでも味わうことができるんです。
宿泊客「HPで見てはいたけど、実物で見るのと全然違って、実物の方が何倍もお洒落だし、ラグジュアリーで素敵な空間だった。都会の喧騒にまみれながら生活している。なのでああいう自然と共存するというか、朝は川のせせらぎとか虫の鳴く音とかで目覚めるっていう、そういう体験が出来ないので、それが本当に素晴らしい体験だった」
今まさに「うまれかけ」のものもあります。
万葉さん「一番上にサウナを設けて、そこから滑り台で川の中に降りられるようになっていて、繰り返す楽しいツリーハウスです。遊びを極めるみたいな感じでこうなった」
坂尾菜都美さん「毎日の作業は地味なんですけど、出来上がった時の達成感というか、やりがいはあります」
小瀬廉さん「最終的には自分で考えたツリーハウスを何棟か造りたい」
去年完成した「黄金トロフィー」と呼ばれるこのツリーハウスは金色に輝く「鼓」がモチーフになっています。
万葉さん「一番下に柱がついていない状態なので、全て生きている木に支えられているというのが特徴」
屋根の部分にのぼることもできます。夜になると金色に輝くので「黄金トロフィー」。その姿は、森に灯る松明のようでもあります。
「脊椎動物の背骨と肋骨」をイメージして造られた「渡り廊下」を潜り抜けると、ゆんたくをしたり、食事ができるスペースが広がっています。
この場所は9本の木にまたがった構造になっています。全ては「木を切らずに」「木の上で暮らす」ように計算され尽くしているのです。
万葉さん「リゾートっていうのは伐採してつくるっていうイメージがあるんですけど、私たちは絶対にしたくない」
木を切らないで造る。その為、あちこちにスペースが開いていたり、なかなかスリリングな構造になっている部分も多く、歩くだけでも軽くアドベンチャー気分。
さらに、美しい螺旋階段を上って部屋の中に入ると、全面ガラス張りの驚くべき光景!部屋がアカギの木に「吊られた」状態になっているから実現しているのです。
万葉さん「梁と柱を一切使っていなくて、普通の家はそれがないと成り立たないんですけど、生きた木にワイヤーで全てのツリーハウスの重みを支えて貰っているので」
「もしかするとこやのなかで、せみがなくかもしれません。とんぼもあそびにくるかもしれません」
きっとヤールーも遊びに来ますね。
宿泊客「最初にインスタグラムで見た時に結構びっくりしたんですよ、おとぎ話から出てきたみたいなツリーハウスがあったので。本当に魔法のおうちみたいに木の上におうちがあって、すごく素敵でした」
宿泊客「写真で見てるのもすごいけど、実際行ったら迫力があって、自然を壊さずに綺麗に造っててすごいなと思った」
スタッフにはヤギもいます。草刈り要員のドナさんです。ドナさんは接客業もこなし、ゲストにも大人気です。
宿泊客「あんなに素晴らしい空間を造ってくださって本当に有難うございますっていう感謝の気持ち。何もないところから6年7年かけて、あそこまでの空間を作り上げる大変さ、ものすごく労力かかるものだと思うのですごい」
絵本の世界がやんばるの森に現れたツリーハウス。遊び心いっぱいの施設には森を壊さない工夫も満載されていました。大自然に抱かれつつ、の~んびり寛げそうです。